2016年1月30日土曜日

消費者庁徳島移転問題 今度は河野大臣が日経新聞 誤報発言

「(徳島県は)消費者センターの設置状況は全国平均を下回っている。消費者行政に特段、貢献していない」―。中央省庁の移転を巡る消費者庁と徳島県の意見交換で、消費者庁の担当者がこう発言したと報じた日本経済新聞の記事について、河野太郎消費者相は1月29日、「全く誤った報道た」と断じた。しかし、27日の意見交換は非公開。その後の記者ブリーフィングで、まち・ひと・しごと創生本部事務局の担当者は、間違いなく、「地方の消費センターの設置状況や資格保有率を見ても、徳島県はむしろ全国平均を下回っていて、消費者行政に特段、特別に貢献しているものではない」と消費者庁が説明したと報告していた。一部、正確に伝えていない部分もあるが、非公開にし、その後の事務局の説明内容を報道して大臣から誤報発言をされるのでは、たまったものではない。

問題にされたのは、1月28日付け日本経済新聞4面の
「省庁地方移転 閣僚の抵抗鮮明」と題する記事

消費者庁の担当者は、候補地の徳島県について
「消費者センターの設置状況は全国平均を下回っている。消費者行政に特段、貢献していない」
と、消費者行政への貢献を訴える徳島県の主張を真っ向から否定した。

河野消費者相は、幹部の「お試し移転」などを検討しているが、担当者は「まだ何も正式に決まっていない」と言明。

などとある。

消費者庁次長が発言否定会見
これに対し、消費者庁の川口康裕次長が、同日午後5時から発言否定会見を開催。
「徳島県は、消費生活センターの設置状況は全国平均を下回っている」「消費者行政に特段貢献していない」「お試し移転について、まだ何も正式に決まっていない」とは、発言していないと、発言を否定した。

翌29日、河野消費者相は、「一部新聞報道で全く誤った報道がされた。消費者庁から新聞報道について事実誤認はなはだしいという話もあったので、消費者庁で少しその内容について説明させていただいた」

受けとめ側と説明側が認識が違っていることはなく、一部メディアが誤った報道をしたということだ」と述べた。

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しかし、

実は私も、28日に公開した「徳島県の相談員資格保有率 47都道府県中40位、相談員配置率36位」と題するブログには

消費者庁は「地方の消費生活センターの設置状況や資格保有率は全国平均を下回り、徳島県が消費者行政に特別に貢献しているわけではない」と説明したと、まち・ひと・しごと創生本部事務局は報告した。

と書いた。
まち・ひと・しごと創生本部事務局の発言を、音声で再度確認すると、冒頭に書いた通りに発言している。

徳島県の提出資料では、「なぜ全国の中でそこか」の理由の1つに

◇消費者問題の人材育成
  消費生活相談員・有資格者数119人
  10万人当たりの消費者行政職員数、相談員配置は全国1位
  消費者大学校・大学院の卒業生1847人など     を挙げている。

これに対し、まち・ひと・しごと創生本部事務局が説明した消費者庁提出した徳島県の資料は

徳島県のデータ
人口5万人以上の自治体のセンター設置率 100%   47都道府県のうち20府県で達成
人口5万人未満の自治体のセンター設置率 28.6%   47都道府県中23位(全国平均34.7%)

徳島県は、8市15町1村のうち、人口が5万人以上の3市(徳島市、鳴門市、阿南市)には消費生活センターは設置されているが、残りの21市町村では、6自治体にしか設置されていない。

人口が5万人以下の自治体の設置率は、全国平均を下回っている。創生本部の発言は、
提出資料と整合していないとは言えない。

相談員配置率     54.2% 36位(全国平均73.6%)
相談員有資格率    55.8% 40位(全国平均79.0%、消費者庁が掲げた目標75%以上)
相談員研修参加率  69.8% 45位(全国平均89.9%、消費者庁が掲げた目標100%)   など

確かに
人口10万人当たりの行政職員数は3位、相談員数は1位だが、県下全域での行政職員総数は67人、相談員数は43人(うち有資格者24人)に過ぎない。創生本部の説明通り相談員有資格率は全国40位と全国平均をはるかに下回っている。

