2016年1月30日土曜日

消費者庁徳島移転問題 今度は河野大臣が日経新聞 誤報発言

「(徳島県は)消費者センターの設置状況は全国平均を下回っている。消費者行政に特段、貢献していない」―。中央省庁の移転を巡る消費者庁と徳島県の意見交換で、消費者庁の担当者がこう発言したと報じた日本経済新聞の記事について、河野太郎消費者相は1月29日、「全く誤った報道た」と断じた。しかし、27日の意見交換は非公開。その後の記者ブリーフィングで、まち・ひと・しごと創生本部事務局の担当者は、間違いなく、「地方の消費センターの設置状況や資格保有率を見ても、徳島県はむしろ全国平均を下回っていて、消費者行政に特段、特別に貢献しているものではない」と消費者庁が説明したと報告していた。一部、正確に伝えていない部分もあるが、非公開にし、その後の事務局の説明内容を報道して大臣から誤報発言をされるのでは、たまったものではない。

問題にされたのは、1月28日付け日本経済新聞4面の
「省庁地方移転 閣僚の抵抗鮮明」と題する記事

消費者庁の担当者は、候補地の徳島県について
「消費者センターの設置状況は全国平均を下回っている。消費者行政に特段、貢献していない」
と、消費者行政への貢献を訴える徳島県の主張を真っ向から否定した。

河野消費者相は、幹部の「お試し移転」などを検討しているが、担当者は「まだ何も正式に決まっていない」と言明。

などとある。

消費者庁次長が発言否定会見
これに対し、消費者庁の川口康裕次長が、同日午後5時から発言否定会見を開催。
「徳島県は、消費生活センターの設置状況は全国平均を下回っている」「消費者行政に特段貢献していない」「お試し移転について、まだ何も正式に決まっていない」とは、発言していないと、発言を否定した。

翌29日、河野消費者相は、「一部新聞報道で全く誤った報道がされた。消費者庁から新聞報道について事実誤認はなはだしいという話もあったので、消費者庁で少しその内容について説明させていただいた」

受けとめ側と説明側が認識が違っていることはなく、一部メディアが誤った報道をしたということだ」と述べた。

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しかし、

実は私も、28日に公開した「徳島県の相談員資格保有率 47都道府県中40位、相談員配置率36位」と題するブログには

消費者庁は「地方の消費生活センターの設置状況や資格保有率は全国平均を下回り、徳島県が消費者行政に特別に貢献しているわけではない」と説明したと、まち・ひと・しごと創生本部事務局は報告した。

と書いた。
まち・ひと・しごと創生本部事務局の発言を、音声で再度確認すると、冒頭に書いた通りに発言している。

徳島県の提出資料では、「なぜ全国の中でそこか」の理由の1つに

◇消費者問題の人材育成
  消費生活相談員・有資格者数119人
  10万人当たりの消費者行政職員数、相談員配置は全国1位
  消費者大学校・大学院の卒業生1847人など     を挙げている。

これに対し、まち・ひと・しごと創生本部事務局が説明した消費者庁提出した徳島県の資料は

徳島県のデータ
人口5万人以上の自治体のセンター設置率 100%   47都道府県のうち20府県で達成
人口5万人未満の自治体のセンター設置率 28.6%   47都道府県中23位(全国平均34.7%)

徳島県は、8市15町1村のうち、人口が5万人以上の3市(徳島市、鳴門市、阿南市)には消費生活センターは設置されているが、残りの21市町村では、6自治体にしか設置されていない。

人口が5万人以下の自治体の設置率は、全国平均を下回っている。創生本部の発言は、
提出資料と整合していないとは言えない。

相談員配置率     54.2% 36位(全国平均73.6%)
相談員有資格率    55.8% 40位(全国平均79.0%、消費者庁が掲げた目標75%以上)
相談員研修参加率  69.8% 45位(全国平均89.9%、消費者庁が掲げた目標100%)   など

確かに
人口10万人当たりの行政職員数は3位、相談員数は1位だが、県下全域での行政職員総数は67人、相談員数は43人(うち有資格者24人)に過ぎない。創生本部の説明通り相談員有資格率は全国40位と全国平均をはるかに下回っている。

