2013年11月25日月曜日

景表法 「措置命令権限」「合理的根拠提出要求権限」の都道府県移譲が、食材偽装対策???

消費者庁は、景品表示法の「措置命令権限」「合理的根拠提出要求権限」を

都道府県に付与する方向で検討に着手する。


来年の通常国会での改正を目指すという。
といっても、作業としては、条文を数行変えるだけだが・・。


しかし、消費者委員会が2回も建議を出し、権限移譲の検討を求めてきたにもかかわらず

これまで、
「反対する都道府県がある」
「執行力が低下する」
ことを理由に、

「困難」と回答し続けてきた。

現在でも、都道府県は行政指導の「指示」は行うことができる。
行政処分権限を付与した場合、訴訟リスクなどに対応するため明確な裏づけが必要になり
逆に執行力が弱体化する

どちらが住民のためになるか
現状の方が住民のためになると、説明してきた。

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消費者庁創設後の4年間で
「指示」を一度も出していない県がいくつあるか。

なんと22県もある。
(7月末現在、その後も増えていないという)

景品表示法を運用する体制がある県が、限定されているのが現状だ。

4年間の都道府県の指示件数は以下
(消費者庁が創設された09年9月~13年7月末まで)



順位 都道府県名 件数
1 東京都 33
2 埼玉県 13
3 栃木県 10
4 北海道 7
5 静岡県 6
6 茨城県 4
7 千葉県 3
7 神奈川県 3
7 新潟県 3
7 京都府 3
7 和歌山県 3
7 大分県 3
13 岐阜県 2
13 兵庫県 2
13 島根県 2
13 高知県 2
13 福岡県 2
13 熊本県 2
19 徳島県 1
19 愛媛県 1
19 愛知県 1
19 大阪府 1
19 佐賀県 1
19 宮崎県 1
19 沖縄県 1


これが過去4年間の「指示」の実績だ。

別格の体制がある東京都は別だが

消費者行政を担う担当課すらなく、班やグループで対応している県も少なくない。
(東京都は消費生活部があるが、課もない県もある)

相談業務や市町村の支援のほか
特定商取引法、割賦販売法、消費生活用製品安全法、生協法、JAS法など多くの法律を
執行する必要がある。

2、3人で多くの法律を担当しているところが多い。
1人で特定商取引法と景品表示法を担当している県があった。
1人で複数の法律のほか、他分野の仕事を兼務している県もあった。
職員がわずか2人という県があった。

これらの体制を改善することなく
権限のみを移譲しても
結局効果は上がらないどころか、さらに執行力が落ちる可能性すらある。

ガイドラインを作る以外に
何かやらなければ収まりがつかず

権限移譲を名目にするというのであればお門違いもはなはだしい。

執行体制を強化するには
人と予算がいる。


従来から措置命令権限の移譲を求める都道府県が一部にあり
内閣府消費者委員会が建議し、
それに対応しないことで、消費者団体からも権限移譲を求める意見が出た。

都道府県にあった方がいいに決まっているが
これまでできないとしてきた理由に、きちんと対応すべき。
それなしに権限のみ移譲するのは都道府県への責任転嫁に他ならない。

この4年間、消費者庁は、都道府県や市町村の消費者行政の核を育てるような政策をとってこなかった付けが回っている。自治事務とはいえ、各県にせめて消費者行政担当課が設置されるような施策、予算措置が望まれる。

もちろん、課徴金の検討も急がれるが、

これも、導入した場合に執行力の低下を招かないための措置が併せて必要になる。
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19日に自民党消費者問題調査会(船田元会長)は、食品偽装問題で緊急提言をまとめ
20日、森消費者相に提言文を手渡した。

主な内容は以下

①今回のメニュー表示問題は、単なる「誤表示」ではなく「偽装」の疑いがあり、特に悪質なケースは刑事告発も視野に、政府は厳正な対応をすべき

②政府は、迅速・正確な情報の把握、相談窓口の開設やネットでの情報提供を行い、消費者の不安を最小限にくい止めるべき

③政府は、景品表示法について、「優良誤認」に基づく是正処置の実行にとどまらず、分かりやすいガイドラインを策定し、メニュー表示のルールの明確化を図るべき

④政府は、景品表示法の国・地方にわたる執行体制の強化や罰則強化を検討すべき

⑤政府は、関係業界に対し、テナントへの適切な対応や、過度の飲食部門のコスト削減圧力の是正など、経営体質や商慣行の改善を指導すべき

⑥関係業界は、ガイドラインを踏まえ、メニュー表示等の過去の慣例を徹底的に見直すとともに、メニューに使われる言葉の定義を明確にするなどして、新たな表示ルールを確立すべき

⑦関係業界は、景品表示法やJAS法、食品衛生法など、関係法令の順守徹底を図るべき

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追加、公明党

公明党消費者問題対策本部(魚住裕一郎本部長)は22日、菅義偉・内閣官房長官らに対し、以下の緊急提言を行った。

①外食等の食品表示などの実態を早急に把握し、悪質事案に対し迅速かつ厳正に対処するとともに、その結果を速やかに公表すること

②食品表示の適正化のために、本年中に景品表示法等に関する分かりやすいガイドラインを策定し、関係業界に周知徹底するとともに、相談体制を整えること

③地方消費者行政活性化基金を活用し、各都道府県にある消費生活センターで外食を含む食品表示についての相談を受け付ける体制を整備し周知すること。関係省庁が連携して、「食品表示110番」、「食品表示Gメン」を活用し、外食を含む食品表示全般の監視体制を強化すること

④食品表示法の適正な運用を図るため、不当表示に関する監視・指導体制(地方自治体を含む)、内部チェック体制の充実など事業者の管理体制強化を検討すること

⑤外食等の食品表示のあり方、早急に検討に着手すること。その際、まず人命にかかわるアレルギー成分表示等の導入を先行して検討すること

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一方、

民主党の食品虚偽表示問題対策本部(海江田万里本部長)は25日、

政府に対し、食品表示問題に対し迅速、的確な対応強化を求める要請を、森雅子消費者相に行った。

主な内容は以下

1.国会での十分な審議を
  担当大臣、関係大臣の出席の下、衆参両院消費者問題特別委員会で十分な審議を行うこと

2.分かりやすいガイドライン等の早期策定と、周知徹底を
  事業者からは「何が虚偽に当たるのか」という問い合わせが事業者に殺到している。
  景品表示法の不当表示について、実態調査を勧め、大至急、個人商店や中小事業者に  も分かりやすく事例を示し、周知徹底を図ること

3.景品表示法等の早急な見直しを求める
  消費者団体等の意見を尊重しつつ、都道府県知事に措置命令の権限を付与すること
  課徴金制度の導入や監視機能の強化を図る等を盛り込んだ抜本的な法改正作業を速やか   に進め、法改正の早期実現に取り組むこと
  その他のあらゆる手段を検討の対象とし、再発防止策を講ずること

4.消費者行政の体制強化を
  消費者庁の人員拡充とプロパー職員確保、地方公共団体との連携強化を図り、地方消費者  行政の充実を進めること

  ※ 消費者被害集団的回復裁判手続特例法案について、成立を期すため最大限の努力を傾注すること




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