2022年5月1日日曜日

消費者保護には程遠い「デジタルプラットフォーム消費者保護法」2022年5月1日施行

 2022年5月1日、「取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律」が施行された。

消費者庁は略称を「取引DPF消費者保護法」としているが

その内容は消費者保護には、程遠い。

アマゾンや楽天市場、ヤフーショッピングなど、インターネット上で事業者と消費者間の取引の「場」を提供している、契約機能がある取引デジタルプラットフォーム提供者

を規制するための法律を目指していたが、以下の3つの努力義務しか規定されていない。

①消費者が出店者(販売事業者)と円滑に連絡できるようにする措置

②表示に関する苦情を受けたら調査等をする措置

③必要に応じ出店者の身元を確認する措置-の3つ。

講じた措置の開示も努力義務だ。

自民党に提出した骨子案では、義務とし、措置違反には勧告・公表、開示違反には勧告・命令・公表とする方針が示されたが、実現しなかった。

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背景には、

アマゾンで偽ブランド品を販売した事業者を、消費者庁が行政処分しようとしたが消費者庁が調べても販売事業者にたどり着けず、公示送達(処分書を違反事業者に手渡さず、消費者庁の掲示板に処分することを掲示)で行政処分を行った(2020年4月7日公表)。アマゾンの特定商取引法に基づく表示には、居住実態のない住所や、使用されていない電話番号、関係ない人の住所や電話番号が記載されていた。

アマゾンで購入したモバイルバッテリーが発火し、家が全焼したが、販売業者の返信が途絶えがちに。アマゾンに売主の連絡先の開示を求めるも拒否。商品代金の返金と少額の和解金は支払われるも、損害の大部分は賠償されないまま。

フリマサイトで、健康食品エクエルの模倣品を販売する複数の出品者が確認された(2021年7月21日注意喚起) 

アマゾンで、カシミヤが全く含まれていないストールが「カシミヤ」「素材構成:100%カシミヤ」などと表示されて販売されたが、またしても消費者庁が販売事業者の実体を特定することができなかった(2021年12月17日注意喚起) ―などの事例が報告されている。

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同法の施行で

消費者が、販売事業者の連絡先等の情報を、デジタルプラットフォーム提供者に、開示請求できるようになる

どのような場合に開示請求ができるのか。

消費者は販売業社等に対し、1万円以上の金銭の債権(慰謝料や拡大損害も含む)がある

  債権とは、債務不履行または不法行為に基づく損害賠償請求権が考えられる(Q&Aから)。

   損害には、取引額のほかに拡大損害や慰謝料等も含まれる(同)。                               

販売業社等(消費者間取引は対象外)と連絡が取れないために、

 その債権の行使に情報を確認する必要がある

不正の目的ではない場合が対象 

    書面かメールで、

 情報の確認を必要とする理由

  ・債権を有する事実関係(取引日時や取引内容、取引金額など)

   ・情報の確認を必要とする事情 (いつ、だれに、どのような方法で連絡を取ろうと試みたかなど)                                           

   必要とする情報の項目

      ・氏名、住所、電話番号、FAX番号、電子メールアドレス、法人の場合は法人番号)

       ⇚口座番号も開示対象にするよう求める意見もあったが認められなかった

     ・特定商取引法11条ではバーチャルオフィス等の電話番号や住所の記載も認められているが、

      記載された電話番号で連絡が取れない場合は、販売事業者の電話番号が開示請求の対象になる。

   不正の目的のために利用しない旨の誓約-を記載して請求

開示請求標準書式が、消費者庁HP、同法Q&Aの中で示されている

取引デジタルプラットフォーム提供者は予め、販売業者等の意見を聞かなければならない

この際、原則として販売事業者等に対して消費者に関する情報等を開示することになる。  

そもそも特定商取引法11条で、通信販売事業者は、広告を行う際には、事業者の氏名(名称)、住所、電話番号、法人の場合は責任者の氏名等を明記する義務を負っているわけで、その義務を守っていない事業者の身元を知るために、 1万円以上の要件があったり、誓約をしたり、開示請求の過程で取引デジタルプラットフォーム提供者が販売業者等の意見を聞く(この際、原則は請求者の情報を伝える)こと自体、消費者からすれば本来は疑問でしかない。

このほか

 ◇内閣総理大臣への申出制度を創設


①何人も取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益が害されるお     

それがあると認めるときは、内閣総理大臣に対し適当な措置を取るべきことを申し出ることができる。

②内閣総理大臣は、必要な調査を行い、適当な措置をとらなければならない。

※5月2日に消費者庁HPに申出フォームが開設された

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/digital_platform/inquiry/disobey_form/

