消費者庁元課長補佐が天下りしていたジャパンライフが再処分された問題ついて、紀藤正樹・全国安愚楽牧場被害対策弁護団団長に話を聞いた。消費者庁は、破たんした安愚楽牧場からの定期報告を受けずに放置し、被害を拡大させたとして国家賠償訴訟を提起されているにもかかわらず、ジャパンライフの立入検査から1年半も、“現物まがい商法”だった実態を公表せず、放置するというのは論外。消費者の目線に立っていない消費者庁の本質をよく表していると指摘している。預託法上の領域で、処分を甘くして放置すると、返って被害が大きくなる特徴があるとも警鐘を鳴らしている。消費者庁に今、一度問う。今なお、新たな被害者のお金で、レンタルオーナーへの支払いが続いているという状況はないのか。
第2の安愚楽になりかねない
紀藤正樹・全国安愚楽牧場被害対策弁護団団長の話
安愚楽牧場からの定期報告を受け付けず放置した問題で、消費者庁の審議官と取引対策課長は厳重注意を受けた。消費者庁が迅速な処分をしなかったために被害を拡大させ、国家賠償訴訟が提起されている。
にもかかわらず、取引対策課の元課長補佐が天下りをし、立入検査後1年半も放置するという今回の事件は、論外といえる。
そもそも、預託法ができたのは、預託契約が消費者問題になりやすいという背景がある。より慎重に見て、違反があった場合は迅速に処分しなければならない。そのことをいまだに分かっていないのか。この手の預託法違反は犯罪で、告発を視野に、迅速に処分しなければならない事案だ。
今回の事件は、消費者庁の体質をよく表している。消費者庁は本当の意味で、消費者の目線に立っていない。消費者のことを真剣に考えてくれない人が、職員として入っていることを懸念する。
第2の安愚楽になりかねない。消費者庁の不祥事の点でも、被害が拡大している点でも、共通している。預託法上の領域で、処分を甘くして放置すると、お墨付きを得たように動き、かえって被害が大きくなる特徴がある。その間に被害は膨れ上がる。破たんした場合、国家賠償訴訟になりかねない。
(日本消費経済新聞3月25日号から)
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安愚楽牧場の国賠訴訟から、何を学んだのか
そもそも預託法は、豊田商事事件を受け、金を売ったことにして紙切れ1枚を置いていくという現物まがい商法を規制するために、1986年に制定された。
1997年には、和牛預託商法の被害が多発し「人が飼育する哺乳類」を規制対象に追加したにもかかわらず、2011年8月には、安愚楽牧場が破たん。約7万3000人、約4200億円という戦後最大の消費者被害を発生させた。
2009年1月に農水省が安愚楽牧場の立入検査をし、定期的に報告をするよう指示していたが、2009年9月に創設された消費者庁に預託法が移管され、2010年7月に安愚楽牧場側から消費者庁取引対策課長宛てに定期報告の連絡を受けたにもかかわらず、消費者庁はこれを放置。被害を拡大させたとして国家賠償訴訟が提起された。
2009年3月時点での安愚楽牧場への出資者は約4万8000人、出資額は約2900億円だったが、1年半で約7万3000人(←修正しました)、約4200億円に膨れ上がっていた。「農水省が、ふるさと牧場に業務停止命令を出した2007年の段階で、和牛商法で残り1社になっていた安愚楽牧場にも処分を行っていれば、その後の2000億円以上の被害は生じなかった」。こう訴えた紀藤正樹・全国安愚楽牧場被害対策弁護団の言葉が、今も耳に残っている。
消費者庁は、国家賠償訴訟まで提起されながら、一体何を学んだのか。
安愚楽牧場の破たんを受け、2013年の7月と9月に同法の政省令を改正し、家庭用治療機器も対象にした時点で、本来はすぐに立入検査を行うべきではなかったのか。
この10年、ジャパンライフへの相談件数は毎年100件程度あり、2010年度以降は150件を超えていた。「高齢者の相談が表面化しない典型例」「契約金額があまりに高額で、この10年心配し続けてきた」「レンタルの実態があるか調査してほしい」―。こんな相談員の声は、消費者庁には届かなかったというのか。
