2013年6月9日日曜日

食品表示法案 31日衆院通過、見直し規定の5年を3年に短縮、付帯決議11項目

食品表示法案は、31日に予定通り全会一致で可決され、審議の場は参院に移った。

参院の頭出しの日程が当初見込みより遅れている。


修正点は、見直しの年限を施行後5年から3年とした点。

このほか、食品表示基準の表示事項、措置命令ができる内容にアレルゲンを追加しているが、
アレルギー表示はもともと対象。

規定の仕方が難しく、その他で読んでいた。

自民党と公明党が議員立法で今国会に提出している「アレルギー疾患対策基本法」(過去2回提出されたが成立していない)で「アレルゲン」という言葉を規定しており、これを持ってきた。

アレルゲン=食物アレルギーの原因となる物質をいう

と規定している。

(食品衛生法では、特定原材料、特定原材料に準ずるものと規定されている。義務表示は特定原材料のみで、別表で示されるなど分かりにくい)

国会審議の中で、アレルギー表示の重要性が指摘されたことも付記しておく。

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食品衛生法、JAS法、健康増進法の食品表示部分を1本の法律にまとめる

すでに任意で表示されている栄養成分表示の義務化が目玉といえば目玉と書いたが・・・、完全実施は7年後


国会審議の中から一部引用しておく

郡和子氏(民主党、前内閣府政務官)

・本法案で義務化される範囲は、現行制度で任意で表示されている栄養成分表示。
今や手にする加工食品等ほとんどに、エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウムの5成分が表示され、行政お対応の遅れを事業者が自主的に補っている状態。


永岡桂子氏(自民党、自民党消費者問題調査会事務局長)

・栄養表示の義務化、7年後をめどというのは長すぎるのではないか

答弁=円滑に進めるためには環境整備が必要。施行までの2年以内に義務化の範囲、、対象成分等々を決める。そのうえで5年間かけて、具体的に全事業者のどういったものが例外になるか、事業者が円滑に表示できるようデータベースを構築、ガイドラインをつくる、普及啓発をする等、プラス5年はそういう意味(⇒よくわからんな)

大西健介氏(民主党)

・食品関係者は99%が中小零細企業。事業者への一定の配慮が必要。食品表示法改正にともなうコスト増に、どういう支援ができるか

答弁=栄養成分分析の費用負担、中小企業平均で年間約200万円。包材の変更に伴う費用負担約400万円。かなり大きな負担になると認識している。

新たに次を導入する場合は、中小企業投資促進税制がある。160万円以上の機械・装置を導入する場合、取得価額の30パーセントの特別償却、あるいは7%の税額控除を受けることが可能。

日本政策金融公庫の貸付制度もある。限度額が4800万円。設備資金にも利用可能で、利率について基準金利1・95%。こういった支援策を通じて対応していただけるよう支援したい。

法律には中小企業への配慮が明記されてはいる。

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オマケ※ 注目の質問
大西氏は、回転ずしの代用魚の問題を取り上げている。

ウガンダのナイルパーチという巨大淡水魚がタイとして出されているケースがあると言われている。

焼肉ロース表示問題を取り上げ、これを取り上げないのは不均衡ではないか
と指摘した。



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加工食品の原産地表示、中食・外食へのアレルギー表示、食品添加物、遺伝子杭換え表示など
検討することとされはしたが、課題はすべて先送り。

この法案は成立後が勝負になる。すべてこれから・・・

付帯決議に、検討の機関を作ってきちんとスケジュールを決めること、委員の人選を公平・中立で均衡が取れた委員構成にすること、執行体制を充実強化すること などが盛り込まれた。

事業者サイドに立った発言をする委員が多かったという指摘があったことを踏まえた内容となっている。

執行体制をどう確保するかも、国会では問題とされた。これまで通り所管している各省庁に頑張っていただくしかない。

消費者庁は、地方支分部局を持たない。地方消費者行政を担う自治体の体制が強化されていないのが最大の課題(またこれは後程。ここがこの4年間、もっとも国会の意思が尊重されなかった部分だと私は受け止めている)。


以下付帯決議11項目は以下

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【衆議院 食品表示法案に対する付帯決議】

 政府は、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

一、     義務化に伴う栄養表示基準の見直しをはじめ、加工食品の原料原産地の在り方、中食・外食へのアレルギー表示の在り方、食品添加物表示の在り方など表示基準の見直しは、本法成立後速やかにその検討のための機関を設置するなど、本法の目的及び基本理念を踏まえ、可能な限り、検討内容及びスケジュールを具体的に示したうえで速やかに着手するとともに、その実施期間等を消費者基本計画に明記すること。

二、     一の検討機関の委員の人選に当たっては、表示基準の見直しを幅広く消費者や事業者の理解を得ながら進めていくという観点から、広く各層の声を反映できるよう、公平・中立で均衡のとれた委員構成とすること。

三、     食品表示基準の策定に当たっては、消費者の表示利活用の実態、食品の製造・流通の実態等を十分に調査し、消費者、事業者双方にとってわかりやすい表示、表示の実行可能性、国際基準との整合性を十分に踏まえること。

四、     消費者への食品の安全性に係る科学的情報が適時適切に提供されること。また、提供された情報の理解の促進のための消費者教育を拡充すること。

五、     虚偽・誇大広告及び消費者を誤認させる不当な表示については、食品衛生法や不当景品類及び不当表示防止法の適切な運用を通じて、監視、取り締まりに努めること。

六、     製造所固有記号制度については、消費者から製造者の所在地等の情報を知りたいという要望もあることから、その情報の提供の在り方について検討すること。

七、     食品表示に関する法律の一元化を実効的なものとするため、執行体制を充実強化すること。少なくとも問い合わせ対応等のワンストップ体制等を早急に実現すること。

八、     食品表示の適正化に係る実施状況を取りまとめ、定期的に年次報告の中で国会に報告すること。

九、     本法に基づく差止請求の実効性を担保するため、適格消費者団体に対して食品表示に関する情報提供その他の支援を行うこと。

十、     食品表示義務の拡大に当たっては、小規模の食品関連事業者に過度な負担とならないよう、小規模の食品関連事業者の実行可能性を担保する支援措置等環境整備を図ること。

十一、環太平洋パートナーシップ協定の交渉に当たっては、遺伝子組み換え食品の表示など、食品表示を含め、消費者の安全・安心に資するため万全を期すこと。


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