有資格者が119人いるとしているが、例えば東京都では4459人、神奈川県は2783人。人口10万人当たりで計算しても、徳島県の15.3人は、全国平均の18人を下回ることが、資料から読み取れる。

徳島県が「なぜ全国の中のそこか」の理由に
◇消費者行政改革への貢献
  平成20年5月の本県政策提言で21年9月に消費者庁が創設、
  平成20年5月~本県政策提言で平成26年6月、11月に景品表示法改正
  平成21年5月~本県政策提言で平成27年4月、食品表示法の施行
 
を挙げているが、消費者庁提出資料は
平成19年11月~国民生活審議会で行政のあり方総点検(新組織に何を求めるか検討)
平成20年1月 福田首相が施政方針演説で、縦割りになっている消費者行政を統一的・一元的に推進するため
          強い権限を持つ新組織発足を明言
平成20年2月 官邸に消費者行政推進会議設置(新組織をどのようなものにするか検討)
平成20年4月 福田首相「消費者庁(仮称)の創設に向けて」を発表
などの経緯が示されている。

徳島県は、自らの提言で消費者庁が創設されたと認識しているとすれば、これらのデータはその認識は違うということを示している。

「消費者行政に特段、特別に貢献しているものではない」という創生本部の発言を、私は「消費者行政改革に特別に貢献しているものではない」という意味だと受け止めた。

後で、この会議に出席していた人に取材をすると、川口次長がこれらの発言をしていないのは事実のようだ。
しかし、
消費者庁提出資料や説明内容から、創生本部事務局の担当者が発言通りに受け止めていた、示された客観的データがその発言を裏付けていたことは間違いない。

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一カ所、

日経新聞の記事中

河野消費者相は、幹部の「お試し移転」などを検討しているが、担当者は「まだ何も正式に決まっていない」と言明。

の部分は、記者ブリーフィングの中で、そういう説明はなかった。

「河野消費者相が、3月末時点で移転しないとは書かないと発言し、石破大臣も了承しているように話されているのは事実か」

と私が質問したのに対し

創生本部事務局は、

「石破大臣が了承している事実はない。3月の方向性について両大臣で話し合ったという事実はない。したがって何も決まっていない」と答えている。

この部分を、消費者庁の担当者の発言としたのであれば、事実とは異なる。

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しかし、何分にも非公開だ。石破茂地方創生相は
徳島でも、懸念に対してきちんと答えて行政ができるという実論ができるか。その議論の課程を広く国民の皆様方にご判断いただくことが大事だ」と発言している。
検討の経過が十分に国民に伝わり、消費者団体の懸念を払しょくできるだけの透明性のある検討方法が求められている。

そもそも、結果的に徳島県バッシングにつながるような意見が出てくるような検討手法を取っていること自体に問題がある。

私は愛媛出身で、平成の大合併を繰り返し、県庁所在地ではない地方都市の中心部からも外れた高齢者がどんな残酷な環境に置かれるか身を持って体験してきた。高齢の父は、救急車で自宅からタクシーで往復4000円もかかる市内の病院に搬送され、有効な治療も受けられないまま無念に死んでいった。二度と同じ経験をしたくないと母は東京に引き取っている。

地方が創生されればどんなにいいかと切実に願う。

本気で地方創生に取り組むのであれば、総務省や国交省などから地方で実施した方がいい業務を国が率先して提案し、受け入れ先を募集すべきではないのか。参議院選用のパフォーマンスにしか見えない。


徳島県が、なぜ全国の中でそこかの理由に
◇徳島県の先進的な事業として、 消費者大学校・大学院設置、くらしのサポーター制度創設、とくしま食品表示Gメン制 度、全国初「食品表示適正化条例」制定
◇全国屈指の光ブロードバンド環境                  を挙げていることは、付記しておく。

徳島県知事が、消費者教育に熱心に取り組み、消費者庁の消費者教育推進会議(第2期)、「倫理的消費」調査研究会の2つの委員を務めていることは、消費者庁の提出資料でも示されている。

