2014年8月10日日曜日

食品表示法 新食品表示基準案の主な内容   製造所固有記号 異例の7案併記

「食品表示法」 の 「新食品表示基準案」の主な内容

食品表示法は13年6月28日に公布され、2年を超えない来年6月28日までには、施行しなければならない。
   
食品表示法の新食品基準案(内閣府令案)が7月7日に公表され、8月10日まで意見を募集している。

主な内容を紹介する。

新食品表示基準案(内閣府令案)の構成

58基準を1本に統合、実は切り貼り

食品表示法は、①食品衛生法②JAS法③健康増進法―の3法の食品表示部分を統合。

同法4条に「食品を安全に摂取し、自主的かつ合理的に選択するため」の食品表示基準を、消費者委員会の意見を聞いて、策定することが定められた。

現在、食品表示基準は
①食品衛生法は5基準(府令2、告示3)
②JAS法は52基準(加工食品品質表示基準+パン、ジャム、ソーセージなど個別基準  46、生鮮食品品質表示基準+玄米・精米など個別基準3)
③健康増進法の1基準(栄養表示基準)―の計58基準ある。

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これらを1本に統合 以下で構成した。
第1章 総則(12条)
外食の適用除外 
定義 加工食品、生鮮食品等
2章 加工食品(317条)
    一般用加工食品
    業務用加工食品
    食品事業者以外(バザー、祭り等)
3章 生鮮食品(18条~31条)
    一般用加工食品
    業務用加工食品
    食品事業者以外
第4章 添加物(32条~39条)
    一般用添加物
    業務用添加物
    食品事業者以外
5章 雑則(40条~41条)
    生食牛肉注意喚起表示
努力義務
付則(1条~5条)
施行日
経過措置等

①総則②加工食品③生鮮食品④添加物⑤雑則⑥付則―で構成される。
 加工食品、生鮮食品ともに、すべてに共通する横断的義務表示をまず示し、
 次に一定の食品に共通する義務表示、個別品目ごとの義務表示内容を記載。
 新基準案は41条、別表は24、340ページある。

外形的には統合されているが、切り貼りしてくっつけたに過ぎない。
「生鮮食品」と「加工食品」の線引きをせず、加工度に応じて必要な表示を検討すべきとの意見が一部委員から最後まで出され続けたが、結局意見は一致せず、消費者庁案通りJAS法に沿って整理された。「製造」と「加工」の線引きも、明確な整理を求める意見が出されたが、結局あいまいなままだ。

消費者庁は、消費者が意見を出しやすいよう分かりやすくパブコメ案を紹介する必要がある。消費者委員会からも要望が出されたが、概要版は程遠い内容だ。変更点が整理された部分はわずか3ページ。消費者委員会に提案した消費者庁案の説明のための資料が一部添付されたに過ぎない。

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◇ 製造所固有記号の見直し 7案併記
   複数工場の同一製品のみ認める  消費者庁案

新基準案 製造所固有記号の規定 (3条、10条、32条)

1.製造所または加工所の所在地と、製造者または加工者の氏名か名称を表示する
3.1の規定にかかわらず、原則として同一製品を2以上の製造所で製造している場合は、製造者の住所、氏名(本社)と製造所固有記号、販売者の住所、氏名と製造所固有記号で、製造所の所在地、製造者の氏名または名称の表示に代えることができる。
その場合は、以下のいずれかを表示する
   製造所の所在地、氏名、名称を回答する者の連絡先
   製造所固有記号が示す製造所所在地、製造者氏名か名称を表示したサイトのアドレス
   すべての製造所所在地、製造者氏名か名称、製造所固有記号

 説明資料に併記された6
     製造所固有記号の使用は認めない
   ②   表示面積により記載が難しい場合のみ認める
   ③   「共有包材によるコスト削減メリットがある」「表示面積に制約がある」「販売  者が食品の安全性の責任を持ち販売者を表示する」場合に認める
   ④   自社の複数工場で生産している場合のみ認める
   ⑤   データベースの改善、応答義務、消費者の検索利用、製造所固有記号の再審査制  のみに取り組む
   ⑥   データベースの改善のみ行う


論点

事業者のメリットのために、消費者庁の人員を割いてデータベースを整備するのか。

J796、VGA、SFA25-。アクリフーズ群馬工場で冷凍食品に農薬が混入され回収がかけられたとき、「アクリフーズ群馬工場」の記載がなくこんな記号が書かれている商品があった。これが製造所固有記号だ。

