2017年12月25日月曜日

ジャパンライフ本社社員だれも来ず、中部弁護団「店舗代表者も提訴」へ

 12月25日、ジャパンライフ本社(東京都千代田区)には、朝から社員は誰も来なかった。
いよいよ来るべき時が来てしまった。「営業停止」「1回目の資金ショート」などの報道が続く中で、老後の高額な資金をつぎ込んでいる1人暮らしの高齢者が、お正月を前にどれほど不安なときを過ごしているか、心配でならない。ジャパンライフ被害対策中部弁護団が実施した同日の110番には、全国各地から54件の相談が寄せられた。杉浦英樹弁護団長は「自殺者が出ることを恐れている。少しでも希望を持ってもらえるよう、私たちは、山口会長親娘とともに店舗の代表者も共同不法行為者として提訴することを検討している」と話している。

ジャパンライフ本社、朝から社員だれも来ず
債権者が中をのぞいて、帰っていく


ジャパンライフ本社ビルを売却したという倒産情報誌TSR(東京商工リサーチ)の報道を知り、22日夕方以降本社に電話しても、電話はつながらない。
ジャパンライフ本社前で取材する記者たち

25日朝、8時半ころ本社前を訪ねると、調査会社の人や見慣れた消費者庁記者クラブの記者らが数人玄関前にいた。「この時間に社員が来ないのはおかしいと掃除のおじさんが話している」と、その1人が教えてくれた。

営業時間の9時を過ぎても、社員は誰も来ない。

宅配業者がインターホンを押しても中から反応はなく、帰っていく。いつも通り生け花を届けたという花屋さんも、帰って
夜になると自動的に灯りがつくが、誰もいない
行った。同社の山口隆祥会長は10時ころに来るというが、その時間を過ぎても会社の関係者は誰1人来ない。時折、債権者がやってきて、インターホンを押し、中をのぞきこんで帰っていく。埼玉の工場まで行ってみると話す債権者もいた。銀行、自動車リース会社、派遣会社、情報システムなどさまざまだ。派遣社員が訪れ、いつもなら朝には入っている給与が入っておらず、様子を見に来たという。

電話がつながらない巣鴨店も見てきた。とげぬき地蔵通りに面したビルの1階、2階にあるが、
ジャパンライフ巣鴨店は、先週金曜日から営業していない
休業中の紙が貼られ、閉まっている。「刑事告発のニュースが流れた次の日、先週の金曜日から閉まっている」と、商店街理事長。「地元の人は問題があることはよく知っている。韓国や地方からのツアーの客が多く来ていた」という。ビルの持ち主は、「何も聞いていない。わからない」と話した。

夕方、再度本社前を訪れると、ずっと玄関前で取材を続けている調査会社の記者さんが「訪れた債権者は10組程度」と教えてくれた。

12月7日、8日には返金滞る
業務中止まで、わずか2週間

ジャパンライフからの返金は毎月10日に行われているが、12月はこの日が日曜ということもあり、12月7日、8日には、お金が入っていなかったという情報が把握できた。

「7日に入金がなく、次に入金すると言われた1週間後にも入金がなかった」「8日に振り込まれるはずのお金が、振り込まれていなかった」「資金繰りに時間が要するので3カ月先になるといわれた」など。

消費者庁取引対策課元課長補佐の同社への天下りを昨年の正月号で明らかにして以降、消費者庁の後手後手の対応のまずさを指摘し続けてきた。

①この課長補佐はなぜ行政指導で済ませたか ②立入検査が遅れたのではないか ③立入検査で、現物まがい商法で自転車操業であることが分かっていたはずではないのか ④1回目の処分は遅く不適切 ②2回目の処分も甘く公表に問題がある ③3回目の処分は、業務停止命令違反を放置し、事業者の主張通りレンタルオーナー商法ではなくモニター商法で違反を認定したのでは遅い ④4回目の処分は、違反事例4事例のうち3事例は3回目と同じで2回に分けたのは疑問 ⑤3回目、4回目の処分時には、ジャパンライフは同様の取引を「リース債権譲渡販売」として拡販しており、被害拡大を結局止められていないーなど。

本来は、厳正な処分に基づき、預託法違反、特商法違反と詐欺、業務停止命令違反で刑事告発し、早急に決着させるべき案件だった。

消費者庁の後手後手の対応が被害を拡大させてきたことは、紛れもないが、
返金されなくなってから、同社と連絡が取れなくなるまでの期間が、あまりに短かった。

高齢な女性に悪質性が周知され始めた段階で、もう、取引から退出できる状況がなかった。預託取引は破たんするまで被害が顕在化しない点が、本当に恐ろしい。

老後の資金、契約額が桁違いに高額
「戻らなかったら、首くくるしかない」

契約者の4分の3が70歳以上で、ほとんどが女性。契約金額は平均1860万円(12月15日時点)と、消費者被害の中でも桁違いに高額だ。

5月に都内のホテルで開催された国際大会では、2億円以上契約したミレニアム会員24人が紹介され、表彰された。顧客に宣伝用に通知されているミレニアム会員名簿では、1億円以上の契約者が300人を超え、最高額は12億円。どこまで本当かは定かではないが、農協や郵便局の定期預金、保険を解約させて契約させているケースも少なくない。老後の大切な資金をつぎ込まされている。

「お金が戻らなかったら、首をくくるしかない」。そんな悲痛な叫びも聞こえてくる。
高額な契約をした高齢女性が、これから正月に向け、どれほど不安な思いで日々を過ごしているのか、心配でならない。

ジャパンライフ110番に54件
平均額4500万円、最高契約額3億円

ジャパンライフ被害対策中部弁護団が同日実施した110番には、全国各地から54件の相談が寄せられた。

1人暮らしの80歳代の女性は、家族を含めて約3億円の契約をさせられ、解約を求めて店舗を訪れると鍵がかかって中に入れなかった。保険を解約させられたり、全財産をつぎ込んだという人もいた。

「自殺者が出ないか恐れている」
「希望持ってもらえるよう提訴の検討急ぐ」

「本日以降、被害者の方の不安が高まっている。お正月に向け自殺者が出ないか心配している。多少なりとも希望をもって緊張感を維持してもらえるよう、提訴の検討を急ぐ」と杉浦弁護団長。「本社への損害賠償請求とは別に、同社山口隆祥会長、山口ひろみ元社長親子と店舗の代表者も共同不法行為者として、2月にも提訴したい」と話している。


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