2016年1月28日木曜日

消費者庁徳島移転問題 「消費者庁つぶすのか」与野党国会議員からも反対意見続々

「消費者庁をつぶすことにつながる」「とんでもない」「消費者行政の地盤沈下」「百害あって一利なし」-。消費者庁・消費者委員会・国民生活センターの徳島移転問題で、与野党の国会議員からも懸念や反対の意見が出ている。

「デメリットの方が大きい」
「性急な決定には極めて慎重であるべき」
船田元・自民党消費者問題調査会会長は、こうまとめた。
     
 (船田氏は、衆参で約90時間審議をし消費者庁創設関連3法案を成立させた09年通常国会で、消費者問題特別委員会委員長を務め、創設の経緯、その後の消費者庁の取り組みに詳しい)
調査会後の記者ブリーフィング
船田氏個人の考え方として、

消費者庁が発足してからまだ6年ちょっとしかたっていないまだまだ脆弱な組織。やはり、相対の折衝をする、説得をするということをやっていくにはどうしてもやはり膝詰めで議論していかなければならない。
国会議員への説明も、やはり顔を見ながら話をする、説明をするということをやらないと
なかなか消費者庁の業務が果たせない。
事業者団体、消費者団体、弁護士会などの関係団体が本部はほとんど東京にある
そういう人との話し合い、情報の共有の点でも、東京を離れることによるデメリットの方が大きいのではないか。
もう一つ重要なことは、被害の危機管理でも消費者庁は非常に大きな役割を担っている。やはり東京にある他の省庁と同じ場所にあるというのが危機管理上極めて重要。

との見解を示した。

3月末時点の政府の方針でどのような書かれ方をするか、 現段階では予測できず、情報をきちんと取った上で、言うべきことがあれば閣議決定をする前に物申すことはある」
とも述べている。

                  
参加した議員から
「移転すると機能が落ちるに決まっている。政治的なスケープゴートにしてはならない」
「他の省庁は東京にいて消費者庁だけ移転させテレビ会議で対応できるのか。結論ありきで実証実験をするのは問題」などの厳しい意見が出ていた。
徳島県出身議員が移転賛成の意見を述べた。

   (非公開のため、議員名は書かない。ドアに耳をあてて聞いた意見内容だ。
    野田聖子会長、後藤田正純事務局長体制で同調査会が発足したときに、
    消費者問題はだれもが参加し広く意見を聞くという視点で公開されていた。
    安倍政権が民主党から政権を奪還したときに、非公開とされた。ぜひ公開を)
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114日、消費者団体主催の院内集会 約150人が参加。国会議員からも反対意見が出た。

「消費者庁移転はちょっと待ってくださいと言わざるを得ない。
つぶすことにつながる」
 
船田元・自民党消費者問題調査会会長

「消費者対策本部の中では、とんでもない。日本の消費者行政つぶすのかというような声ががほとんどだった」

公明党消費者問題対策本部 魚住裕一郎本部長
 船田会長と同様の意見であるとし、
「危機管理機能はしっかりやらないといけない。2年前にマラチオンの問題もあり、消費者安全総括官会議を開き消費者庁が下支えをして準備した。消費者庁が行ってしまったら誰が会議を下支えをするのか。サテライトオフィスでは厳しいという思いがある」
 
「ただ、まち・ひと・しごと創生本部で、全然議論がなされていない。
 説明にも行っていない状況がある。皆さんの声に対し、党内、自民ともしっかり議論する」とあいさつした。

