2013年11月27日水曜日

「牛脂注入肉」にアレルギー物質。優良誤認の問題なのか。外食産業へのアレルギー表示義務付け必要。

「牛脂注入肉」にアレルギー物質
添加物や調味液も注入
「乳」や「小麦」、「大豆」

 相次ぐ食材偽装問題で、がホテルや旅館、百貨店のレストランで「ステーキ」として提供されていたことが明らかになった「牛脂注入肉」

牛脂だけではなく、牛脂を乳化させ安定させるための添加物や調味液などが注入され、その中に食物アレルギーの原因となる「乳」や「小麦」、「大豆」などが含まれていることをどれだけの人が知っているだろうか。

 食肉加工業者から包装されて卸売業者、レストラン、小売店などに流通する段階では、食品衛生法でアレルギー表示が義務付けられているが、外食産業での義務付けはない。

牛脂注入肉に用いる調味液の原材料名表示の

「和牛脂、オイスターソース、たん白加水分解物、酵素、調味料(アミノ酸等)、カゼインナトリウム、リン酸塩、増粘剤、キサンタン、(原材料の一部に乳を含む)」。

カゼインナトリウム、リン酸塩
←肉を結着させ、注入した牛脂や調味液を肉にとどめるために用いられる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

安定剤カゼインナトリウムは乳由来の強いアレルゲン

このうち、カゼインナトリウムは牛乳から作られ、乳アレルギーのある人は、微量でも食物アレルギーを引き起こす可能性がある。乳由来の強いアレルゲンだ。

3歳の男の子と女の子が、豆腐めんに含まれていたカゼインナトリウムでアナフィラキシー(命にかかわる重篤な症状)を起こした症例が00年の日本小児アレルギー学会で報告されている。豆腐めんに用いた粉末油脂に3.5%のカゼインナトリウムが含まれていた。スナック菓子に使われていたカゼインナトリウムで発症した例もあるという。

アレルギー物質は、最終製品に「抗原性が認められないものを除き」表示が必要とされており、最終製品1gにつき100万分の数グラム(数マイクログラム)含まれていた場合は表示しなければならない。現在、卵、乳、小麦など7品目が義務表示とされ、大豆やゴマなど20品目が任意表示とされている。

リン酸塩は使用を減らす傾向にあり、使われていない牛脂注入肉もある。カゼインナトリウム、リン酸塩ともに使っていない製品もあった。ただし、原材料の一部に「乳」のほかに「小麦」、「大豆」を含むと表示されているものもある。


成形肉にも、カゼインナトリウム

 あばら骨の周りの肉や内臓肉などを固めた「成形肉」にも、「乳」や「卵」、「大豆」、「小麦」のアレルギー物質が含まれている。
パーム油、粉末状植物たん白(大豆、ソルビンタン脂肪酸エステル、亜硫酸水素ナトリウム)、卵白、pH調整剤、増粘多糖類、カゼインナトリウム、酵素などが含まれている。カゼインナトリウムが乳由来のアレルゲン。酵素に何が使われているか詳細を表示する義務はないが、トランスグルタミナーゼと併せて、日持ち向上剤の卵白リゾチームが使われている場合が多いという。この卵白リゾチームも、容器包装加工食品にはアレルギー物質の卵が含まれていることを表示する義務があるが、外食や中食での表示義務はない。


食物アレルギー患者に広がる不安
ステーキだけの問題なのか

食物アレルギーの子を持つ親の会には、一連の食材偽装が発覚して以後、「しゃぶしゃぶを食べに子どもを連れて行って大丈夫だろうか」などの相談が寄せられている。

ステーキだけの問題なのか。焼肉やすき焼き、しゃぶしゃぶは大丈夫なのか。そんな不安が広がっているという。

外食や中食(惣菜など)については、対面で聞くことができることを理由にアレルギー表示が義務づけられていないが、これらを注文する際にアレルギー物質が含まれているかどうか聞くことができるだろうか。


食物アレルギーの子を持つ親の会、武内澄子代表の話

これまで成形肉についてはアレルギー物質が含まれているという一定の認識があったが、牛脂注入肉にカゼインナトリウムなどのアレルギー物質が含まれていたことで不安が広がっている。

