2017年6月7日水曜日

ジャパンライフ被害相談窓口開設 東京投資被害弁護士研究会+静岡県弁護士会110番報告

投資被害の解決に取り組む弁護士らで組織する「東京投資被害弁士研究会」はこのほど、ジャパンライフ被害相談窓口を開設した。消費者庁が326日付で、預託法と特商法違反で業務停止命令を出したことを受け、相談に応じる。

 この研究会は、投資被害救済を目的とした弁護士の研究会。20044月、東京の3つ弁護士会で消費者事件や投資被害の解決に取り組む弁護士らが設立した。2012年に「東京先物被害研究会」から改称され、現在は約215人の会員がいる。投資被害実務の研修や情報交換、制度改正に関する意見提言、事件受任などに取り組んでいる。

未公開株・社債商法、CO2排出権取引、商品先物取引、金の現物取引、外先物・海先オプション取引、ファンド商法、バイナリー取引、ビットコインなど、さまざまな相談に対応してきた。

 東京投資被害弁護士研究会のホームページから申し込む  http://www.tokyosakimonosyokenhigai.com
電話番号は、0335563607 
(月~金、10時~12時、13時~17時、佐藤千弥弁護士)

4月27日には、静岡県弁護士会が「ジャパンライフ110番」を実施
5件中、2件が契約額1億円超 

静岡県弁護士会は427日、東部、中部、西部3カ所で「ジャパンライフ110番」を実施した。相談件数は5件だったが、2件は契約金額が1億円を超えていた。親が契約しているが説得に応じないなど、家族が心配して相談するケースが目立った。静岡県弁護士会消費者問題委員会では、本人が被害に遭っている認識がない実態があることから、引き続き同問題に取り組んでいく方針だ。

「本人、被害の認識ない」
家族が心配して相談

レンタルオーナー商法の被害が増えている中で、県内にも拠点があるジャパンライフが消費者庁から2度の行政処分を受けたことから、同社に特化した110番を企画した。24日に公表し、当日は3回線で5時間、相談を受け付けた。

寄せられた相談は5件。契約者の年齢は、5件とも75歳以上の高齢者だった。このうち、2件は契約額が1億円を超えていた。親が契約していることを知り解約を勧めたが、本人は被害に遭っているという認識がなく説得に応じないなどの家族からの相談が多かった。相談に来るよう助言した。

静岡市に住む80歳代女性の家族からの相談では、女性が入院中でかさむ入院費をどうしようかといろいろ調べたところ、ジャパンライフと2600万円もの高額な契約をしていたことが判明したという。知人に誘われ、20163月の新規契約から2カ月の間に、1000万円の売買契約と賃貸借契約を2口、100万円を超える同様の契約2口を契約していた。自宅には、ベッドや枕、ジュースなどもあり、別途購入させられたと思われた。

静岡県弁護士会消費者問題委員会の靏岡寿治弁護士は、「家族からの相談が多く、本人が被害に遭っているという認識がないまま、大きなお金が動いている実態がある。特に孤独になりがちな一人暮らしの高齢者に、数少ない交友関係を利用して接近し、老後資金を吸い上げるという図式が浮かび上がってきた。被害を掘り起こす意味からも、各地の弁護士会消費者問題委員会とも協力しながら、継続して110番等を実施していきたい」と話している。


消費者庁天下り問題⑩ ジャパンライフ業務停止命令後も訪販で契約

消費者庁は昨年1216日、訪問販売、連鎖販売、預託取引の業務を停止する1回目の命令を出したが、その後訪問販売で、業務停止命令対象の契約をさせていた事実が確認できた。
100万円のネックレスタイプの磁気治療器、数百万円分を契約させていた。この契約に基づく装着タイプ磁気治療器の保証書を入手した。

「月額活動費」として年6
100万円につき毎月5000円

レンタル料という言葉は用いず、月額活動費としているが、

「商品を購入させ、現物は渡さず、年6%月額100万円につき5000円を高齢者に還元している」という点では、契約内容は従来のレンタルオーナー制度と何も変わっていない。