 3月末までに閣議決定される状況下で、公明党の発言は大きい 

「今回の移転問題は、きわめて不可解」
「河野さんともあろう人が、認識違いも甚だしい」
民主党 松原仁・元消費者相

 担当大臣になって取り組んだのは、様々な消費者団体と消費者庁の連携を強くすることだった。連携で多くの消費者の声を代弁できると思ったからだ。
信頼関係を作ることにきわめて時間を割いてきた自覚と自負がある。
共通の信頼関係においてしか消費者行政は展開しない。
河野さんには消費者団体ときちっと議論してほしい。
消費者団体の理解を得られないような移転はまずありえない。
東京電力の電力料金、徹底的に議論した。相手は巨大な経済産業省、消費者の利害を代弁するとして大臣折衝するが、部長クラスが向こうからは来ませんからこちらから行って議論する。徳島から行って、消費者サイドの結論を得られたのか。省庁と折衝するのが消費者庁。
大臣の頭の中で構築して進めてきたとしたら、極めて問題ある行動。
まず、消費者団体と話をしてください。合意を取る努力をしてください
合意が取れなければ過ちなんだと自らの襟を直し、方向性を変えてください。
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119日 参議院予算委員会

「消費者問題の地盤沈下を招く」
「もっとも移転してはならない」
社民党 福島みずほ・元消費者相
 「各省庁の監査役の消費者庁が移転すれば、消費者問題の地盤沈下を招く」
「全員を移転させるならいいが、消費者庁だけ移転する。もっとも移転してはならないところを移転させるということではないか」
と追及。移転を考え直すことを求めた。
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119日 民主党・維新の党統一会派による「消費者・食品安全合同部門会議」

「徳島空港は羽田と福岡市か直行便がない」
「初歩的なことから非現実的」
後藤祐一・衆議院議員
経済企画庁で公共料金などを担当していた経験から「各省庁と日々どれだけ接触があるか分かっているのか。あまりに論外」と批判。また、徳島空港は、羽田と福岡しか直行便がなく、「初歩的なことからして非現実的」と述べた。「商品テストはすでに機能しており、新たな施設に国費を出すわけではあるまい」と、問題視した。


3機関が消滅するのではないかという危機感を感じている」
消費者庁政務官を務めた金子恵美衆議院議員
「現場の声を活かし、皆さんの意見を取り入れて育ててきたのが消費者庁。
この議論はやめた方がいい」と、移転に強く反対した。

「中央省庁とどのくらい折衝するか定量的に示し、優先順位をつけるべき」
井坂信彦共同座長(維新の党消費者特担当主査)
「総務省や国交省など地方を対象とする仕事の中身を本気で検証すれば新しい展開があるはず」と、地方から招致を提案させる手法自体に疑問を投げかけた。「東京にいなければならない度を定量的に示し、優先順位をつけるべき」と提起した。創生本部自体が地方に移転する発想はなかったのかとも問うている。

「創生本部に設置された有識者会議で中央省庁についてはほとんど論じていないという割には、事態が進展し説明と実態がずれている」
阿部知子共同座長(民主党ネクスト内閣府特命担当大臣)
決まってしまう前に審議の経緯が分かるよう、透明性のある検討が必要と指摘した。

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121日、参議院決算委員会

「百害あって一利なし』
安井美沙子参議院議員
消費者庁は、危機管理の緊急性を考えても、全省庁と立法府との緊密な連携の観点からも、実は全省庁の中で最も移転に向かない省庁だと思っている。
はっきり言わせていただければ、消費者庁の移転は百害あって一利なし。そこまで思っている。すぐに検討を中止していただきたい。
中央省庁を必ず移転させるというのであれば、お出しになった勘案事項に忠実に危機管理や対面業務に無縁な省庁を選んでいただきたい。


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1月20日 自民党調査会で河野大臣反論

「地方で仕事ができない役所、つぶした方がいい」
河野太郎消費者相

消費者庁16年度予算案等を審議する同調査会に出席した河野太郎消費者相は、
「地方へ役所が行ったら仕事ができないくらいの役所だったら、そんなもんつぶした方がいい」
「やってみてどうなのかを見た上で、物事は議論することを徹底する」と述べた。
消費者庁の徳島移転問題でヒアリングをした結果、慎重論が大変多数を占めたと報告した船田会長に、反論した格好だ。
 ニュートリノ振動(質量がないと思われていたが、はかってみたらあった)などを例に、「しのごのやらない理由を見つける前に、試してみて、本当に何が問題なのか明確にして、それをどうやって解決するのかを考える。21世紀だから、いろんなことがあり得る」
テレビ会議でお医者さんが病人の診察をやろうというときに、テレビ会議で物事を決められないということを霞ヶ関が言っていたら、世の中に笑われる」と話している。