命にかかわる問題。外食産業でもぜひ表示をしてほしい。


04年の文部科学研究「食物アレルギー発症リスク軽減のための調査報告」では、アナフィラキシー症状を誘発した原因食品は容器包装加工食品が29.4%だったのに対し、レストランや中食などアレルギー表示の義務付けのない食品が33.7%と上回っていた。
この研究にメンバーの一員としてかかわった武内代表は、当時から中食や外食へのアレルギー表示の義務付けを強く求め続けてきた経緯がある。

 
 消費者庁食品表示一元化検討会の委員を務めた中村幹雄・鈴鹿医療科学大学薬学部客員教授の話

 レストランに納入されるまでは表示義務があるが、その情報が消費者に提供されない恐れがある。社会や消費者にとって何が安全かを考えなければならない。外食や中食での食物アレルギー表示を速やかに検討すべき

製造物責任法に詳しい東京PL弁護団代表の中村雅人弁護士の話

 提供した食品でアレルギー症状を発症した場合、表示の義務付けがなくとも、その物質がアレルギーを引き起こすことが広く知られている場合は、事業者は損害賠償責任を問われる可能性が大きい


消費者庁は、食材偽装問題を景品表示法の強化、執行体制の増強で対応しようとしているが、優良誤認の問題などではない

命にかかわる

アレルギー表示については、表示の義務付けの検討に早急に着手し、一刻も早く実施に踏み切るべきではないか。

食品表示Gメンに景表法の立入検査を可能に、自民党農林水産流通・消費対策委員会が緊急提言

農林水産省の地方農政局等に配置されている約1300人いる「食品表示Gメン」が、

景品表示法に基づく立ち入り検査をできるよう法的措置を―。


自民党農林水産戦略調査会(中谷元会長)と農林水産流通・消費対策委員会(山本拓委員長)は27日、外食のメニュー表示への監視体制を抜本的に強化する緊急提言をまとめ、林芳正農林水産相と森雅子消費者相に申し入れた。

参議院消費問題特別委員会終了後、委員会室の前で助田重義・農林水産流通・消費対策委員会事務局長から緊急提言文を受け取った森雅子消費者相は、「ありがたく受け止める。法改正を検討することになる」と話した。


2013年11月26日火曜日

急転直下、明日27日参院消費者特で審議3時間25分。消費者被害集団回復訴訟法案

 消費者被害集団的回復裁判手続特例法は、6日以降たなざらしの状況だったが、

急転直下、明日27日午後1時から3時間25分の審議が行われる。


 参議院消費者問題特別委員会は11月26日午後5時から理事懇談会を開き、明日の審議と

金曜日に参考人質疑2時間5分を行うことを決めた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 特定秘密保護法案を強行採決し、

明日、参院国家安全保障特別委員会での審議が入れられず、大臣日程が空いたのがその理由だ。

 与党が質問時間を短縮し、4時間の審議が3時間25分になった。

 大臣出席が必要ない参考人質疑の日程まで決めたのは、
委員長、筆頭理事はじめ、この法案を今国会でなんとかしたいという思いの表れでもある。

 会期末の6日までに、あと1日大臣日程を確保することができるのか。

 国家安全保障特別委員会の参考人質疑あるいは公聴会で大臣日程が空くタイミングを図るという綱渡り状態・・・。何とも・・・。


  消費者庁の担当者は、ほぼ徹夜でしょうか。
 
 頑張ってくださりませ。

2013年11月25日月曜日

景表法 「措置命令権限」「合理的根拠提出要求権限」の都道府県移譲が、食材偽装対策???

消費者庁は、景品表示法の「措置命令権限」「合理的根拠提出要求権限」を

都道府県に付与する方向で検討に着手する。


来年の通常国会での改正を目指すという。
といっても、作業としては、条文を数行変えるだけだが・・。


しかし、消費者委員会が2回も建議を出し、権限移譲の検討を求めてきたにもかかわらず

これまで、
「反対する都道府県がある」
「執行力が低下する」
ことを理由に、

「困難」と回答し続けてきた。

現在でも、都道府県は行政指導の「指示」は行うことができる。
行政処分権限を付与した場合、訴訟リスクなどに対応するため明確な裏づけが必要になり
逆に執行力が弱体化する

どちらが住民のためになるか
現状の方が住民のためになると、説明してきた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
消費者庁創設後の4年間で
「指示」を一度も出していない県がいくつあるか。

なんと22県もある。
(7月末現在、その後も増えていないという)

景品表示法を運用する体制がある県が、限定されているのが現状だ。

4年間の都道府県の指示件数は以下
(消費者庁が創設された09年9月~13年7月末まで)