食品衛生法では、製造者か加工者の所在地と氏名か名称を記載することとされている。その例外として、表示面積が小さい場合などに認められてきた。

ただし、その数は現在89万個を超え、どの程度が実際に使われているかすら把握されていない。消費者庁は、事業者が包材を共有化できるメリットが大きく、そのメリットを維持するとして、この案を提起している。

消費者団体の調査で、製造所固有記号が示す製造者と所在地を電話で問い合わせても教えない事業者があることが判明した。レトルトカレーなど76商品について調査したが、大手事業者を含め教えていない「企業秘密のため教えられない」「教えたくない」と回答した事業者があった。自社名で販売している商品と、PBブランドで販売している商品の価格が3倍も差がある場合に、製造所固有記号が使われていた。

消費者団体が、情報公開請求で消費者庁から製造所固有記号のデータを1年分取り寄せた結果、土産物を販売していると思われる事業者の製造所が、その土地にないケースが数多く確認された。

教えない理由を取材しても「義務はなく各社の判断に任されている段階で、回答しかねる」「製造ノウハウの漏えい防止を重点に、都道府県の所在地のみの開示にとどめている」「他の事業者からPB商品製造の依頼を受けた場合に対応できないため」「教える必要はない」(土産物店)などの回答が返ってきた。

明らかに事業者の都合で、製造所固有記号が使われている実態がある。
包材共有化のメリットのためという消費者庁の検討の前提自体が誤っていたことになる。
さらに、包材共有化のメリットがあったとして、では
事業者のメリットのために、消費者庁の人員を割いてデータベースを整備するのか。

包材の共有でどの程度のメリットがあるかは明らかにされていない。
レトルトカレーで取材した事業者は、包材共有のメリットはないと説明していた。


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◇ 栄養成分表示の義務化 塩分相当量など5項目

   義務表示

   「熱量」「たんぱく質」「脂質」「炭水化物」「塩分相当量」

   塩分相当量(食塩相当量(g)=ナトリウムの量(mg)×2.54/1000)で表示。
    100g、100ml1食分、1包当たりの量を表示
<3条(一般用加工食品の横断的義務表示)32(添加物の義務表示)>

   推奨表示 ← 任意表示だが、独立した条文を置いた 6条     

   「食物繊維」 「飽和脂肪酸」

   任意表示

   モリブデンを栄養成分に追加

飽和脂肪酸、コレステロール、糖質、糖類、食物繊維、亜鉛、カリウム、カルシウム、クロム、セレン、鉄、銅、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ヨウ素、リン、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンA、B1、B2、B6、B12、C、D、E、K、葉酸
  <7条 一般加工用食品の任意表示 別表9>
これらの栄養成分を表示する場合は、義務表示方法を準用する。

   論点
 

 世界の最低水準でいいのか。

1994年に制定された米国の栄養表示教育法を契機に、世界では栄養成分表示の義務化が進んでいる。

主要国の義務化対象成分を比較してみると、米国やカナダが最も進んでいる。ビタミン類を含め10成分を超える。EU、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、香港でも、「飽和脂肪酸」や「糖類」は義務表示だ。韓国、香港、台湾は、米国と同様に「トランス脂肪酸」も併せて義務表示としている。「食物繊維」はアルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ブラジルなどが表示を義務付けている。

経過措置は5年もある。実質義務化は東京オリンピックが開催される2020年。
世界から遅れてようやく義務化される日本で、義務表示対象成分が世界最低水準でいいのか。

食物繊維、国民の7割が不足
飽和脂肪酸半数が目標量達成できず

食物繊維は不足すると、心筋梗塞、脳卒中、循環器疾患、糖尿病(穀物由来の食物繊維)、乳がんや胃がんなどの発症が増加するといわれている。日本では、約7割の人が食物繊維は目標量を摂取できていない。穀物を食べる量の減少に伴い、食物繊維の摂取量が年々減っている問題が指摘されている。

飽和脂肪酸も、半数が目標量の範囲を外れている。摂り過ぎると、悪玉コレステロールや中性脂肪を増やし、心疾患のリスクを高めるとされ、WHO(世界保健機構)では飽和脂肪酸の摂取量を低減させるよう求めている。

他の先進国にできてなぜ日本はできないのか
GDP世界3位の日本が、6年後の施行に向け 世界の最低ルールを今から作るのか
推奨はせめて義務に。糖類の義務化も必要ではないか。