◇出品の停止要請 

①内閣総理大臣は、商品の安全性などについて、著しく虚偽・誤認表示があり、かつ、

   表示をした販売業社を特定できず個別法の執行が困難な場合

  取引デジタルプラットフォーム提供者に対し、出品停止を要請することができる。

②要請したときはその旨を公表することができる 

※ 措置を取った場合に販売事業者に生じた損害への取引デジタルプラットフォーム提供者の賠償を免責

追加:国会審議を経て規定された内閣府令で、結局ほとんど使えないことが明らかになっている。

内閣府令4条1項1号によると、商品の性能の優良誤認があった場合が対象とされているものの、特商法などの個別法の執行が困難な場合とされ、執行現実的にされていなくても執行ができる場合は対象にならない。リコール製品は対象にならない。

景表法で措置命令が出された商品が販売されていても、内閣府令4条1項2号は「1号の表示をした販売事業者が特定できない、所在が明らかでない等の事由により、当該表示の是正が期待できないこと」としており、事業者の是正が期待できないものとはならない。

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【法律と内閣府令の詳細】   =パブリックコメントを経て変更された部分

◇取引デジタルプラットフォーム提供者の努力義務

<法31>

取引デジタルプラットフォーム提供者は、次に掲げる措置を講ずるよう努めなければならない。

<1> 消費者が販売事業者等と円滑に連絡することができるようにするための措置。

 <2>販売条件等の表示に関し苦情の申し出を受けた場合に、事情の調査その他表示の適性を確保するために必要と認める措置。

 <3> 必要に応じ販売事業者に身元確認の情報提供を求めること。

<3条2項>

取引デジタルプラットフォーム提供者は、内閣府令で定めるところ※により、前項の規定に基づき、 講じた措置の概要と実施状況、その他内閣府令で定める事項※②を開示するものとする。

【内閣府令】

➀ 開示の内容が日本語で作成されていないときは、日本語の翻訳文を付す

一 消費者がその使用に係る電子計算機の映像面において、常に容易に閲覧することができるように表示すること。

二 消費者にとって明確かつ平易な表現を用いること。

※② 一 取引デジタルプラットフォーム提供者が講じた措置の概要

二 措置の実施の状況

      三 第一号の措置のほか、取引デジタルプラットフォーム提供者が取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護のために講じた措置がある場合には、措置の概要・実施の状況

◇出品の停止要請

<法4条1>

内閣総理大臣は、次の要件のいずれにも該当する場合に、消費者の利益が害されるおそれがあると認めるときは、販売事業者等による当該商品や特定権利の販売、役務提供に係る当該デジタルプラットフォームの利用停止その他必要な措置を要請することができる。

<1>商品の安全性の判断に資する事項その他の商品の性能、特定権利・役務の内容に関する重要事項として内閣府令で定めるもの※③について、著しく事実に相違する表示、または著しく優良誤認させる表示と認められること。

<2> 1号の表示をした販売事業者が特定できない、所在が明らかでない等の事由により、当該表示の是正が期待できないこと。

【内閣府令】

※③ 一 商品・役務の安全性の判断に資する事項

    二 国、地方公共団体、著名な法人、その他の団体、著名な個人の関与 

    三 商品の原産地、製造地、商標、製造者名 

    四 資格、登録、免許、許可、経験を証する事項 

    五 取引デジタルプラットフォームを利用して行われる通信販売に係る取引を行うか否かについての消費者の判断に通常影響を及ぼすもの 

<法4条2項>要請した旨を公表。

<法4条3項>上記措置で販売事業者に生じた損害への賠償を免責。


消費者が販売事業者の情報を開示請求できる権利を創設

<法5条1>

消費者は、自己の債権(金銭の支払を目的とし、かつ、その額が内閣府令で定める額※④を超えるものに限る)を行使するために、販売事業者等の氏名または名称、その他当該債権の行使に必要な販売事業者等に関する情報として内閣府令で定めるもの※➄(「販売事業者等情報」という)の確認を必要とする場合に限り、開示請求することができるものとする。

  信用を毀損する、不正目的の場合は、この限りでない。

【内閣府令】

※④1万円とする。

➄氏名、名称(法人や団体は名称、代表者氏名)。住所。電話番号。ファクシミリ番号、電子メールアドレス。法人番号。

 <法5条2項>

  内閣府令の定めるところ※⑥により、次の事項を記載し、または記録した書面または電磁的記録を提出し、または、提出しなければならない。

 販売事業者等情報の確認を必要とする理由。

   請求の対象となる販売事業者等情報の項目。

     不正の目的のために利用しない旨の誓約-を記載して請求。

【内閣府令】

※⑥郵便または信書便電磁的記録(電磁的方法=消費者の使用に係る電子計算機と取引デジタルプラットフォーム提供者の使用に係る電子計算機とを 接続する電気通信回線を通じて送信し、受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法。消費者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された情報の内容を電気通信回線を通じて取引デジタルプラットフォーム提供者の閲覧に供し、当該取引デジタルプラットフォーム提供者の使 用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該情報を記録する方法