順位 都道府県名 件数
1 東京都 33
2 埼玉県 13
3 栃木県 10
4 北海道 7
5 静岡県 6
6 茨城県 4
7 千葉県 3
7 神奈川県 3
7 新潟県 3
7 京都府 3
7 和歌山県 3
7 大分県 3
13 岐阜県 2
13 兵庫県 2
13 島根県 2
13 高知県 2
13 福岡県 2
13 熊本県 2
19 徳島県 1
19 愛媛県 1
19 愛知県 1
19 大阪府 1
19 佐賀県 1
19 宮崎県 1
19 沖縄県 1


これが過去4年間の「指示」の実績だ。

別格の体制がある東京都は別だが

消費者行政を担う担当課すらなく、班やグループで対応している県も少なくない。
(東京都は消費生活部があるが、課もない県もある)

相談業務や市町村の支援のほか
特定商取引法、割賦販売法、消費生活用製品安全法、生協法、JAS法など多くの法律を
執行する必要がある。

2、3人で多くの法律を担当しているところが多い。
1人で特定商取引法と景品表示法を担当している県があった。
1人で複数の法律のほか、他分野の仕事を兼務している県もあった。
職員がわずか2人という県があった。

これらの体制を改善することなく
権限のみを移譲しても
結局効果は上がらないどころか、さらに執行力が落ちる可能性すらある。

ガイドラインを作る以外に
何かやらなければ収まりがつかず

権限移譲を名目にするというのであればお門違いもはなはだしい。

執行体制を強化するには
人と予算がいる。


従来から措置命令権限の移譲を求める都道府県が一部にあり
内閣府消費者委員会が建議し、
それに対応しないことで、消費者団体からも権限移譲を求める意見が出た。

都道府県にあった方がいいに決まっているが
これまでできないとしてきた理由に、きちんと対応すべき。
それなしに権限のみ移譲するのは都道府県への責任転嫁に他ならない。

この4年間、消費者庁は、都道府県や市町村の消費者行政の核を育てるような政策をとってこなかった付けが回っている。自治事務とはいえ、各県にせめて消費者行政担当課が設置されるような施策、予算措置が望まれる。

もちろん、課徴金の検討も急がれるが、

これも、導入した場合に執行力の低下を招かないための措置が併せて必要になる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


19日に自民党消費者問題調査会(船田元会長)は、食品偽装問題で緊急提言をまとめ
20日、森消費者相に提言文を手渡した。

主な内容は以下

①今回のメニュー表示問題は、単なる「誤表示」ではなく「偽装」の疑いがあり、特に悪質なケースは刑事告発も視野に、政府は厳正な対応をすべき

②政府は、迅速・正確な情報の把握、相談窓口の開設やネットでの情報提供を行い、消費者の不安を最小限にくい止めるべき

③政府は、景品表示法について、「優良誤認」に基づく是正処置の実行にとどまらず、分かりやすいガイドラインを策定し、メニュー表示のルールの明確化を図るべき

④政府は、景品表示法の国・地方にわたる執行体制の強化や罰則強化を検討すべき

⑤政府は、関係業界に対し、テナントへの適切な対応や、過度の飲食部門のコスト削減圧力の是正など、経営体質や商慣行の改善を指導すべき

⑥関係業界は、ガイドラインを踏まえ、メニュー表示等の過去の慣例を徹底的に見直すとともに、メニューに使われる言葉の定義を明確にするなどして、新たな表示ルールを確立すべき

⑦関係業界は、景品表示法やJAS法、食品衛生法など、関係法令の順守徹底を図るべき

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
追加、公明党

公明党消費者問題対策本部(魚住裕一郎本部長)は22日、菅義偉・内閣官房長官らに対し、以下の緊急提言を行った。

①外食等の食品表示などの実態を早急に把握し、悪質事案に対し迅速かつ厳正に対処するとともに、その結果を速やかに公表すること

②食品表示の適正化のために、本年中に景品表示法等に関する分かりやすいガイドラインを策定し、関係業界に周知徹底するとともに、相談体制を整えること

③地方消費者行政活性化基金を活用し、各都道府県にある消費生活センターで外食を含む食品表示についての相談を受け付ける体制を整備し周知すること。関係省庁が連携して、「食品表示110番」、「食品表示Gメン」を活用し、外食を含む食品表示全般の監視体制を強化すること