モリブデン追加する必要あるのか。
日本人の摂取量は必要量の11倍。 

モリブデンの日本人の平均摂取量は、推定平均必要量の11.3倍。1日225㎍  ある。穀類や豆類に多く含まれ、大豆製品を豊富に使うと300㎍を超える。

今でも「貧血予防」「銅の中毒予防」「尿酸の代謝」などをうたったサプリが多数販売されている。

国立健康・栄養研究所の健康食品の安全性・有効性情報「俗に貧血を予防するなどと言われているが、ヒトでの有効性については、信頼できるデー   タが見当たらない」「銅の摂取が少ない状況でモリブデンを過剰に摂取すると、中毒(痛風様   症状)のリスク増加が懸念される」とある。

  

 栄養成分表示義務の適用除外 

  外食、酒類、業務用加工食品、年収1000万円以下の事業者

・外食(設備を設けて飲食させる場合)には、適用しない。
<1(適用範囲)、外食は40条の生食用牛肉の注意喚起以外全規定が適用除外>
  ・業務用加工食品
<101項業務用加工食品の横断的義務表示に規定なし> 
 <33項一般用加工食品の省略規定に以下5項目を規定>
・容器包装の面積が30平方センチメートル以下
・酒類
・栄養の供給源としての寄与の程度が小さいもの
   (例:コーヒー、ハーブ、茶葉とそれらの抽出物、スパイス、練りワサビ、練り       からし、香料や着色料などの一部の添加物、水)
・極めて短い期間で原材料が変更されるもの
  (:日替わり弁当)
・消費税法91項で、消費税を納める義務が免除される事業者
 (起業してから2年目までの事業者、個人事業者から法人になって2年目までの事    業者、2年前の課税売上高が1000万円以下の事業者をいう)

   論点   
   酒、業務用、適用除外でいいのか

   1%のアルコールを含むかどうかで、酒を除外していいのか。
   清涼飲料と見まがう多数の商品が、ノンアルコール飲料と混然と並んでいる。

   業務用加工食品への表示がなければ、最終製品にきちんと表示できない。

 強調表示

 「無添加」「不使用」表示の追加 ←通知から基準に格上げし内容を改善

<7条一般用加工食品の任意表示>
 【糖類】次の要件すべてを満たす場合に表示できる
  ・いかなる糖類も添加されていない
  ・糖類(添加されたものに限る)に代わる原材料を使用していない
  ・酵素分解など何らかの方法で、糖類含有量が原材料に含まれていた量を超えていない
  ・糖類の含有量を表示している
 【ナトリウム塩】
  ・いかなるナトリウム塩も添加していない
  ・ナトリウム塩(添加されたものに限る)に代わる原材料を添加していない

低減、強化表示に25%以上の相対差 ←相対差を導入

<7条一般用加工食品の任意表示>
  ・他の食品に比べ栄養成分の量が強化された旨の表示
他の食品に比べ強化された量が100g当たりの基準値以上である場合(たんぱく質、食物繊維にあっては強化された割合が25%以上に限る)に行うことができる。
   この場合において次に掲げる事項を表示しなければならない
   他の食品を特定するために必要な事項
   他の食品に比べて強化された量、割合
基準値は今年中に検討。別表11
  
 ・低減された食品の場合も同様。他の食品と比べ低減された量の100g当たりの基準値は、熱量(40kcal)、脂質(3g)、飽和脂肪酸(1.5g)、コレステロール(20mg)、糖類(5)、ナトリウム(120)。別表12

任意表示に「内訳表示」

  <8条 表示の方法等 様式3>
任意で内訳表示をする場合
 熱量       kcal
 たんぱく質     g
 脂質        g
  -飽和脂肪酸   g
 コレステロール   mg
 炭水化物      g
 -糖質       g
  -糖類      g
 -食物繊維     g
 食塩相当量     g
 (ナトリウム    mg)
 その他の栄養成分  ㎎ μg
  (ミネラル、ビタミン)