有資格者が119人いるとしているが、例えば東京都では4459人、神奈川県は2783人。人口10万人当たりで計算しても、徳島県の15.3人は、全国平均の18人を下回ることが、資料から読み取れる。

徳島県が「なぜ全国の中のそこか」の理由に
◇消費者行政改革への貢献
  平成20年5月の本県政策提言で21年9月に消費者庁が創設、
  平成20年5月~本県政策提言で平成26年6月、11月に景品表示法改正
  平成21年5月~本県政策提言で平成27年4月、食品表示法の施行
 
を挙げているが、消費者庁提出資料は
平成19年11月~国民生活審議会で行政のあり方総点検(新組織に何を求めるか検討)
平成20年1月 福田首相が施政方針演説で、縦割りになっている消費者行政を統一的・一元的に推進するため
          強い権限を持つ新組織発足を明言
平成20年2月 官邸に消費者行政推進会議設置(新組織をどのようなものにするか検討)
平成20年4月 福田首相「消費者庁(仮称)の創設に向けて」を発表
などの経緯が示されている。

徳島県は、自らの提言で消費者庁が創設されたと認識しているとすれば、これらのデータはその認識は違うということを示している。

「消費者行政に特段、特別に貢献しているものではない」という創生本部の発言を、私は「消費者行政改革に特別に貢献しているものではない」という意味だと受け止めた。

後で、この会議に出席していた人に取材をすると、川口次長がこれらの発言をしていないのは事実のようだ。
しかし、
消費者庁提出資料や説明内容から、創生本部事務局の担当者が発言通りに受け止めていた、示された客観的データがその発言を裏付けていたことは間違いない。

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一カ所、

日経新聞の記事中

河野消費者相は、幹部の「お試し移転」などを検討しているが、担当者は「まだ何も正式に決まっていない」と言明。

の部分は、記者ブリーフィングの中で、そういう説明はなかった。

「河野消費者相が、3月末時点で移転しないとは書かないと発言し、石破大臣も了承しているように話されているのは事実か」

と私が質問したのに対し

創生本部事務局は、

「石破大臣が了承している事実はない。3月の方向性について両大臣で話し合ったという事実はない。したがって何も決まっていない」と答えている。

この部分を、消費者庁の担当者の発言としたのであれば、事実とは異なる。

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しかし、何分にも非公開だ。石破茂地方創生相は
徳島でも、懸念に対してきちんと答えて行政ができるという実論ができるか。その議論の課程を広く国民の皆様方にご判断いただくことが大事だ」と発言している。
検討の経過が十分に国民に伝わり、消費者団体の懸念を払しょくできるだけの透明性のある検討方法が求められている。

そもそも、結果的に徳島県バッシングにつながるような意見が出てくるような検討手法を取っていること自体に問題がある。

私は愛媛出身で、平成の大合併を繰り返し、県庁所在地ではない地方都市の中心部からも外れた高齢者がどんな残酷な環境に置かれるか身を持って体験してきた。高齢の父は、救急車で自宅からタクシーで往復4000円もかかる市内の病院に搬送され、有効な治療も受けられないまま無念に死んでいった。二度と同じ経験をしたくないと母は東京に引き取っている。

地方が創生されればどんなにいいかと切実に願う。

本気で地方創生に取り組むのであれば、総務省や国交省などから地方で実施した方がいい業務を国が率先して提案し、受け入れ先を募集すべきではないのか。参議院選用のパフォーマンスにしか見えない。


徳島県が、なぜ全国の中でそこかの理由に
◇徳島県の先進的な事業として、 消費者大学校・大学院設置、くらしのサポーター制度創設、とくしま食品表示Gメン制 度、全国初「食品表示適正化条例」制定
◇全国屈指の光ブロードバンド環境                  を挙げていることは、付記しておく。

徳島県知事が、消費者教育に熱心に取り組み、消費者庁の消費者教育推進会議(第2期)、「倫理的消費」調査研究会の2つの委員を務めていることは、消費者庁の提出資料でも示されている。

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