④食品表示法の適正な運用を図るため、不当表示に関する監視・指導体制(地方自治体を含む)、内部チェック体制の充実など事業者の管理体制強化を検討すること

⑤外食等の食品表示のあり方、早急に検討に着手すること。その際、まず人命にかかわるアレルギー成分表示等の導入を先行して検討すること

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

一方、

民主党の食品虚偽表示問題対策本部(海江田万里本部長)は25日、

政府に対し、食品表示問題に対し迅速、的確な対応強化を求める要請を、森雅子消費者相に行った。

主な内容は以下

1.国会での十分な審議を
  担当大臣、関係大臣の出席の下、衆参両院消費者問題特別委員会で十分な審議を行うこと

2.分かりやすいガイドライン等の早期策定と、周知徹底を
  事業者からは「何が虚偽に当たるのか」という問い合わせが事業者に殺到している。
  景品表示法の不当表示について、実態調査を勧め、大至急、個人商店や中小事業者に  も分かりやすく事例を示し、周知徹底を図ること

3.景品表示法等の早急な見直しを求める
  消費者団体等の意見を尊重しつつ、都道府県知事に措置命令の権限を付与すること
  課徴金制度の導入や監視機能の強化を図る等を盛り込んだ抜本的な法改正作業を速やか   に進め、法改正の早期実現に取り組むこと
  その他のあらゆる手段を検討の対象とし、再発防止策を講ずること

4.消費者行政の体制強化を
  消費者庁の人員拡充とプロパー職員確保、地方公共団体との連携強化を図り、地方消費者  行政の充実を進めること

  ※ 消費者被害集団的回復裁判手続特例法案について、成立を期すため最大限の努力を傾注すること




集団回復訴訟法案 たなざらし。大臣確保できぬまま29日衆院消費者特 食材偽装で参考人質疑

 消費者被害集団的回復裁判特例法案は116日、参議院本会議で審議入りし消費者問題特別委員会に付託はされたものの、同委員会では趣旨説明すら行われない「たなざらし」の状況が続いている。

15日号で、「成立危うし」
廃案のリスクも排除できない状況と書いたが、
25日の段階でも未だ、全く見通せない状況だ。

一方、衆議院消費者問題特別委員会は25日、「食材偽装問題」で参考人招致決議を行った。

29日に3時間、参考人質疑が行われることが決まった。


衆議院では、
森消費者相は、特定秘密保護法案にかかりきりで、審議日程が確保できない中、
民主を中心に野党が社会問題化した「食材偽装問題」で、集中審議を求めてきた。

13日から理事懇談会で調整に入ったが、
与党は、副大臣による審議、参考人質疑を先行させることを求め、
大臣出席を譲らない野党との間で調整が難航していた。

大臣日程が確保できないまま、参考人質疑から審議に入る。

消費者被害集団的回復裁判手続特例法の重要性は
認識していただいてはいるようだが、

さらに大臣日程の確保は困難になっている。

116日の参議院本会議では、

民主党の森本真治氏が「消費者被害が少額でも着実に回復できる制度の導入は、国民経済に大変良い影響を与えることは確実」として、法案の速やかな可決成立を求めたが、

参議院消費者問題特別委員会の同法案の審議は、ストップしたままだ。
廃案は許されない。


2013年11月10日日曜日

食品表示法、食品表示基準の検討始まる。人選と検討手法で早くも紛糾。

食品表示法の食品表示基準の検討が11月6日

内閣府消費者委員会の下に設置された「第3次食品表示部会」(阿久澤良造部会長、16人)で始まった。

食品表示法は、今年6月28日に公布され、平成27年6月(公布から2年を超えない範囲)までには施行しなければならない。表示基準は内閣府令として、十分な周知期間を取るよう公布され、法施行と当時に施行される。


食品表示基準の検討に着手した初日の部会は、以下2点で紛糾した。

★1 山根香織・主婦連合会会長、山浦康明・日本消費者連盟事務局長が、部会メンバーから外された。代わりに入ったのは、消費者団体からは、河野康子・全国消費者団体連絡会事務局長1人となった。

5月に、「新食品表示法施行への今後の検討課題に関する調査会」設置を提言した4人の委員のうち3人が外れた。なぜ3人が外されたのか。人選はだれが行ったのか。提言への検討はどうなったのかと、1人委員として残った立石幸一委員(JA全農食品品質・表示管理部長)は、憤りを隠さず質問し続けた。

