2017年6月7日水曜日

消費者庁天下り問題⑨ ジャパンライフ社 顧客に消費者庁違反認定と真逆の通知

 ジャパンライフ社が331日付で、消費者庁が認定した違反事実が誤りであるかのような措置命令とは真逆の内容の文書を、顧客に送付していたことが分かった。消費者庁は、3月16日の業務停止命令と同時に、認定した違反事実を顧客に通知することを求めていたが、措置命令が守られていない。消費者庁が違反を認定したレンタルされているべき現物が不足していた点については、大量の在庫を保有しているとし、消費者庁が賃借対照表の負債額に記載すべき額が書かれていなかったとした点には、42年間決算報告書について税務署から何一つ指摘されたことはないと書面に記載していた。消費者庁はこれを知っていて放置しているのか。だとすれば、あまりに情けない。

送付された文書を入手した。以下がその文書。

         
「現物2万個不足」 消費者庁     
「大量在庫を保有」 通知文                 

顧客に通知された文書には、「当社の生産体制は、国内3工場、海外2工場で生産しており、大量の在庫を保有している」「中国のチンタオ工場では、常時100人から150人の作業員が2交代で生産を行って、埼玉工場へ資材や中間品が毎日大量に送られており、埼玉工場では連日生産に追われ、商品の供給に全力を尽くしている」とある。
消費者庁が316日に認定した違反は、①「ネックレスタイプ磁気治療器を22441個レンタルする目的で預かっていたが、レンタルされていたのは2749個に過ぎなかった」―という内容。「埼玉工場には95個しか在庫がなく、新たに売るための商品だった」と、レンタルすべき現物がなかったと説明していた。
まったく逆の内容の文書を通知していたことになる。

「負債額が虚偽記載」 消費者庁
42年間決算問題なし」 通知文書
 
 消費者庁が認定したもう1つの違反は、②「本来負債額として書くべき額が、少なくとも約2877000万円はあるが、全体の負債額は94.5億円と虚偽記載されていた」。 
これに対しても、ジャパンライフは「顧問税理士により、創業以来、毎年毎年決算報告書を42年間、所轄税務署に提出して承認を得て何一つ指摘をされたことはない」「一度も会計税務および財務の指摘を受けてもいないし、問題も起こしていない」とし、監査報告書、賃貸対照表、財産・損益の状況を併せて送付している。                      



賃借対照表は違反認定をした翌年度のもので、貸借対照表の負債額は102.6億円と記載され、49.8億円の純資産があるとしている。
「商品体験で売り上げが上がっており、2月は292122万円、3月は29日現在286770万円で2月以上の売上が確保できる」とも記載されていた。

通知、把握していたのか
「回答できない」消費者庁

消費者庁に、この事実を把握しているのか質問したところ、同庁取引対策課は、「個別案件のため回答できない」と回答した。

送付された文章、賃借対照表を見せ、財務分析上のどこが問題なのかを質問しても、何ら回答できなかった。

消費者庁の業務停止命令の公表資料より、ジャパンライフが顧客に送付したこの文章の方が、はるかに分かりやすい。この文書を受け取ったおじいちゃんやおばあちゃんは、この文書の方を信じてしまう可能性が高い。


 なぜ、消費者庁はこの文書の問題点すら回答しないのか。内容の真偽について、答えられないというのは、放置しているに等しい。現場の相談員も混乱するのではないのか。

内容の真偽「回答できない」
放置に等しく、調査能力に疑問符

そもそも、消費者庁は粉飾決裁だと自らの処分の中で指摘しておきながら、ジャパンライフに措置命令を出し、監査法人か公認会計士による監査を受け、51日までに報告することを求めた。このこと自体に、問題があったのではないのか。

20159月の立入検査時に消費者庁取引対策課に在籍していた公認会計士が20167月に契約の任期が切れて退職している。その後、未だに公認会計士は空席のままだが、せめて20167月までに厳正な行政処分を行い、消費者庁自らが違反を確定させるべきだった。違反認定の遅れが尾を引いている。

認定した違反事実と真逆の内容が直後に顧客に通知され、その内容が誤りであることすら指摘できないというのは、行政処分官庁としてあまりに情けない。調査能力にも大きな疑問符がつく。

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