<53>取引デジタルプラットフォーム提供者は、請求が要件に該当し、かつ、不正の目的でないと思料する場合は、当該販売事業者と連絡ができない場合を除き、開示するかどうかについて当該販売業者等の意見を聞かなければならない。  

 

内閣総理大臣への申出制度を創設

10条>
 ・何人も取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益が害される。

おそれがあると認めるときは、内閣総理大臣に対しその旨を申し出て、適当な措置を取るべきことを求めることができる。

・内閣総理大臣は、必要な調査を行い、適当な措置をとらなければならない。

【内閣府令 その他必要な事項】

申出の方法:次に掲げる事項を記載し、書面または電磁的記録を提出

一 申出人の氏名または名称、住所、電話番号

二 申出にかかる取引デジタルプラットフォームの名称

三 申出の趣旨

四 その他参考となる事項

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消費者間の取引は対象外だが、例えば、メルカリは、販売業者あるいは“隠れB”と呼ばれる

消費者個人を装った販売業者との取引は、同法の対象になる。

どのように消費者か、販売事業者を見分けるかは

「販売業者等に係るガイドライン」(2022年4月20日公表)で示されている。

主な内容は以下。

基本的な考え方

・「販売業者等」は、①営利の意思を持って②反復継続して取引を行う者をいう。

・画一的な基準を定めることは困難で、個別具体的な事情を総合考慮して判断するための考慮要素と具体例を示す。

商品・サービスそのものの考慮要素

➀商品の性質が販売前提か②新品の数③特定のカテゴリーか

具体例

➀いわゆる情報商材(副業、投資、ギャンブル等のノウハウとして販売されている情報)

②相当数の新品を自身では使用せず転売している場合

③相当数のブランド品、健康食品、チケット等、特定のカテゴリーの商品等を販売している場合 

商品・サービスの提供方法などの考慮要素

④同一商品の複数出品⑤許可・免許・資格・登録が前提か⑥口コミ数

具体例

④メーカー、型番等が全く同一の商品を複数出品している場合

⑤許可や免許、資格(法律上の根拠のないものを含む)、登録等を前提とした

商品を販売している場合  

⑥一定期間内に継続的に相当数の「口コミ」(商品購入者やサービス利用者の口コミ)を

受けている場合 

   =パブリックコメントを経て修正された部分

その他

デジタルプラットフォーム以外の場で販売を業として営む者は、その数量や金額等にかかわらず、原則として「販売事業者等」に該当すると考えられる。

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取引デジタルプラットフォーム提供者に課された努力義務を、「適切かつ有効に実施するための指針」も示されている。

おもな内容は以下

<1号> 消費者が販売事業者等と円滑に連絡することができるようにするための措置。

【指針】

○基本的な取り組み:

・連絡先や連絡手段が、消費者が容易に認識することができるような文字の大き さ・方法をもって、容易に認識することができるような場所に示されていること

 ・消費者が合理的な期間にわたり、社会通念に照らして相当な時間帯において、必要に応じ販売業者等と連絡が取れるようにすること

○望ましい取り組み例:

・販売事業者等の連絡先の表示の徹底(特商法11条の販売業者等の氏名・住所等の表示義務を遵守するため、販売事業者向けの専用ページを設ける)

・対応可能日時も記載するよう義務づける

・専用のメッセージ機能の提供する

・連絡手段が機能しているか否かを確認(定期的なパトロール、消費者からの情報受付窓口の設置)

・連絡手段が機能しない場合の対応

(消費者の連絡に対し、正当な理由なく一定期間販売業者等から阪神がない場合は取引デジタルプラットフォーム提供者が回答を促す。

消費者から、販売業者等への連絡手段が機能しないと取引デジタルプラットフォーム提供者に問い合わせがあった場合の内部的な標準処理期間を設ける)

<2号>販売条件等の表示に関し苦情の申し出を受けた場合に、事情の調査その他表示の適性を確保するために必要と認める措置。

【指針】

○基本的な取組:

  消費者が苦情の申出を行いやすい仕組を設け、苦情に係る事情の調査を行うこと等を基本的な取り組みとして、必要と認められる措置を講ずる。

○望ましい取組の例:

・消費者からの苦情の受付(注文確認画面やメール、商品ページごとに苦情申出のためのリンクを貼る。申出を行った消費者に回答する。購入後に限定せず購入前の苦情も受け付ける)