糖質を記載する場合は、必ず食物繊維も記載する。

「炭水化物=糖質+食物繊維」であることを知っている人は2割に過ぎない。


論点     強調表示した場合の%表示必要

    委員の事前説明では義務化としていたものが、消費者委員会で提案される際には
    義務化を断念。結局基準案に盛り込まれていない。

    米国では、表示した栄養成分が1日摂取量の何%を占めるかすべての栄養成分に%表     示が義務付けられている。
    
    「たっぷり」などと強調表示した場合は、せめて%表示を義務付けるべきで、
    どの程度摂取できるか分からないのでは、役に立たない。

     100g、100ml1食分、1包 表示単位がバラバラで、比較しにくく、どのくらい   摂取したか分かりにくい。
    
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◇ アレルギー表示  特定加工食品とその拡大表記を廃止

・原則 個別表示


   基準案には個別表示で記載することしか盛り込まれていない。 
   例外規定は、通知やQ&Aで示されるが、
   表示面積が少ない場合などに限定されなければ、一括表示に流れる懸念がある。

   推奨表示の大豆の特定加工食品は、
   しょうゆ、味噌、豆腐、油揚げ、厚揚げ、豆乳、納豆。
   その拡大表記は、豆腐ハンバーグ、凍豆腐、豆乳ケーキ、麻婆豆腐など。
   原材料に使われる食材が多い。推奨表示がされなくなる懸念もある。

   表示基準案には一切記載がない。
   栄養成分表示は推奨や任意表示まで基準案に盛り込まれている。
   矛盾が生じている。

 【新基準案に盛り込まれた内容】

 原則、個別表示
  ・特定原材料(えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生)を原材料とする加工食品は、原則、原材料名の直後に(〇〇を含む)と表示する。
  ・特定原材料に由来する添加物(香料除く)は、原則、添加物の直後に(〇〇由来)と表示する。
  ・一般用加工食品、業務用加工食品、添加物、販売用添加物、業務用添加物、学校のバザーなど食品事業者以外の販売者も対象 

<32項(一般用加工食品、一定の食品に共通する義務表示)10(業務用加工食品、3条に従い表示)15条(食品事業者以外の販売者の表示義務、3条に従い表示)、322(添加物、一定の食品に共通する義務表示)、同条3(業務用添加物の表示義務)37(食品事業者以外の販売者が添加物を販売する際の表示義務)>

 同じ特定原材料を何度も表示する場合は省略可
  ・2種類以上の原材料や添加物を使用し、同一の特定原材料が含まれている場合は、いずれかに表示すれば省略することができる。
  ・ただし、特定原材料が科学的知見に基づき抗原性が低いと認められた場合は、すべてを表示する。
   →醤油に含まれる小麦や大豆などを想定しているが、現在認められているものはない。<32項、322>
 容器包装の面積が30㎠以下でも、省略不可
   <33項、一般加工用食品の省略規定に記述なし。ほかも3条3項に準じて表示する>

 適用除外
   ・外食
   ・容器包装に入っていないインストア加工の惣菜など
・酒類(業務用含む)
   ・業務用加工食品を容器包装に入れないで販売する場合
   <1(適用の範囲、外食は生食用牛肉の注意喚起以外全条文が適用除外)、3条(加工食品の横断的表示義務、容器包装に入れられた加工食品が対象)11条(業務用加工食品の表示義務の特例)>

・例外の一括表示 一括表示欄の省略規定を廃止

 【今後、通知とQ&A等に盛り込まれる内容】          

 例外として一括表示可
  ・まとめて最後に(原材料の一部に○〇、〇〇、○〇を含む)と表示して  
   可
・表示可能面積が小さい場合等を対象にする方向
     <検討中と説明している>
   一括表示をする場合の省略を不可とする
・これまで、原材料にアレルゲンそのものや代替表記等で表示さていれば省略を認めてきたが、不可とする。
→卵、鶏肉、パン粉、豆腐などと原材料に記載した場合も、省略せずに再度(原材料の一部に卵、鶏肉、小麦、大豆を含む)と記載する。鶏肉、大豆は推奨表示をする場合。
   省略を認めてきた特定加工食品とその拡大表記を廃止
   ・マヨネーズ、オムレツ、目玉焼きに(卵を含む)、パン、うどんに(小麦を含む)が必要になる←特定加工食品の廃止
 ・チーズオムレツに(卵を含む)、パン粉に(小麦を含む)←特定加工食品の拡大表記の廃止
   ・推奨表示の「大豆」を表示する場合、醤油、味噌、豆腐、豆乳、納豆等に(大豆を含む)が必要になる
   代替表記は存続、代替表記の拡大表記のうち「卵白」「卵黄」を廃止
   ・卵を「玉子」「たまご」「エッグ」「鶏卵」と表示できる代替表記は存続
   ・卵黄、卵白と表示した場合、(卵を含む)が必要になる
   乳の表示(乳成分を含む)に統一
 ・乳の表示は、 (乳成分を含む)と表示する