徳島県の相談員資格保有率 47都道府県中40位、相談員配置率36位

 消費者庁の招致を提案している徳島県の相談員資格保有率は、47都道府県中40位、自治体への相談員配置率は36位であることが1月27日、政府機関の地方移転を検討している有識者会議のヒアリングで、消費者庁が提出した資料で明らかになった。同日、徳島県は「全国の中で、なぜそこか」という理由に、消費者問題の人材育成が進んでいる、消費者行政の改革に貢献している、全国屈指の光ブロードバンド環境が整備されている―の3点を挙げた。これに対し、消費者庁は「地方の消費生活センターの設置状況や資格保有率は全国平均を下回り、徳島県が消費者行政に特別に貢献しているわけではない」と説明したと、まち・ひと・しごと創生本部事務局は報告した。

 徳島県は、消費者問題の人材育成が進んでいる理由に、「消費生活相談員の有資格者が119人いる」「人口10万人当たりの消費生活相談員の配置が全国1位、10万人当たりの消費者行政職員の数が全国3位、合計配置率1位」であることなどを挙げている。

しかし、2015年4月時点で、配置されている相談員の数は県下全域で43人、そのうちの有資格者は23人に過ぎない。消費者行政職員の数は67人だ。

消費者庁が提出した資料によると

人口10万人当たり行政職員数 3位 8.6人 総数67人(参考;東京都は44位、2.6人、総数352人)
人口10万人当たり相談員数  1位 5.5人 総数43人(同;東京都39位 2.2人、総数288人)
人口10万人当たり合計配置率 1位 14.2人 総数110人(北海道も1位 14.2人 総数774人)
人口10万人当たり資格保有者数 11位 15.3人 総数119人(1位東京都 33.5人 総数4459人)

人口5万人未満の自治体の消費生活センター設置率 23位 28.6%(全国平均34.7%)

相談員配置率      36位 54.2% (全国平均73.6%)
相談員資格保有率   40位 55.8% (全国平均79.0%、消費者庁が掲げた目標75%以上)
相談員研修参加率   45位 69.8% (全国平均89.9%、消費者庁が掲げた目標100%)

人口千人当たり消費者行政予算 3位 238円 (全国平均138円)
人口千人当たり相談件数     33位 7.34件 (全国平均8.2件)
人口千人当たりあっせん件数  34位 0.56件 (全国平均0.68件)
人口千人当たりあっせん率   28位 7.6%   (全国平均8.3%)

相談員配置率、相談員資格保有率、相談員研修参加率は、全国平均を大きく下回っている。
また、消費者行政の基盤となる人口千人当たりの相談件数やあっせん件数、あっせん率も全国平均を下回っていることが、明らかになった。

また、消費者行政改革に貢献している理由には

08年5月に消費者行政を一元的に推進する新組織発足を提言し、消費者庁が創設されたなどを挙げている。

しかし、これもすでに08年4月には、当時の福田康夫首相が「消費者庁(仮称)創設に向けて」を公表している。早くから消費者庁創設の運動に精力的に取り組んできた消費者団体から
異論が噴出しそうだ。

景表法の措置命令権限の委譲や課徴金制度創設も08年5月に提言し、景表法改正につながったとしているが、

消費者委員会が建議をしたり、研究会が報告をまとめ残された課題として指摘するなど
さまざまな課程、尽力を経てようやく実現されている。

食品表示法施行も、09年5月に食品表示制度の見直しを提言し実現したとしているが、この問題は消費者団体は古くから消費者が分かりやすい1本の法律にする必要性を指摘しており、これを実現するために、農水省が持つJAS法を消費者庁の共管とするために、最後まで調整が難航した経緯がある。