これに対し事務局は「人事について、食品表示部会で話すのは適切ではない。担当大臣が判断されたのではないか」と、回答している。

 ※ なんともあきれた話だ。会議の結論に人選は大きく影響する。3期連続して務める部会委員が多い中で、長く食の問題に第一線て取り組んできた消費者団体の代表をこの時点でなぜ外す必要があるのか。しかも、全国消団連は長官の出身母体だ(個人を批判する気は毛頭ない。外形的な問題として恣意的な人事と受け取られかねない)。

委員会の下部組織であるにもかかわらず消費者委員会の委員は一切人選にかかわれていないことが取材で判明した。民間の事務局長が外れた今、下部組織の人選に委員が何ら関与できない仕組みの在り方自体に私は問題があると感じる。改善を検討すべきではないか。


2 次回から
①栄養表示②生鮮食品・業務用食品の表示③加工食品の表示
―の3つの調査会に分けて検討する

 とした点にも、疑問の声が上がった。

・生鮮食品と加工食品の線引きを共同会議(厚労省と農水省)で4年間議論して何もやってこなかった。消費者庁の検討方針は現行を是とするもの。業界のしがらみで作られたおかしな表示がいっぱいある。生鮮食品と加工食品の垣根なんかほんとはない。矛盾だらけの法律をホッチキスで止めるのはどう考えてもおかしい。原理原則を議論すべき(立石委員)


生鮮食品と加工食品の線引きは調査会に入る前での確認が必要ではないか。総論部分や用語の説明(下記検討課題参照)は部会でやるべき(河野康子委員)

・生鮮食品と加工食品の線引きを分かりやすくすることが重要。調査会でうまくいくのか。共通する課題があるのではないか。まず具体的な問題を投げてほしい(石川直基委員)

・食品の区分は、加工食品と生鮮食品でいいのか。包装、未包装(対面で販売される惣菜やレストランで提供される食事など)に分類するという考えを取り入れれば、これまでの問題が解決する可能性がある(鬼武一夫委員)

・アレルギー表示は、原因物質が入っているかどうか遡ることができるよう、川下から川上まで統一した検討をしてほしい(栗山眞理子委員)

 ※これについては次回消費者委員会(12日)で議題になる。

12日の消費者委員会では、必要に応じて合同、あるいは部会で検討することとされ、
次回は28日、部会が開かれることに決まった。

立石委員は、部会を経る前に説明会が予定されているのもおかしいと指摘している。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
消費者庁が示したスケジュール、食品表示基準の策定方針、当面の検討課題は以下。

◇内閣府令(食品表示基準)制定までのスケジュール
   11月から食品表示部会で検討
   平成26年夏ごろ、部会でパブコメ案了承→パブコメ実施

食品表示基準の策定方針
現行58本の基準を1本に統合
消費者が求める情報提供 事業者の実行可能性とのバランスを図る
双方に分かりやすい表示基準を策定

   原則として、表示義務の対象範囲(食品、事業者等)は変更しない
   食品衛生法とJAS法の統合で、一部変更される部分あり
   例) 刺身盛り合わせ 現在JAS法では2種以上は加工食品とされ加工品表適用
     生鮮食品と整理した場合、原産地、解凍かどうか、養殖かどうかの表示追加
   基準は、食品・事業者の分類に従って整序し、分かりやすい階層構造とする
食品表示法41項 (食品表示基準の策定等)では
    「内閣総理大臣は、内閣府令で、食品及び食品関連事業者等の区分ごとに、
次に掲げる・・・・・表示の基準を定めなければならない」とされている。
食品の区分を ①加工食品 ②生鮮食品 ③添加物 ―の3区分とする
    食品関連事業者等の区分を
    一般消費者向け食品を扱う事業者
    業務用の食品を扱う事業者
    食品関連事業者以外の販売者(事業者内の販売者やバザー等)
             ―の3区分とする
    ③×③の9区分ごとに 
1.表示事項(横断的事項、個別的事項)
           2.表示方法(横断的事項の表示方法、個別的事項の表示方法)
3.表示レイアウト、文字の大きさ、表示禁止事項等
           を定める
③ 区分ごとに、食品の性質等に照らし、できるだけ共通のルールにまとめる
   けれども個別品表46本については
     ①名称の定義は原則として存置
  ② 内容量の記載方法、禁止事項は原則として区分ごとにルールを統一
  ③ 法目的達成や他法令の整合性で必要なものは存置する方向で検討
④ 栄養表示基準は、実現可能性の観点から義務化にふさわしい内容に見直す
   対象成分、対象食品、対象事業者等
⑤ 安全性に関するルールを分かりやすく見直す
  例;アレルギー表示の代替表記等の見直し
(「マヨネーズ」と表記した場合に「卵」を含む表示を省略できる)
     