これだけの事実が確認できる状況下で、何故、消費者庁は何もできないのか。

「消費者庁なめている」
一刻も早く被害食い止めよ 大門氏

「もう、完全に消費者庁をなめている」-。

524日の参議院消費者問題特別委員会で、共産党の大門実紀史氏は、業務停止命令後に1000万円の契約をさせていた事実を明らかにし、こう指摘した。

新たな段階がきているとして、松本純消費者相に刑事告発も念頭に入れた厳正な対処を要請。一刻も早く被害を食い止めるための対応を講じることを求めた。


松本純消費者相は「一つ一つ丁寧に確認した上で、違反があると判断した場合には厳正に対処する」と、川口次長と同様の答弁を繰り返した。

消費者庁天下り問題⑨ ジャパンライフ社 顧客に消費者庁違反認定と真逆の通知

 ジャパンライフ社が331日付で、消費者庁が認定した違反事実が誤りであるかのような措置命令とは真逆の内容の文書を、顧客に送付していたことが分かった。消費者庁は、3月16日の業務停止命令と同時に、認定した違反事実を顧客に通知することを求めていたが、措置命令が守られていない。消費者庁が違反を認定したレンタルされているべき現物が不足していた点については、大量の在庫を保有しているとし、消費者庁が賃借対照表の負債額に記載すべき額が書かれていなかったとした点には、42年間決算報告書について税務署から何一つ指摘されたことはないと書面に記載していた。消費者庁はこれを知っていて放置しているのか。だとすれば、あまりに情けない。

送付された文書を入手した。以下がその文書。

         
「現物2万個不足」 消費者庁     
「大量在庫を保有」 通知文                 

顧客に通知された文書には、「当社の生産体制は、国内3工場、海外2工場で生産しており、大量の在庫を保有している」「中国のチンタオ工場では、常時100人から150人の作業員が2交代で生産を行って、埼玉工場へ資材や中間品が毎日大量に送られており、埼玉工場では連日生産に追われ、商品の供給に全力を尽くしている」とある。
消費者庁が316日に認定した違反は、①「ネックレスタイプ磁気治療器を22441個レンタルする目的で預かっていたが、レンタルされていたのは2749個に過ぎなかった」―という内容。「埼玉工場には95個しか在庫がなく、新たに売るための商品だった」と、レンタルすべき現物がなかったと説明していた。
まったく逆の内容の文書を通知していたことになる。

「負債額が虚偽記載」 消費者庁
42年間決算問題なし」 通知文書
 
 消費者庁が認定したもう1つの違反は、②「本来負債額として書くべき額が、少なくとも約2877000万円はあるが、全体の負債額は94.5億円と虚偽記載されていた」。 
これに対しても、ジャパンライフは「顧問税理士により、創業以来、毎年毎年決算報告書を42年間、所轄税務署に提出して承認を得て何一つ指摘をされたことはない」「一度も会計税務および財務の指摘を受けてもいないし、問題も起こしていない」とし、監査報告書、賃貸対照表、財産・損益の状況を併せて送付している。                      



賃借対照表は違反認定をした翌年度のもので、貸借対照表の負債額は102.6億円と記載され、49.8億円の純資産があるとしている。
「商品体験で売り上げが上がっており、2月は292122万円、3月は29日現在286770万円で2月以上の売上が確保できる」とも記載されていた。

通知、把握していたのか
「回答できない」消費者庁

消費者庁に、この事実を把握しているのか質問したところ、同庁取引対策課は、「個別案件のため回答できない」と回答した。

送付された文章、賃借対照表を見せ、財務分析上のどこが問題なのかを質問しても、何ら回答できなかった。

消費者庁の業務停止命令の公表資料より、ジャパンライフが顧客に送付したこの文章の方が、はるかに分かりやすい。この文書を受け取ったおじいちゃんやおばあちゃんは、この文書の方を信じてしまう可能性が高い。


 なぜ、消費者庁はこの文書の問題点すら回答しないのか。内容の真偽について、答えられないというのは、放置しているに等しい。現場の相談員も混乱するのではないのか。

内容の真偽「回答できない」
放置に等しく、調査能力に疑問符

そもそも、消費者庁は粉飾決裁だと自らの処分の中で指摘しておきながら、ジャパンライフに措置命令を出し、監査法人か公認会計士による監査を受け、51日までに報告することを求めた。このこと自体に、問題があったのではないのか。

20159月の立入検査時に消費者庁取引対策課に在籍していた公認会計士が20167月に契約の任期が切れて退職している。その後、未だに公認会計士は空席のままだが、せめて20167月までに厳正な行政処分を行い、消費者庁自らが違反を確定させるべきだった。違反認定の遅れが尾を引いている。

認定した違反事実と真逆の内容が直後に顧客に通知され、その内容が誤りであることすら指摘できないというのは、行政処分官庁としてあまりに情けない。調査能力にも大きな疑問符がつく。