立入検査から1年6カ月 遅すぎる“現物まがい”公表
消費者庁がジャパンライフの立入検査に入ったのは2015年9月10日。この時点で、レンタルオーナーへの支払額とレンタル収入の収支など財務状況はほぼ、把握できたと考えられる。
なぜ、2016年12月16日の1回目の処分を、勧誘目的等不明示(特商法)、概要書面、備え置き書類の記載不備(預託法)にとどめたのか。
2017年3月16日に、ようやく現物まがいであることが明らかにされたが、ベルトやベストなど多数ある商品のうち、違反が認定されたのは、ネックレスタイプの磁気治療器のみ。レンタルされているべき約2万個の商品の現物がないことが明らかにされた。(詳細は消費者庁天下り問題③で)
「相手方事業者の支配管理下にあるもの、先方があると言っているものを、ないと認定するのは難しい」(消費者庁取引対策課長)という点は、一定程度理解はできるが、1年6カ月というのは、あまりに時間がかかり過ぎだ。
今回の処分で、違反認定した事例は2015年5月、同年7月、2016年1月と7月。少なくとも1回目の2016年12月16日の処分時には、十分認定できたはずだ。
「(1回目の処分は)確実な部分であえて3カ月とし、追加的に補強すべく最大限努力をして、何とか最後の日に処分ができた」(同課長)というような言い訳は通用しない。最大限努力したのは、1回目の処分の後ではないのか。
1回目の処分の異常さが指摘され、元同課課長補佐の天下り問題が明らかにされ、民進党が追及を続けていなかったら、この処分が出たかどうかも疑わしい。天下りした元課長補佐が行った行政指導に帳尻を合わせ、隠ぺいしようとしていたものを小出しにしたと言われても仕方あるまい。
処分内容も、軽微な勧誘目的不明示のみで3カ月業務停止命令という前代未聞の前回処分に続き、今回は重要事項不告知のみで9カ月の業務停止命令(特商法)。
1種類の違反で9カ月の業務停止が出るというのも、また前代未聞。処分平等原則から逸脱している点でも、場当たり的な対応を物語っている。
消費者庁は、新たな消費者被害の拡大を防止するという使命より、自らの保身を優先させたというのか。
天下り問題で、消費者被害拡大か
消費者庁天下り問題②で、天下りを要求した元課長補佐が担当した同社への指導(2014年9月と10月)は、見返り目的で本来行政処分すべき事案を指導で済ませた疑いが濃厚になったと指摘した。さらに、2015年9月の立入検査で天下りが発覚した後、消費者庁がその事実を組織的に隠ぺいしようとし、1回目の処分を遅らせた疑念も大きくなったと書いた。
今回の処分で、2014年度の短期レンタルオーナー契約額だけでも287億7000万円あることも明らかになった。単純計算すると月々約24億円になる。
同日の会見で、レンタルオーナーの数とユーザーの数、月々のオーナーへの支払額、レンタル収入、想定被害額を問う質問に、消費者庁取引対策課は、一切答えなかった。本来、把握していないはずはなく、想定被害額を出していないことなど考えられない。分かっていても答えられないのではないかと、逆に疑いたくなる。
元課長補佐の天下り問題が、消費者被害を拡大させた可能性はますます大きくなった。
国会審議で、その真相の究明を求めたい。
国会審議で、その真相の究明を求めたい。
今一度 消費者庁に問う
新たな被害者のお金で、レンタル―オーナーへの支払されていないのか
今一度、消費者庁に問う。
安愚楽牧場のときのように、新規契約者を勧誘しなければ、牛の預託者への配当金をまかなえないような状況が続いているということはないのか。その場合は、次の被害者のお金でレンタルオーナーへの支払いが行われていることになる。
もし、その事実を立入検査直後に把握し、分かっていて処分を遅らせたということになれば、消費者庁は新たな被害を放置したことになる。