◇食品表示部会での当面の検討課題
1.総論    3法を統合するための検討(食品・事業者等の区分などの整理)
         ・表示義務者の考え方の整理、だれが表示すべきか
         ・生鮮食品と加工食品の線引き
         ・その際の表示基準の整理
         ・スーパーのバックヤードを対象とするか
         ・業者間取引の表示対象と表示方法の整理
         ・JAS法の個別品質表示基準の整理・統合
        ②用語の統一
2.栄養表示  ③対象成分(義務化する栄養成分)
 ④対象食品(消費者向け包装食品に限るか)
 ⑤対象事業者等(除外規定の設定など)
 ⑥表示方法(100g当たりとしているが、1包も認めるかなど)
 ⑦強調表示(文字の色、大きさも強調表示に含めるかなど)
3.アレルギー ⑧アレルギー表示の代替表記等の見直し
表示    ⑨表示方法(個別表示、一括表示など)の整理
4.その他   ⑩レイアウト、文字の大きさの検討

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

消費者の安全、自主的、合理的な選択の機会が確保され、消費者に必要な情報た提供されることが消費者の権利であることを尊重することが明記された食品表示法にふさわしい、表示基準の策定が求められている。


食品表示部会は目が離せない。国会での度重なる議員の質問への回答と、現実の検討状況はあまりにかい離があると感じる。傍聴者も多く、すぐに傍聴が締め切られる状況もあり、審議内容を動画配信してはどうか。


ホテルや百貨店の食材偽装が相次ぎ社会問題化する中で、消費者庁は景品表示法の周知と厳正な執行を対応策として上げている。6日の長官会見では景表法の課徴金についても「執行状況を見ながら検討していきたい」と答えている。

表示対策課48人のうち20人が執行に当たる体制(国会答弁の数字で書いたが、非常勤を入れると約60人、執行は約40人が担当しているそう)。

公正取引委員会の地方事務所が、同法が消費者庁に移管された後も執行に当たっているが、都道府県の執行体制は22県が1度も指示処分を行ったことがない(本年7月末時点)という現状がある。人がいない。消費者庁はこれまでは課徴金を導入すると執行力が落ちるとして検討に消極姿勢だった。これで課徴金の検討に入るというのであればそれは歓迎できる。

しかし、景表法の取り締まりだけで十分なのかという問題がある。ルールがなければ一流と言われるホテルも百貨店も軒並み消費者を欺いていたことが露呈した。外食店のメニュー表示規制を求める声も高まっている。

8日付、消費者庁が外食店のメニュー表示規制の検討に入ったという一部報道について、同日の閣議後会見で、森雅子消費者相は、指摘のような事実関係はないと否定している。6日の食品表示部会でも、「食品表示基準の策定が最優先」という消費者庁の説明が繰り返されるばかりだった。

しかし、アレルギー表示は、そうもいくまい。

成形肉の決着材に用いられるカゼインナトリウムは、乳由来の強いアレルゲンだ。オーストラリア牛のステーキ肉に脂肪を注入する際にカゼインナトリウムも注入されるという情報がある。

命にかかわるアレルギー表示の義務付けは、急ぐ必要がある。

栄養成分表示では、現在任意表示とされているトランス脂肪酸の義務付けが焦点になってくる。
米食品医薬局(FDA)が7日、トランス脂肪酸の使用を段階的に禁止すると発表した。

食材偽装の問題では、11日午後5時15分から30分、官邸で食品表示問題関係省庁等会議が開催される。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
参考 食品表示部会のメンバーは以下。

第3次食品表示部会

部会長阿久澤 良造日本獣医生命科学大学応用生命科学部長
部会長代理夏目 智子全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
安達 玲子国立医薬品食品衛生研究所 代謝生化学部 第三室長
池戸 重信宮城県産業技術総合センター 副所長兼食品バイオ技術部長
池原 裕二一般財団法人食品産業センター企画調査部次長
石川 直基弁護士
板倉 ゆか子消費生活アナリスト
宇理須 厚雄藤田保健衛生大学医学部教授
鬼武 一夫日本生活協同組合連合会品質保証本部安全政策推進部長
春日 雅人独立行政法人国立国際医療研究センター 総長
栗山 眞理子特定非営利活動法人アレルギー児を支える全国ネット「アラジーポット」 専務理事
河野 康子一般社団法人全国消費者団体連絡会事務局長(共同代表)
迫 和子公益社団法人日本栄養士会 専務理事
澁谷 いづみ愛知県豊川保健所長
立石 幸一JA全農 食品品質・表示管理部長
宮地 邦明日本チェーンストア協会 食品委員会委員