・関係者への照会等(安全性や知的財産権の侵害等のリスクが高い商品等について、製造業者、ブランドオーナー、権利者等にスムーズに照会できる仕組みを整える。

・不適正な表示が行われた場合の対応(利用規約に基づき比例的な制裁を行う。違反記録を蓄積し改善に活用する)

※苦情につながらない前段階の取組が考えられる。

➀利用規約で販売禁止対象商品・禁止行為を定める(法令違反に加えて、公序良俗違反やトラブルにつながりかねない出品等についても取引デジタルプラットフォーム提供者のポリシーに基づいて禁止する)

② 販売禁止対象商品・禁止行為のリストは、可能な限り具体的なものとする(例

えば、「法令に違反するもの」といったレベルではなく「○○法の規格基準に

適合していないもの」「○○に関し効果・効能をうたうもの」等)。

③ 消費者が「何が販売禁止対象商品・禁止行為であるのか」を把握できるよう、

専用ページ等により周知する。

④ 特に消費者の生命・身体に危険が及ぶような商品・役務について、必要に応じ、

・事前審査を行う

・商品説明に取扱いに当たっての注意表示の記載を求め、当該記載がない商品

は削除等の措置を行う等、不適正な販売条件等の表示をあらかじめ防止するための仕組みを導入する。

⑤ リコール対象製品等の危害を及ぼすおそれのある商品等を購入した消費者向けに、メールやアプリでの通知等により注意喚起等の情報提供を行う

<3号> 必要に応じ販売事業者に身元確認の情報提供を求めること。

【指針】

○基本的な取り組み:

 販売業者等の表示について問題のおそれのある事例に接した場合に情報の提供を求めること。そのために、アカウント登録時に、販売業者の特定に資する情報の提供を求めること。日常的な監視活動を通じて疑わしい事例に接した場合に販売業者等に対し裏付けの資料を求めること などが期待される。

○望ましい取り組み例:

・アカウント登録に当たり、法人であれば法人番号また登記事項証明書等、個人事業主であれば住民票や事業証明書等の情報や公的書類の提出を受ける。また、アカウント登録情報の変更時にも、変更しようとする情報を裏付ける資料の提出を受ける販売業者等の公的書類の提出を受ける。

・氏名や名称が、登録された銀行口座と名義が一致しているか確認する。

・許可等が必要な商品は証明書の提出を受ける。

・登録情報と異なる情報に接したときは事実確認を行い、正しい情報の記載を求める。

取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護のための取組を効果的かつ円滑に行うため、内閣総理大臣、国の関係行政機関、取引デジタルプラットフォーム提供者からなる団体、国民生活センター、地方公共団体、消費者団体等で構成される取引デジタルプラットフォーム官民協議会が組織される。

取引デジタルプラットフォーム官民協議会準備会が法施行前に設置され、内閣府令案、指針案が協議された。















成年年齢引き下げ④ 消費者契約法2022改正法案衆院通過 2018年の宿題は放棄か 

 消費者契約法2022年改正案は4月21日、本会議で賛成多数で可決され、衆議院を通過した。

成年年齢を引き下げる2018年改正民法、2018年消費者契約法改正法付帯決議が求めた

高齢者や若年成人らに対応するための「合理的に判断することができない事情を不当に利用したつけ込み型不当勧誘取消権の創設」は実現できないまま。

成年年齢引き下げの判断は国会に委ねられ、その前提として2020年までに整備することが求められた宿題を果たせないままだ。

にもかかわらず、

付帯決議には、

検討期限も切らず

「判断力の低下等個々の消費者の多様な事情に『応じた』取消権」の検討を開始することのみしか盛り込まれなかった。

消費者庁、政府の責任は大きい。

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そうそうたる専門家が、「消費者契約法改正に向けた専門技術的側面の研究会」で7カ月、「消費者契約に関する検討会」で1年9カ月、合計2年4カ月をかけて検討し、提案した3つの取消権創設が提案されたが、

4月19日、消費者庁は、「脆弱な消費者、さまざまな脆弱性がある消費者像は、必ずしも現行の消費者契約法の枠組みでは捉えられないもの」と答弁した。

そんなことが、条文化する段階で初めて明らかになったというのか。

「事業者の行為によって判断力が低下したわけではない」

「事業者の行為でなければ規定できない」などと意味不明な説明を繰り返しているが

「消費者の判断力の低下につけ込んだ行為」をなぜ規定できないのか。その理由さえ明確に説明できず

現行法で対象にならないという脆弱性に応じた取消権の創設が、どうしてできるのか。

成年年齢を引き下げる2018年改正民法、2018年消費者契約法改正法付帯決議の実現は放棄するのか。

待ったなしで対応が求められる超高齢化、若年成人への消費者被害の予防救済策をこの先何年も、消費者契約法では対処せずに、放置するというのか。