2017年12月23日土曜日

消費者庁天下り問題⑯ 消費者庁ジャパンライフ4回処分しても、まだ被害拡大止められず

消費者庁が1215日に行ったジャパンライフ(東京都千代田区)への4回目の行政処分のポイントを整理しておく。預託取引(レンタルオーナー商法)、連鎖販売取引(マルチ商法)に再度1年間の業務停止命令を出したことで、レンタルオーナー商法とマルチ商法、モニター商法(1117日に1年間の業務停止命令)を押さえた。ただし、同社は111日から「リース債権譲渡販売」に移行させているため、4回処分をかけてもまだ被害の拡大は止めらない状況がある。4回も処分しなければならないこと自体、過去の処分時期や内容、公表に問題があったことを露呈しており、本来は業務停止命令違反、刑事告発で決着させるべき事案といえる。事業者側のさまざまな準備に、十分すぎる時間を与えてしまった。

「リース債権譲渡販売」放置されたまま

今回の処分は、4回も処分をしてもなお、同様の業務が継続できる点が最大の課題といえる。ジャパンライフが今年11月から開始したと自ら広報する「リース債権譲渡販売」は、例えば、これまで100万円で販売してきた磁気ネックレスを70万円で販売し、これまでと同様の販売価格の6%を5年間で30万円を支払うという内容だ。

どれほど、現金を必要としているかがわかる契約内容になっている。

同社のセミナーで説明され、その日のうちに契約してしまったという相談事例が、ジャパンライフ被害対策中部弁護団に寄せられている。
ジャパンライフは4回目の処分のあと、自社のホームページで「2年以上も前にやめた業務に対しての停止処分ですから、現在の業務には一切関係ありません」と、山口隆祥会長名で反論しているが、これまでと同様の契約を、名称を変えて継続できる状況をまた残してしまった。
  
業務停止命令の流れ
  2回目 2017年 316日 訪問販売・連鎖販売取引・預託取引     9カ月
  3回目 20171117日 業務提供誘引販売取引(預託取引から移行)  1年間
  4回目 20171215日 連鎖販売取引・預託取引          1年間
  <解説>
1217日から訪問販売は再開できるが、実質的に連鎖・預託・業務提供
誘引販売は停止されているため、単純に布団などを販売することしかできない。
   ※100万円から600万円の磁気ネックレスや磁気ベストを、年利6%で売る商法
     預託取引(レンタルオーナー商法)→業務提供誘引販売(モニター商法)
     →「リース債権譲渡販売」ここは手付かず放置
3回目に処分したモニター商法はマルチでもあった
   ※4回目の処分は、モニタ―商法と
    してきたものにマルチ商法が含ま
    れてきたとして、連鎖販売(マルチ商法)に業務停止命令1年を出した。ただし、違反認定事実5事例のうち4事例が3回目と全く同じ。預託法の備え置き書面はこれまでは債務の過少計上、今回は公正と認められる書類を備え置いていない違反を認定したとして業務停止命令1年を出している。3回目の処分と4回目の処分を分ける必要があったのかどうか。また、そもそもなぜ業務停止命令違反だと認定・公表しないのか、疑問がある。
 
 同様の現物まがい商法で破綻した安愚楽牧場は、元社長
200万円で販売されている磁気ベスト
と元役員が預託法の故意の不実告知で実刑判決を受けている。ジャパンライフも、消費者庁から預託法と特商法で直罰が規定されている違反の認定を受けている。業務停止命令違反も含め、本来は刑事告発をして公表すべき。消費者庁は「個別案件について捜査に支障があり、告発しているかどうかを含め明らかにしない」と説明しているが、刑事告発を公表している前例はあり、この対応自体に疑問がある。ジャパンライフを行政指導した消費者庁取引対策課の元課長補佐の同社への天下り問題以降、消費者庁は後手後手の対応で被害を拡大させてきた。


 ジャパンライフ社は今回の行政処分について「真摯に受け止めるが、違反事実に該当するものがない。違反認定事実は3回目と全く同じ内容で、であれば、同時にご指導いただければと思う。預託法の備え置き書面についても、消費者庁の指導に基づき正式なものは6月末でなければ出せないという文書を出したが、処分をされた」と話している。

解約阻止すると報奨金 社内に「返金取下げ継続奨励金支給規定」

同日の処分時の会見で、新たに明らかにされたのは、契約者から解約の申し出があった場合に、解約を阻止して返金を取り下げさせると、その額の1%の報奨金を出すという社内規定の存在だ。

「返金取下げ継続奨励金支給規定」と銘打ち、
解約を阻止した場合の報奨金規定
返金取り下げに協力したチームリーダーやチームメンバーに、返金を取り下げた額の1%を報酬として支払うことが明記されている。

3000万円をチーム5人が協力して返金を取り下げさせた場合は、全員に6万円ずつ計30万円を支給することなどが明記されている。短期レンタルオーナー契約は、いつでも解約できることを契約書にうたっており、経営状況がかなり緊迫していたことがうかがえる。

公表された文書は2つで、その日付は722日付、926日付と、3回目の行政処分よりもかなり以前に出されている。本来なら3回目の処分でいち早く公表し、消費者に伝えるべきではなかったのか。

0 件のコメント:

コメントを投稿