第2次食品表示部会
部会長     田島 眞      実践女子大学生活科学部教授
        夏目 智子    全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
        川戸 惠子    ジャーナリスト
        青柳 和夫     株式会社 セブン&アイホールディングス法務部 FT委員会
        阿久澤良造    日本獣医生命科学大学 応用生命科学部長
        阿南 久      全国消費者団体連絡会事務局長
        海老澤元宏    国立病院機構相模原病院臨床研究センターアレルギー性疾患研  究部長
        鬼武 一夫     日本生活協同組合連合会 組織推進本部 安全政策推進室長
        春日 雅人     独立行政法人 国立国際医療センター 研究所長
        栗山 真理子   特定非営利活動法人 アレルギー児を支える全国ネット「アラジー  ポット」 専務理事
        迫 和子      社団法人日本栄養士会 専務理事
        澁谷いづみ     愛知県半田保健所長
         宗林さおり      独立行政法人 国民生活センター商品テスト部長
 立石 幸一      JA全農 食品品質・表示管理部長
 手島 玲子      国立医薬品食品衛生研究所 代謝生化学部 部長
 中下 裕子      弁護士
 森 修三       財団法人食品産業センター 企画調査部 次長
 森 康益        株式会社ニチレイ 執行役員 品質保証部長
 山浦 康明     特定非営利活動法人日本消費者連盟共同代表運営委員兼事        務局長
  山根 香織     主婦連合会会長

2013年11月7日木曜日

参議院消費者特委の審議時間は8時間に決定 「消費者被害集団回復訴訟法案」

参議院消費者問題特別委員会は11月6日、理事懇談会を開き、

「消費者被害集団回復裁判手続特例法案」の審議時間を8時間に決めた。


初回の審議を3時間50分

参考人質疑(3時間程度)

後半の審議時間を4時間10分 で調整している。


参考人招致のための決議が必要で、
審議日程は、2日では難しそうだ。3日をどの日程で確保できるかが焦点。

猪口邦子・与党筆頭理事(元内閣府特命担当大臣)が、精力的に調整に動いている。
金子洋一・野党筆頭理事も、衆議院を通過前から、参議院ですぐに審議できるよう準備すると話しており、筆頭間の調整、寺田典城委員長のリーダーシップに期待したい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
6日の同委員会での審議は、大臣所信に対する一般質疑が約3時間行われた。

相次いで発覚する食材偽装への対応
特定商取引法の指定権利制を巡る消費者委員会の建議と、消費者庁の見解の相違
地方消費者行政の強化、消費生活相談員の処遇改善
秋田書店の景品水増しを担当させられた女性社員が解雇された問題
ネオニコチノイド系農薬への対応

などの質問が出ている。

2013年11月6日水曜日

衆議院消費者特委審議から 特定適格消費者団体への支援不明確

衆議院消費者問題特別委員会 10月30日、31日の審議から Ⅱ

◇ 「特定適格消費者団体」の資金確保への具体的支援策は
   
  ・認定要件として一定の経理的基礎を求めており、それをもとに自立した活動をするのが基本

     現在の適格消費者団体への支援
      適格消費者団体の知名度を向上させ、会費等の収入を増やす
      認定NPO法人制度活用による寄付金受け入れの促進
      自治体が消費者団体への補助金支出を可能とする地方消費者行政活性化基金事業

   それだけでは不十分との指摘もあるので、法案成立後も検討してまいりたい。



◇ 情報面の支援をどのように行う方針か。PIO-NET端末は導入できていないが理由は


  ・相談現場の懸念をどう払しょくするかが課題
    個人情報が流出するリスクがある、
    相談者が相談を躊躇するのではないかという意見がある
   

  ・情報の閲覧範囲、情報の管理規定の整備をしっかり行っていく中で
   活用できるよう検討を進めてまいりたい

                          (31日、郡和子氏の質問に福岡大臣政務官答弁)
 
◇ 前向きな答弁だが、ずっと検討して今なおできていない。いつごろ結論をだすのか
 
  ・施行までに結論がでるように検討を急いでまいりたい

                           (同、川口審議官答弁)