論点

なぜ、個別表示が必要なのか。一括表示でアレルギー症状を引き起こした表示例を紹介する。


小麦アレルギー アナフィラキシーを誘発した表示
名称かけご飯の具
原材料名豚肉、野菜(ピーマン、にんにく、粒状植物性たん白、しょうゆ、植物油脂、魚醤、植物たん白酵素分解物、砂糖、香辛料、でん粉、オイスターエキス、シーズニングソース、粉末チキンコンソメ、たん白自己消化物、酵母エキス、カラメル色素、香辛料抽出物、(原材料の一部に小麦、魚醤(魚介類)を含む)


しょうゆの小麦は、アミノ酸まで分解されているため、小麦アレルギーの患者でも、食べられることが多い。
一括表示欄の小麦を、しょうゆの小麦だと思って食べ、発症した。
シーズニングソース、粉末チキンコンソメにも小麦が使われていた。


乳アレルギー患者が発症した表示
名称 ドライソーセージ
原材料 畜肉(豚肉、牛肉)、豚脂、糖類(水あめ、乳糖)、でん粉、たん白加水分解物、食塩、香辛料、ポークエキス、調味料(アミノ酸)、リン酸塩(K)、酸化防止剤(ビタミンC)、(原材料の一部にゼラチン、大豆を含む)


乳糖は摂取可。たん白加水分解物が乳由来だった。
新基準案通り、一括表示欄に(原材料の一部に乳成分、ゼラチン、大豆を含む)と乳成分を記載しても、
乳成分=乳糖と判断する。
事故後代替表記の拡大表記「卵黄」を廃止した表示
名称 アイスミルク
原材料 もち菓子、カラメルソース、乳製品、砂糖、植物油脂、卵黄、異性化液糖、水あめ、安定剤、(加工でん粉、増粘多糖類)、着色料(カラメル、クチナシ、アナトー)、乳化剤、香料、加工でん粉
(原材料の一部にを含む)

卵黄は摂取可能な患者が食べ、もち菓子に含まれた卵白で発症した事例
事故後(原材料の一部に卵を含む)が追加されたが、一括表示欄の
卵=卵黄と思い、食べてしまう危険性は排除されていない
もち菓子(卵白を含む)の個別表示が必要

新基準案に従った表示例、一括表示でも14文字増
名称 ハンバーグ
原材料 牛肉、たまねぎ、つなぎ(鶏卵、パン粉)、牛脂、しょうゆ、でん粉、食塩、砂糖、香辛料、加工でん粉、香辛料抽出物、ソース[デミグラスソース、赤ワイン、しょうゆ、砂糖、レモン果汁、着色料(カラメル)、香料]、(原材料の一部に小麦、卵、成分、大豆、牛肉、豚肉、鶏肉、ゼラチンを含む)
特定加工食品の廃止で、しょうゆに大豆の表示が必要に
特定加工食品の拡大表記の廃止で、パン粉に小麦の表示が必要
乳を乳成分に変更、省略規定廃止で原材料にある鶏卵、牛肉を再掲
14文字増えるが、患者にとって新たな情報は何もない
※赤字部分、現行表示から追加される部分


文字数増えても新たな情報増えず
加水分解物、調味料、香辛料の表示を

 一括表示は、事故を誘発する危険性がある。
 学べば分かる豆腐に「大豆」、パン粉に「小麦」などの表示を新たに求め文字数を増やすことよりも、記載されなければ選択できないたんぱく加水分解物や調味料、香辛料などにアレルギー表示求めるべきではなかったのか。

醤油の小麦や大豆に
代表させない規定必要

個別表示での繰り返し表示の省略規定はそのまま残った。
醤油に含まれた小麦や大豆など、抗原性が低いとの科学的知見が得られた場合は、省略 を不可とすることが新基準案に盛り込まれてはいる。ただし、その知見が得られるの はいつになるか分からないのが現状だ。


醤油の小麦や大豆を書いて、ほかの原材料に含まれる小麦や大豆を省略した場合は、発 症につながる。このことを周知し、醤油の小麦や大豆などにアレルギー表示を代表さ せない施策が求められる。
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◇ 加工食品と生鮮食品の線引き調整
   JAS法の定義に統一

