消費者に代わって、内閣総理大臣が認定した消費者団体が、消費者被害を回復するための損害賠償訴訟を起こすことができるようにする法案が、今国会に提出されたことをどれくらいの人が知っているだろうか。
「消費者被害集団回復特例法案」。法案提出期限ぎりぎりの4月19日に閣議決定され、同日、法案が国会審議の場にようやく出た。
09年9月に誕生した消費者庁に課せられた最大の宿題といえる。
07年に消費者団体が消費者に代わって訴訟ができる「消費者団体訴訟制度」がスタートしたが、現在、認められているのは、うそつき表示や悪質な勧誘、契約約款の不当な条項などを、消費者に代わって差し止める訴訟のみだ。
この制度の創設を決めた国会で、損害賠償などを請求できる訴訟についても、検討することが宿題として法律案の付帯決議に盛り込まれた。
09年に消費者庁創設を決めた国会では、消費者庁および消費者委員会設置法付則6項に、施行後3年を目途に、消費者に被害を生じさせた者の不当な収益をはく奪し、被害者を救済するための制度を検討し、必要な措置を講じることが盛り込まれた。
消費者庁が11年1月に実施した「消費生活ウォッチャー調査」では、消費者被害にあった時に、訴訟をした人はわずか0・8%にすぎなかった。
裁判を起こすには、費用をはじめ、時間的、精神的な負担が大きい。訴訟をした人の被害額はすべて100万円を超えている。11年度に全国の消費生活センターに寄せられた消費生活相談のうち、実際に払った金額は10万円未満がほぼ半数。4分の3が50万円未満。ただし、その総額は約2700億円に上る。
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