衆議院消費者特委審議から 乱訴防止で「特定適格消費者団体の認定監督等に関するガイドライン」

衆議院消費者問題特別委員会 10月30日、31日の審議から

◇ 乱訴防止のために作られるガイドラインとは

 「特定適格消費者団体」の認定監督に関するガイドラインを策定する。
  
  ・現在ある適格消費者団体の認定監督等に関するガイドラインを参考に策定

  ・具体的な内容
     活動実績、業務体制、経理的基礎などの具体的な判断基準
     被害回復関係業務で支払いを受ける報酬・費用の額、算定方法、支払方法などの基準
     業務規定に記載すべき事項の詳細など

  ・検討会を開催、パブコメに付す
     事業者団体、消費者団体、学識経験者等で構成する検討会を開催
     パブコメを通じ、角界各層からの意見を反映

  ・消費者委員会とも連携して検討
                          (31日、郡和子氏の質問に福岡大臣政務官答弁)



2013年11月3日日曜日

消費者被害集団的回復訴訟法案 11月1日、修正議決で衆院通過

「消費者被害集団的回復訴訟案」は111日、衆議院本会議で全会一致で修正議決され、衆議院を通過した。

修正内容は

法律の付則に「検討等」として、検討条項を盛り込む異例の内容となった。

①乱用を防止する方策の検討
②特定適格消費者団体への資金・情報面での支援の検討
③施行後の施行状況の検討を5年後から3年後とし、
  訴訟が提起できる範囲などの見直しを特記
④同法が適用除外されることとされた施行前に契約した消費者被害への措置
⑤国民への周知

※ 施行は、公布の日から3年を超えない範囲 だが
  ①②⑤は 公布の日としている。

 付帯決議はない。


「画期的な制度を新設するにあたって、あらかじめ検討条項を設けていくことが不可欠」。

民主党の郡和子・元内閣府大臣政務官(野党筆頭理事)は、31日の消費者問題特別委員会で、修正案についてこう説明している。

修正案は、自民、公明、民主の3党が提出し、全会一致で可決された。

みんなの党は、特定適格消費者団体が1段階目の訴訟を提起する際に、対象消費者の数に応じた一定割合以上の授権がなければならない―などとする修正案を提出

共産党は、乱訴の懸念はないとして、乱用防止策の検討を除外した修正案を提出

それぞれ否決され、

その後採決された自民、公明、民主の3党が提出した案には、総員が起立し、全会一致で可決された。

(何だがわけが分からないけれど・・、反対まではしないということらしい)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・修正後の法律案 付則部分抜粋 (下線部が修正部分)

附則

(施行期日)
1    この法律は、公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、附則第3条、第4条及び第7条の規定は、公布の日から施行する。

(検討等)
3条 政府は、この法律の趣旨にのっとり、特定適格消費者団体がその権限を濫用して事業者の事業活動に不当な影響を及ぼさないようにするための方策について、事業者、消費者その他の関係者の意見を踏まえて、速やかに検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
4条 政府は、特定適格消費者団体による被害回復関係業務の適正な遂行に必要な資金の確保、情報の提供その他の特定適格消費者団体に対する支援の在り方について、速やかに検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
5条 政府は、この法律の施行後3年を経過した場合において、消費者の財産的被害の発生又は拡大の状況、特定適格消費者団体による被害回復関係業務の遂行の状況その他この法律の施行の状況等を勘案し、その被害回復関係業務の適正な遂行を確保するための措置並びに共通義務確認の訴えを提起することができる金銭の支払義務に係る請求及び損害の範囲を含め、この法律の規定について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
 2 政府は、前項に定める事項のほか、この法律の施行後3を経過した場合において、この法律の施行の状況いついて検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
6条 政府は第3条第1項各号に掲げる請求に係る金銭の支払義務であって、附則第2条に規定する請求に係るものに関し、当該請求に係る消費者の財産的被害が適切に回復されるよう、重要消費者紛争解決手続(独立行政法人国民生活センター法(平成14年法律第123)11条第2項に規定する重要消費者紛争解決手続をいう。)等の裁判外紛争解決手続(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(平成16年法律第151)1条に規定する裁判外紛争解決手続をいう。)の利用促進その他の必要な措置を講ずるものとする。
7条 政府は、この法律の円滑な施行のため、この法律の趣旨及び内容について、広報活動等を通じて国民に周知を図り、その理解と協力を得るよう努めるものとする。