消費者庁は、「消費者庁は、消費者を主役とする政府の舵取り役として設置され、自己完結型の役所とは異なる」とし、所管共管する20本を超える法律で数多くの省庁と連携しなければならず、消費者安全法に定める重大事故等が発生した場合に、政府と一体で危機管理に当たることとされていることなどを説明したという。

これに対し、有識者からは
「有識者から業務さまざまものがあって、中には地域密着型の執行業務みたいなものがあるのではないか。こういったものについては、切り出せるものがあるのではないか」
「消費者行政について、地域との接点を作っていくということで発展的な方向も考えられるのではないか」

などの意見があったと、まち・ひと・しごと創生本部事務局は説明した。

有識者会議が示した今後検討対象としない基準や、中央省庁で特に重要とした視点に消費者庁・消費者委員会・国民生活センターの徳島移転が適合するか、今後移転のための実証試験をすべきかについては、何ら判断していないとしているが

有識者からは
「河野大臣はテレビ会議の実証をすると言っているのだから、そこはしっかりと検討してほしい」との意見が出たと報告した。

2016年1月25日月曜日

消費者庁徳島移転問題② 大臣自らゲリラ戦法「3月末時点ではゴー」

消費者庁、消費者委員会、国民生活センターの徳島移転問題は、河野太郎消費者相が独断で4月以降の国民生活センターの商品テストや研修のお試しを決め、4月以降お試しをする必要がなくなるので、3月末時点では「ゴー」「ノーとは言わない」と発言している。消費者庁 地方移転を明記 政府方針」の見出しの記事まで飛び出した。まさに、無茶苦茶なゲリラ戦法だ。なぜ、こんなやり方をする必要があるのか。移転することで全国の消費者にどんなメリットがあるのか、なぜ、徳島なのか、皆が納得いく理由を示せないからではないのか。
 
気象庁、観光庁、総務省統計局、中小企業庁、特許庁を所管する各大臣は、国会や各省庁との対面業務や危機管理対応、全国を対象としていることなどを理由に、移転に難色を示している。この理由、長官が次官連絡会議メンバーで各省と横並びの扱いである消費者庁は、より当てはまるのではないのか。

「日本の精神文化の軸は京都」。文化庁を担当する馳浩文科相は、移転の理由を明確に示した。しかし、河野消費者相の口からは、どの分野にも共通する「テレワークによる人材活用」以外、明確な答えは未だもらえていない。
 
なぜ、4月以降、消費者庁だけが実証試験をするのか。 その実証試験が、移転を検討するに必要十分な内容なのか。具体的な内容や手法、だれがどう検証・評価するのかすら示されていない。
 
政府有識者会議の増田寛也座長は、「中央省庁は検討していない(論点整理のみ)。招致側の道府県、対象省庁を呼んで同時にヒアリングをし、それを踏まえて検討する」と話していた。このヒアリングすら行われていない段階で、石破茂地方創生相との話し合いだけで、こんなことが決まっていいのか。

09年国会で、90時間以上も審議して超党派合意で創設を決めた消費者庁の移転を、国会審議も経ずに内部の調整で、閣議決定事項として決める手法自体、あまりに問題があると私は考える。
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15日、河野消費者相「ノーとは言わない」

15日の閣議後会見で、河野消費者相は、

「3月末にノーですと言ったら、テストをやる必要がなくなるため、
3月末時点では消費者庁が移転はしませんということにはならない」

「(移転)するかしないかを考えようと言えば、しないほうが楽だから、しないことになっちゃう。徳島に消費者庁が移転するという前提でいろんな物事を考えて、課題を抽出するためのテストをやって、それが解決できれば移転をする。そこは何の変わりもない」と説明。

石破さんには、こういうテストをやりますよということは申し上げて、それはしっかりやってくれというお話をいただいている」とも述べている。

石破創生相 「公正・公平・的確な行政+さらに質高められるか」

一方、石破茂地方創生相は15日、地方移転の検討状況を問われ、

「有識者会議の意見を経て、ひと・まち・しごと創生本部が決定する」

「民間と行政が違うのは、日本国すべてで公正な行政、公平な行政、的確な行政を当然行政の使命として確保しなければならない。それに加えてそれぞれのものを、さらに質の高いものとして展開できるかどうかがポイント」と答えている。

