悪質投資被害の救済に取り組む弁護士らで組織される「先物取引被害全国研究会」(代表幹事、大植伸弁護士)は12月14日、消費者庁に対し、行政処分を繰り返すだけでは被害の拡大を防ぐことができないとして、ジャパンライフ(東京都千代田区)に対し、刑事告発を求める申し入れを行った。「ジャパンライフは消費者庁から行政処分を受けているにもかかわらず、『リース債権販売』と称して営業活動を継続し、現在も日々被害者が増大している。到底放置することはできず、刑事告発が必要」と指摘している。
行政処分では被害止められず
破綻まで被害顕在化しにくい
この時点で、消費者庁は同社に対し3回の業務停止命令を出しているが、違反認定をした預託法の故意による事実不告知や書面交付義務違反、特定商取引法の故意による事実不告知などには、刑事罰が直接規定されている。また、行政処分に従わなかった場合も刑事罰が規定されている。
先物研では、刑事訴訟法239条2項は「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない」と定めており、消費者庁は告発する義務を負っていると指摘。
刑事告発が必要な理由に、①ジャパンライフに対しては、行政処分を行っても効果がないこと②被害が顕在化しにくいこと③現在も被害が続いている―の3つを挙げている。
①
訪問販売、預託取引、連鎖販売の業務停止命令期間中の2016年5月16日に、都内のホテルで約1000人を集めこれまでと同様の勧誘を行っていたことが国会審議で明らかにされ、消費者庁も「訪問販売に入り得る該当する」と答弁している。ジャパンライフに対しては、業務停止命令等の行政処分は効果がないことが明らかというべき
②
ジャパンライフは、顧客を拡大することで既存の顧客に対し、経済上の利益供与を継続する商法を取っているため、破綻するまで被害が顕在化しにくい。弁護士が介入し、代金の返還を求めると、守秘義務条項を付けて和解(返金)に応じることから、大きな問題になりにくい
③
行政処分を受けても、同社はホームページで違反認定事実を否定し、業務改善の姿勢が全く見られない。今年11月14日付の広告チラシでは、11月1日から「リース債権販売」を開始したとするなど、行政処分を巧みにかわすような方法で営業活動の継続を図っている―としている。
12月15日には、消費者庁は同社への4回目の行政処分を行い、預託取引と連鎖販売取引に再度1年の業務停止命令を出したが、「リース債権販売」は、継続して営業されている現状がある。
預託法違反では、安愚楽牧場の元社長が懲役2年6カ月、経理や顧客管理などを補佐していた元役員が懲役2年の実刑判決を受けている(2014年10月16日東京高裁判決)。ジャパンライフと同様に、現物まがい商法で、預託法の故意による事実不告知が認められて処罰された事案であることも紹介している。
この申し入れに対し、消費者庁取引対策課は、「個別事案については捜査の支障になる恐れがあるため、刑事告発をしているかどうかも含め明らかにしない」とコメントしている。
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