2013年11月27日水曜日

「牛脂注入肉」にアレルギー物質。優良誤認の問題なのか。外食産業へのアレルギー表示義務付け必要。

「牛脂注入肉」にアレルギー物質
添加物や調味液も注入
「乳」や「小麦」、「大豆」

 相次ぐ食材偽装問題で、がホテルや旅館、百貨店のレストランで「ステーキ」として提供されていたことが明らかになった「牛脂注入肉」

牛脂だけではなく、牛脂を乳化させ安定させるための添加物や調味液などが注入され、その中に食物アレルギーの原因となる「乳」や「小麦」、「大豆」などが含まれていることをどれだけの人が知っているだろうか。

 食肉加工業者から包装されて卸売業者、レストラン、小売店などに流通する段階では、食品衛生法でアレルギー表示が義務付けられているが、外食産業での義務付けはない。

牛脂注入肉に用いる調味液の原材料名表示の

「和牛脂、オイスターソース、たん白加水分解物、酵素、調味料(アミノ酸等)、カゼインナトリウム、リン酸塩、増粘剤、キサンタン、(原材料の一部に乳を含む)」。

カゼインナトリウム、リン酸塩
←肉を結着させ、注入した牛脂や調味液を肉にとどめるために用いられる。

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安定剤カゼインナトリウムは乳由来の強いアレルゲン

このうち、カゼインナトリウムは牛乳から作られ、乳アレルギーのある人は、微量でも食物アレルギーを引き起こす可能性がある。乳由来の強いアレルゲンだ。

3歳の男の子と女の子が、豆腐めんに含まれていたカゼインナトリウムでアナフィラキシー(命にかかわる重篤な症状)を起こした症例が00年の日本小児アレルギー学会で報告されている。豆腐めんに用いた粉末油脂に3.5%のカゼインナトリウムが含まれていた。スナック菓子に使われていたカゼインナトリウムで発症した例もあるという。

アレルギー物質は、最終製品に「抗原性が認められないものを除き」表示が必要とされており、最終製品1gにつき100万分の数グラム(数マイクログラム)含まれていた場合は表示しなければならない。現在、卵、乳、小麦など7品目が義務表示とされ、大豆やゴマなど20品目が任意表示とされている。

リン酸塩は使用を減らす傾向にあり、使われていない牛脂注入肉もある。カゼインナトリウム、リン酸塩ともに使っていない製品もあった。ただし、原材料の一部に「乳」のほかに「小麦」、「大豆」を含むと表示されているものもある。


成形肉にも、カゼインナトリウム

 あばら骨の周りの肉や内臓肉などを固めた「成形肉」にも、「乳」や「卵」、「大豆」、「小麦」のアレルギー物質が含まれている。
パーム油、粉末状植物たん白(大豆、ソルビンタン脂肪酸エステル、亜硫酸水素ナトリウム)、卵白、pH調整剤、増粘多糖類、カゼインナトリウム、酵素などが含まれている。カゼインナトリウムが乳由来のアレルゲン。酵素に何が使われているか詳細を表示する義務はないが、トランスグルタミナーゼと併せて、日持ち向上剤の卵白リゾチームが使われている場合が多いという。この卵白リゾチームも、容器包装加工食品にはアレルギー物質の卵が含まれていることを表示する義務があるが、外食や中食での表示義務はない。


食物アレルギー患者に広がる不安
ステーキだけの問題なのか

食物アレルギーの子を持つ親の会には、一連の食材偽装が発覚して以後、「しゃぶしゃぶを食べに子どもを連れて行って大丈夫だろうか」などの相談が寄せられている。

ステーキだけの問題なのか。焼肉やすき焼き、しゃぶしゃぶは大丈夫なのか。そんな不安が広がっているという。

外食や中食(惣菜など)については、対面で聞くことができることを理由にアレルギー表示が義務づけられていないが、これらを注文する際にアレルギー物質が含まれているかどうか聞くことができるだろうか。


食物アレルギーの子を持つ親の会、武内澄子代表の話

これまで成形肉についてはアレルギー物質が含まれているという一定の認識があったが、牛脂注入肉にカゼインナトリウムなどのアレルギー物質が含まれていたことで不安が広がっている。

命にかかわる問題。外食産業でもぜひ表示をしてほしい。


04年の文部科学研究「食物アレルギー発症リスク軽減のための調査報告」では、アナフィラキシー症状を誘発した原因食品は容器包装加工食品が29.4%だったのに対し、レストランや中食などアレルギー表示の義務付けのない食品が33.7%と上回っていた。
この研究にメンバーの一員としてかかわった武内代表は、当時から中食や外食へのアレルギー表示の義務付けを強く求め続けてきた経緯がある。

 
 消費者庁食品表示一元化検討会の委員を務めた中村幹雄・鈴鹿医療科学大学薬学部客員教授の話

 レストランに納入されるまでは表示義務があるが、その情報が消費者に提供されない恐れがある。社会や消費者にとって何が安全かを考えなければならない。外食や中食での食物アレルギー表示を速やかに検討すべき

製造物責任法に詳しい東京PL弁護団代表の中村雅人弁護士の話

 提供した食品でアレルギー症状を発症した場合、表示の義務付けがなくとも、その物質がアレルギーを引き起こすことが広く知られている場合は、事業者は損害賠償責任を問われる可能性が大きい


消費者庁は、食材偽装問題を景品表示法の強化、執行体制の増強で対応しようとしているが、優良誤認の問題などではない

命にかかわる

アレルギー表示については、表示の義務付けの検討に早急に着手し、一刻も早く実施に踏み切るべきではないか。

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