自民党消費者問題調査会で反対意見が相次いだ点に(※詳細、後で別記)

「徳島でも、懸念に対してきちんと答えて行政ができるという実論ができるか。その議論の課程を広く国民の皆様方にご判断いただくことが大事だ」と指摘。

消費者行政、地方に行ったらこんなことができない。国民にとって決定的によくない。

反対論は、そのことをよくわかっておっしゃっていると思うが、どの主張が正しいのか常に国民が見ていることを忘れないでほしい」とも、述べている。
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消費者庁は、生産者の立場で作られた法律や制度を国民本位に改めるために創設された

消費者庁は、「これまでの生産者・供給者の立場から作られた法律、制度、さらには行政や政治を、国民本位のものに改める」(08年1月、福田康夫首相の施政方針演説)ために、作られた。

森まさ子消費者相の下で実現した、消費者団体が消費者に代わって消費者被害に遭ったお金を取り戻す訴訟ができるようにする消費者被害集団的回復裁判手続き特例法(本年10月施行)

景品表示法への課徴金制度導入(本年4月施行)は、その代表的な例といえるだろう。

しかし、今国会に提出予定の特定商取引法改正案では、高齢者被害が増え続けている訪問販売や電話勧誘の勧誘規制は惨敗。消費者契約法改正案では、インターネットなどの広告表示を対象にするかどうかが最大の焦点だったが、中間報告の後、議論に入ることなく断念した。
ハッキリ言って、上記2本の法律に比べ「できが悪い」。(※後で別記)

牙をむく」(河野消費者相の年頭訓示)どころか、牙を抜かれている。

同じデータを見ても意見が真っ向から対立、規定ブリも消費者側と事業者側では受け止め方がまったく違った。さまざまな業界団体からさまざまな懸念や過剰な心配も出され、十分に説明すらできていないこともうかがえた。人も足りていない。苦情相談を分析する手法や体制にも課題が残った。

テレビ会議で対応できるというが、例えば、同一企業の中で、同じ価値観を持つ人たち、同じ方向、同じ目的に向かって進む人たち、面識がある人たちの会議では、有効だろう。

しかし、同じ言葉を話しても受け止め方が全く違うような状況で、徳島の地から何をどう説得できるというのか。テレビ会議のテーブルについてくれるかどうかすら分からない。

消費契約法は事業者と消費者の契約すべてが対象だ。すべての各種団体に対応しなければならない。そのほとんどが東京にある。

しかも、産業育成の立場の各省庁とも利害が対立する。各省庁、内閣法制局との調整、国会議員への説明、族議員の説得、国会対応、どれ一つとっても産業育成省庁より困難を極める。景表法への課徴金導入で、経済産業省が自ら資料を作って国会議員に反対の要請をしていたことは前にも触れた。

各省庁は東京に残り、消費者庁だけ移転させるなど、とんでもない。どの省庁より移転はふさわしくない。

消費者庁の徳島移転は、全国の消費者にとって決定的によくない結果になると、私は考える。

むしろ、アベノミクスに都合の悪い消費者庁を、十分機能しないように追いやってしまうのではないかという懸念すら抱かざるを得ない。

消費者にとって安全で安心な公正な市場こそが経済を発展させる(消費者庁はこう主張し続けている)のではないのか。

消費者庁は各省庁に勧告が出せ、法律のすき間には自ら対応

消費者庁創設と同時に作られた消費者安全法には、他省庁が所管する分野で問題がある場合は他省庁に勧告することができ、どこも対応していない法律のすき間には、自ら対応する仕組みが盛り込まれている。

消費者庁が持つ特定商取引法の適用対象かどうかですら、消費者安全法を担当する部局と調整しなければ明確でない場合が少なくない。法律の解釈で各省庁が持つ法律で対応できるかどうかが異なる。日常的に各省庁とやり取りが行われている。