2017年6月6日火曜日

消費者庁天下り問題⑧ ジャパンライフ「腰痛や膝治る」1000人集めホテルで勧誘

消費者庁が2度の業務停止命令を出したジャパンライフ社(東京、山口隆祥会長)516日、都内のホテルに1000人を超える人を集め、同社の磁気治療器で「腰痛や膝痛が治る」「すべてが血行。全部解決する」「(2度目の業務停止命令を受けた)3月に売上過去最高30億円を達成した。すごい産業になる」などと説明し、大々的な勧誘を行っていたことが分かった。港区台場のグランドニッコー東京で開催した「2017東京国際大会」の音声記録と画像を入手し、分析した。石川さゆり歌謡ショーや大抽選会で人を集め、社員が自ら磁気治療器を体験し、「30秒で体が柔らかくなる、血流がよくなりがん細胞と闘っている」と説明するなど、驚くべき勧誘が行われていた。この催し自体が、業務停止命令を受けた訪問販売(催眠商法)に当たる可能性が高い。なぜ、高齢者が高額な命金をつぎ込むのか。その手口がようやく見えてきた。消費者庁は、なぜ、業務停止命令の中で、勧誘の悪質性を違反認定しなかったのか。不実告知をなぜ認定できなかったのか、新たな疑念が出てきた悪質性を国民に伝えられない違反認定の甘さと公表、業務停止命令後の対応のずさんさが、被害をさらに拡大させている。消費者庁の存在価値が問われている。

驚くべき勧誘の手口が見えてきた
2017東京国際大会の音声と画像を分析

ミリオネア会員を表彰
2億円以上の契約者24人

「2017東京国際大会」の参加者は、主催者発表によると、過去最高の1013人。

ます、高揚感をあおる音楽が流れる中、色とりどりのスポットライトに照らされ、表彰式が行われた。新たに2億円以上の契約をした10人と、3億円を達成した2人の計12人に山口ひろみ社長が表彰状を1人ひとり手渡して握手し、社長や会長とともに記念撮影をする。
2億円以上の契約をしているミリオネア会員は、24人になったと報告した。

ジャパンライフ社員が磁気治療器を“体験”。
30秒後に体が柔らかくなり、「血流がよくな
り、がん細胞と闘っている」と説明した。 
社員が磁気治療器を体験
「30秒で体が柔らかくなる」

次に体験が始まった。            
社員3人が磁気治療器をつけて前屈をすると、30秒で体が柔らかくなる。

なぜ、30秒か。「血液が体を一巡りするのが30秒だから」だと説明した。

〇〇部長は、旧来タイプの磁気治療器を付け前屈したときは床から指先まで29㎝も離れていたが、新商品をつけると15㎝に、さらに、8月に発売されるという商品をつけると5㎝と、24㎝分体が柔らかくなった。他の2人も24㎝、22㎝柔らかくなった。

「血流がよくなり、がんと闘ってる」
「がんと健康な体、どっちがいい?」

「オーすごい」と歓声が上がる中、同社社員は「体が柔らかくなったということは血流がよくなる。細胞が活性化していき、体の中でがん細胞と闘っているという流れになる」と解説した。

「ガンと、健康な体 皆さんどっちがいいか指差してください」
「3年後、5年後、病院で要介護、毎日毎日おんなじ窓を見ている。こんな生活でいいんですか」
と参加者に問いかけた。


「3月売上、過去最高30億円」
「すげえ産業になる」 山口隆祥会長講演

この後登場したのは、山口会長。消費者庁が2度目の業務停止命令を出した3月に、「悲願の売上30億円を達成した」と報告した。

4月は355000万円、
5月は16日までの売上が25億円
だと話し、

「体験を始めたらバンバン売り上げが上がって、チンタオ工場で13部制で作っても、品物が足りないほど売れている。これからすげえ、もう本当にすげえ産業になる」と強調した。


「すべてが血行、全部解決する」
「腰痛、膝痛 装着タイプ磁気治療器で治る」
「日本人はがんや心筋梗塞、脳障害で亡くなっているが、
すべてが血行。血液の流れをよくし、きれいにするのが
ジャパンライフ」だと、山口会長は力説した。

 さまざまなパネルを使って、驚くべき勧誘トークが続く。「腰が痛い人は3800万人いるんだよ。膝が痛い人は3000万人いるんだよ。これ、装着タイプ(の磁気治療器)で治るんだよ」

「日本人は、がんだとか心筋梗塞とか脳障害で亡くなっているが、すべてが血行。血液の流れをよくする、きれいにするのがジャパンライフ」

「立ち上がれない、つまずきやすい、腰が痛く歩くのが辛い・・。これが治らないと要介護になって寝たきりになるよ。そうすると認知症になるよ。これを全部
解決するのがジャパンライフの装着タイプの磁気治療器」などと訴えた。
「腰が痛い人は3800万人、膝が痛い人は
3000万人いるんだよ。これ、装着タイプ
(の磁気治療器)で治るんだよ」とも山口会長

