2017年12月23日土曜日

消費者庁天下り問題⑰ ジャパンライフを「詐欺」で刑事告発  被害対策中部弁護団

ジャパンライフ被害対策中部弁護団は1220日、「ジャパンライフ」(東京都千代田区、山口隆祥会長、山口ひろみ社長)が行った一連のレンタルオーナー商法と業務提供誘引販売は、預託法違反、特定商取引法違反、出資法違反のみならず、詐欺に該当するとして、同社と経営者親子に対する刑事告発状を愛知県警に提出した。
杉浦英樹弁護団長は「消費者庁は、取引対策課課長補佐の同社への天下り問題などで的確な処分を行えず、4回の処分が繰り返されても、なお、被害の拡大が止まらない。財産の隠匿と散逸を食い止め、被害の拡大を防ぐために、消費者庁に代わって刑事告発に踏み切った。警察の早急な捜査と厳正な処分を求めたい」と話している。

4回の処分でも、被害拡大止まらず
消費者庁に代わって、刑事処分求める

告訴状によると、告発事実に、①レンタルするとしていた磁気ネックレスが大幅に不足し、負債額が過少に計上されているなどの「預託法違反」(消費者庁が違反を認定)②2016年度末時点で338億円の赤字だったにもかかわらず、事実を故意に告げずに契約をした「特定商取引法違反」()③元本と年率6%の利回りを保証すると説明し、不特定多数の人から、磁気治療器の販売代金名目で、業として預かり金を受け取った「出資法違反」大幅な債務超過で、契約残高が1843億円(2016年度末)に上り、同社の事業自体継続性がなくいずれ破綻が必至という状況で、レンタル―オーナー契約や業務提供誘引販売契約の代金を支払わせる「詐欺」-を挙げている。

911日付で、同社が消費者庁からの指導を受けて顧客に送付した通知によると、2016年度末時点の純資産額は約338億円の赤字、契約残高は1843億円、預託者の数は、20177月時点で6855人としていた。

愛知県内の70歳代の男性は今年1015日、同社が主催するセミナーで、同社の山口隆祥会長、山口ひろみ社長から、「生命保険を解約してジャパンライフの商品を購入した方が有利だ」と説明された。1030日には、同社従業員から「資産がたくさんあるので、活動費(年率6)の支払いは大丈夫だ」と言われ、同社の財産状態には問題がないと誤認して1031日に業務提供誘引販売取引契約をし、2680万円を支払った。

愛知県警は、1人の被害者では会社ぐるみで違反行為が行われたか定かではないなどを理由に、現時点では告発状を受理していない。
 
 杉浦団長は、「ジャパンライフは、消費者庁から4回の業務停止命令を受けてもなお『リース債権譲渡』などと名称を変更して顧客から金銭を募る活動をやめようとしておらず、被害を防止し拡大を防ぐには、警察による実態解明と厳正な刑事処分が必要」と訴えている。
 消費者庁の岡村和美長官は同日、「被害者が全国多数にわたる重大案件で、さまざまな方たちが被害防止拡大救済のために動いてくださることは行政としても大変ありがたいと思っている」と話している。
 
 しかし、本来は、刑事告発は消費者庁のなすべき仕事ではないのか。1214日には「先物取引被害全国研究会」が消費者庁にジャパンライフへの刑事告発を申し入れているが、消費者庁には、ジャパンライフを刑事告発する義務がある。4回も行政処分をしなければならないこと自体問題があるが、4回処分をしても、今なお、被害が拡大している現状がある。

 消費者庁は同社への立入検査を行っており、刑事告発のための材料をどこよりも入手し、被害事例も弁護団より持っているはずだ。消費者庁自ら現場レベルでの勧誘行為の「故意性」まで認定しておきながら、放置することはできまい。
 
 なぜ、消費者庁は刑事告発をしないのか。消費者庁取引対策課では、「個別事案については捜査の支障になる恐れがあるため、告発をしているかどうかも含め明らかにしない」としか回答しない。

 これまでも5月の東京国際大会など業務停止命令違反の可能性を指摘してきた。遅ればせながら4回目の行政処分は、業務停止命令違反の状態だと消費者庁自ら認めた内容に他ならない。これで告発していないのであれば、あまりに情けない。過去、国の事案に関して刑事告発の事実を公表した例は複数ある。刑事処分にも時間を要する。刑事告発を行うことは当然として、消費者庁が告発したという事実を速やかに公表することが不可欠ではないのか。

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