加工食品と生鮮食品の区分は、JAS法の定義に従って整理された。
新基準案は、JAS法に基づく告示、加工食品品質表示基準、生鮮食品品質表示基準の 別表がそのまま新基準案に移行した。 <2条定義、別表1、別表2>

食品衛生法とJAS法では、「製造」「加工」ともに定義が異なっている。

「加工」  食品衛生法「本質を変えないで形態だけを変化させる」
      JAS法「本質は保持させつつ、新しい属性を付加する」

切断した食肉や切り身の魚は食衛法では加工食品、JAS法では生鮮食品になる。

新基準案は、JAS法の定義をそのまま採用。
「新しい属性の付加」に至らない「調整」と「選別」を定義した。

製造、加工、調整、選別の定義

【加工食品】
製造 その原料として使用したものとは本質的に異なる新たなものを作り出すこと
加工 あるものを材料としてその本質は保持させつつ、新しい属性を付加すること

【生鮮食品】
調整 一定の作為は加えるが、加工には至らないもの
選別 一定の基準によって仕分け、分類すること


味付け肉や、牛肉のたたき、合いびき肉、乾燥シイタケ、乾燥果物は加工食品。
切り身魚の冷凍やアジのたたき、収穫後に豆を乾燥させたものは生鮮食品。
同じ「乾燥」でも、加工食品だったり、生鮮食品だったりする。
具体的に何に当てはまるか通知やQ&Aで示される。

ドライマンゴーを調整
乾燥、撒塩や生干し魚など

食品衛生法で表示義務がある食品は、生鮮食品、加工食品のいずれかに整理されるが、現行で必要とされていた表示は引き続き義務付ける。

食品衛生法で表示義務の対象になっていないもので、食品表示法で加工食品に整理される「ドライマンゴー」などは、新たにアレルギー表示や製造所か加工所の所在地、氏名(法人の場合は名称)の記載が新たに義務付けられる。

簡易な調理・加工のみの食品は食品衛生法の表示義務がかかっておらず、乾燥した果実や野菜、魚介・海藻類、塩分濃度が3%程度以下の軽度の撒塩した魚介類、魚の水分が50%以上の生干し魚介類などが対象になる。

添加物にアレルゲンが使われている場合などは、表示が必要になる。

詳細は通知やQ&Aで示される。

刺身盛り合わせ
加工食品のまま

現在は加工食品とされ、原産地が表示されない刺身の盛り合わせ、カットフルーツなどを、生鮮食品とする案が消費者庁から提起されたが、継続審議とし結論を持ち越した。

このため、数種類の刺身の盛り合わせは加工食品のまま。生鮮食品の刺身に「盛り合わせたものを除く」という規定は残ったままだ。

◇ 表示面積30㎠以下 消費期限 アレルゲン省略不可

容器包装の表示可能面積が30㎠以下の場合でも、「名称」「アレルゲン」「消費期限か賞味期限」「保存方法」「表示責任者」は省略不可とした。
 
新基準案には、省略できるものとして、「原材料名」「添加物」「内容量」「栄養成分の量と熱量」「製造所か加工所の所在地、氏名か名称」「遺伝子組み換え食品に関する事項」「乳幼児用食品」「原料原産地名」「原産国名」「原料原産地名」などが規定されている。
 
文字の大きさは、現行のまま8ポイント以上。表示可能面積が150㎠以下の場合は5.5ポイント以上とした。消費者庁は150㎠以下の場合は6.5ポイント以上とする案を提起したが検討課題とされた。


 表示のレイアウト 原材料と添加物を明確に分離


添加物と書かなくても、区分すれば表示可としている。

原材料名と添加物を区分する方法を「・」とするか「/」とするか
今後通知やQ&Aで示すと消費者庁は説明している。


原材料名
添加物
原料原産地名
内容量
固形量
内容総量
消費期限
保存方法
原産国名

製造者


【その他】

2種以上の原材料からなる複合原材料は、分割して分かりやすい場合は分割した表示も可能とする。

プレスハム、混合プレスハムは、デンプン含有率の項目を立てて表示する。

添加物は、一般消費者向けのバニラエッセンスやベーキングパウダー、焼きみょうばんなどに、内容量、表示責任者の氏名か名称・住所、栄養成分の量・熱量の表示(香料や着色料などは対象外)を新たに義務付ける。

通知で示されていた内容のうち、フグを原材料とする食品などは新基準案に規定し義務とした。

                  (詳細は日本消費経済新聞7月5日号、15日号、25日号、8月5日号)