中国ギョーザ事件や事故米などに対応するための、危機管理対応も重要な役割として位置付けられている。


国民生活センターも各省庁や事業者団体に要望。消費者委員会は建議、提言

昨年の国会で、スマホや光回線、プロバイダーなどで増え続けているトラブルに対応するため、電気通信事業法が改正された。

「電気通信事業法に特定商取引法並みの規制を」入れるよう最初に要望したのは、国民生活センターだった。これを受け、消費者委員会が提言を出し、法改正に結びついている。

国民生活センターは行政機関や事業者団体への要望を公表している。

ただし、独立行政法人に、強い権限があるわけではない。各省庁に出向いて苦情相談情報の分析結果や相談事例を基にねばり強く交渉し、要望事項として公表することを了承してもらっている。
期待したい機能だ。

民主党政権下の行革で、国民生活センターを消費者庁に吸収するための検討が行われた。国民生活センターに要望する権限などないという主張も出されたが、消費者団体などが大反対し、現在もこれらの要望が継続できている。

同じ閣内にあって、法改正を消費者庁が他省庁に勧告するのは、ハードルが高いようだ。現実的に勧告は一度も出されていない。国民生活センターの消費者目線に立った要望が重要な役割を果たしている。これらの要望が、徳島に行ってできるのか。私はこれもできなくなると心配している。

事業者に任意で来てもらっているあっせん交渉、ADR(裁判外紛争手続き)も心配だ。
徳島に事業者が来てくれるのか。
消費者からの苦情相談を解決するために、事業者と直接折衝するのがあっせん交渉だ。
年間約500件のあっせん交渉のうち、昨年は約200件、事業者にきてもらっている。
商品テストでも35件、事業者にきてもらっている。

ADRは約200件のうち、148件事業者が来てくれた。
これも、テーブルに着くかどうかは事業者の任意だ。
テーブルに着かない場合、事業者名を公表することができるが、徳島まで来ないからといって
事業者名を公表することができるのか。


電話でのあっせんではらちが明かないからきてもらっている。本人やセンターの交渉で不調に終わっている。そんな事業者と直接話すためにきてもらっている。テレビ会議で可能なのか、それ以前に、テレビ会議システムを事業者が用意してくれるとは思えない。テレビ会議のあるところまで来てくれるのか。これも、とても心配だ。
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4月以降のお試しを決め、
だから3月末時点ではノーとは言わないというゲリラ戦法には、
以下4つの問題点がある。

まずは、この4つに明確に答えることが必要と考える。

① 消費者庁の移転は、創生本部が示した基準に適合するのか
   「検討に当たっては、危機管理にかかるものでないこと、国会や他省庁との対面業務が必須でないこと、政策の企画・立案実施に効果が期待できるもの、こうしたことを総合的に判断して検討する」(菅義偉官房長官) →(※まち・ひと・しごと創生本部に設置された有識者会議が示した検討の視点、検討状況は別途後述)
  
② 移転しない中央省庁5機関と消費者庁は何が違うのか
   (※石井啓一国交相、高市早苗総務相、林幹雄経済産業相の発言詳細別途後述)
  
③ 「日本の精神文化の軸は京都」文化庁がなぜ京都に移転するのか理由が明確に示されている。なぜ、消費者庁は徳島に移転するのか、その理由は何なのか。政策の企画・立案でデメリットを上回るどんなメリットがあるのか

④ 実証というが、商品テストや研修の一部をお試しで実施できたからといって
  どうして移転の実証ができるというのか。
  テレビ会議も同様、一般の会議で活用できても何ら実証になどならない。
  上記懸念に答えるだけの実証試験の内容、そして、その結果をだれが評価・検証するのか


  参考:徳島県が提案した「通信情報政策研究所」「森林技術総合研修所」「農林水産研修所」「農業・食品産業技術総合研究機構(うち食品総合研究所)」は、今後の検討の対象外とされている。その理由には「省庁の近隣以外の立地では効果・効率の確保・向上が期待しにくい」「本省との連携のため、本省の近傍に所在することが必須」などとされている。これらはテレワークでは難しいと判断されたということか。