 高齢者が毎月収入が得られる仕事を提供する▽高齢者を健康で元気で若々しくする▽高齢者が楽しく集まれる場所を常につくるーという今後発展する高齢者ビジネスの要件をすべて満たしていることも強調。

「日本の産業は全部過当競争でだめになった。(ジャパンライフは)専売特許も取っている。厚労省の認可もある。絶対に他社が参入できない」とも話し、「すごい産業の話ということが理解できましたか」と締めくくった。

この後、年間最大の割引率でテーブルごとの勧誘が始まった。

参議院消費者特で大門実紀史氏追及
「催眠商法の大型版」「不実告知に当たる」

524日の参議院消費者問題特別委員会で、

共産党の大門実紀史氏は、内部告発で、国際大会の音声記録と映像を入手したとし、「催眠商法の大型版」と指摘した。

「業務停止命令中に、なぜ、売り上げが伸びているのか」と消費者庁を追及。「売上額がうそだった場合は、不実告知になる」
「『腰痛や膝痛が治る』、『血行がすべての病気の原因で、これを全部解決するのがジャパンライフの装着用磁気治療器』という発言は、商品の効能に関する不実告知に当たる」と述べ、違法性がないか検証することを求めた。

これに対し消費者庁の川口康裕次長は「事実を一つ一つ確認しているところで、仮に法令違反があると判断した場合は適切かつ厳正に対処していく」と答弁。「ホテルの会場を利用して1日で次の場所に移動する場合も訪問販売に入り得る」との見解を示した。一日限りで限定的な商品を売りつける古典的な催眠商法で、対象になると見られる。

医療機器うたえる効能 厚労省に取材

「こり、血行の改善」のみ

 ジャパンライフ磁気治療器の医療機器認証について、厚生労働省を取材した。人体に与えるリスクに応じて届出と認証、承認がある。ジャパンライフの磁気治療器は認証を受けている。

 認証した機関に確認すると、うたえる効能は「装着部のこりおよび血行の改善」のみ。「万人に効果があるわけではなく、治ることはない」と説明している。

 特許庁は、同社が取得した特許の内容について「効果は書いてある範囲で認められる」と説明しているが、公開された特許公報では、人体への効果については何ら言及されていない。「従来より良好な磁気磁力効果を得る」とあった。

 消費者庁から天下った元課長補佐の後任として、顧問に就任していた中嶋誠元特許庁長官(経産省OB)は、45日の参議院消費者特委で大門氏が追及した後、辞任していたことが判明した。しかし、なぜ、元特許庁長官が広告塔として天下るのか、疑問が残る。特許を受けた商品が、うその説明をされ、何百万円もの価格で販売されている。しかも現物は手元に一部しかこず、契約額の年6%のお金が契約者に支払われている。

 「腰痛や膝痛が治る」「すべてが血行、全部解決する」などの勧誘トークは、医薬品医療機器法(旧薬事法)に違反し、不実告知に該当する。

消費者庁、勧誘の悪質性
なぜ、認定しなかったのか

 消費者庁が行った2度の業務停止命令で認定した違反は、①勧誘目的不明示②レンタルする商品がなかったにもかかわらず、故意にその事実を告げなかった③概要書面と備置書面への財政状況の虚偽記載-に過ぎない。

 消費者庁の公表資料や会見の説明では、なぜ、おじいちゃんやおばあちゃんが、数千万円、1億円を超えるお金を次々につぎ込んでしまうのか、まったく理解できなかった。国際大会の音声記録で、ようやく勧誘の手口が見えてきた。

 高齢者の孤独や健康への不安、将来のお金への不安に巧妙につけ込み、うその説明をしている。消費者庁は、この実態を把握していたのか。なぜ、不実告知の違反を認定しなかったのか。

 入手した当時の相談概要からも、同様の手口で勧誘が行われていたものとみられる。現に1回目の処分の公表資料の事例には「腰痛も治る」などの記載が並んでいた。なぜ、この時点で不実告知の違反を認定できなかったのか。消費者庁は明らかにすべきだろう。

 これまで、在職中に同社に天下りを要求した消費者庁取引対策課の元課長補佐が、行政処分に手心を加え、さらに消費者庁がそれを隠ぺいしようとして行政処分を遅らせた問題を指摘してきた。
  だが、その後の行政処分の内容や公表のし方、業務停止命令後の対応でも問題があったことが鮮明になってきた。悪質性が伝わらず、マスコミですら、ジャパンライフの業務停止命令をほとんど放送していない。被害を拡大させ続けている。

 2度の業務停止命令を出した月の売上が過去最高という山口会長の発言が事実だとすれば、消費者庁はあまりになめられている。

 消費者は、今後もこの事態を放置するのか。