豊田商事事件のときに、個別の被害救済を優先させ、甚大な被害を拡大させたという苦い経験もある。破たんの恐れが明確になっている場合は、破たんの引き金を引いたと言われようが、断固として迅速な処分をし、相応の周知をしなければならない。
今回の行政処分は、悪質性や被害の規模感が伝わらないあいまいな会見で、全国紙の扱いも小さく、テレビはほとんど放送しなかった。十分な周知が図られたとは言いがたい。
消費者庁よ。何度でも問う。
新たな被害者のお金でレンタルオーナーへの支払いをしている実態はないのか。
1回目の処分後も、預託取引や訪問販売、連鎖販売が継続されていると会見で報告していたが、今なお、新たな被害を放置しているということはないのか。
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全国安愚楽牧場被害対策弁護団のHPから
過去の大規模消費者被害
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全国安愚楽牧場被害対策弁護団のHPから
過去の大規模消費者被害
1985年 投資ジャーナル 580億 7800人
1987年 豊田商事 2000億 30000人
1992年 茨城CC 1200億 50000人
1997年 経済革命倶楽部 350億 12000人
1998年 ココ山岡宝飾店 420億 12000人
2000年 法の華三法行 950億 22000人
2001年 大和都市管財 1100億 17000人
2002年 八葉グループ 1559億 49000人
2002年 ジーオーグループ 300億 33000人
2007年 近未来通信 400億 3000人
2007年 平成電電 490億 19000人
2007年 リッチランド 540億 13000人
2008年 ワールド・オーシャン・ファーム 849億 35000人
2009年 L&G(円天) 1260億 37000人
2010年 岡本クラブ 258億 7800人
2011年8月 安愚楽牧場 4300億73000人
2013年4月 MRIインターナショナル 1300億円 8700人
はじめまして。
返信削除安愚楽牧場の被害者で「あぐら物語日記」を書いておりますrokoと申します。
この度、こちらの記事を当ブログにて紹介させていただきました。
不都合な点がございましたらお知らせいただけると幸いです。
記事を書いていただき、ありがとうございます。
安愚楽牧場の国賠訴訟から、何を学んだのか!(ジャパンライフ!第2の安愚楽になりかねない)
http://roko1107.blog.fc2.com/blog-entry-3865.html
追伸
> 1年半で約7300人、約4200億円に膨れ上がっていた→1年半で約7万3000人、約4200億円…
roko様
返信削除コメントありがとうございました。。
ご紹介いただき、感謝です。
「あぐら物語日記」拝読させていただきました同じような被害が起こらないよう、被害者にならないよう、被害にあった人の心が少しでも救われることがあれば・・
とブロブを続けられているのですね。
私は87歳の母の世話を毎日し、義母も86歳になるのですが
この案件は、あまりに悪質で、業務停止命令後も被害が拡大し続けていることに
心を痛めています。
つい先日も、業務停止命令を受けた後も訪問販売で数百万円のレンタルオーナー契約をさせているという報告が寄せられました。
銀行に預けるよりいいと定期預金を解約させたり、保険を解約させてレンタルオーナー契約をさせている
投資と勧誘している事例も把握できましたが
なぜ、消費者庁は2015年9月の立入検査から1年半をかけ
磁器ネックレス1種類だけについて、レンタルすべき2万個の商品がなかったことなどしか違反を認定しないのか。
悪質事案の認定をなぜしないのか。
なぜ、テレビが、長官談話まで出た業務停止命令を放送しないのか
疑問でしかありません。
破たんすればほとんどお金は戻らず、高齢者の場合は高額な命金を失った場合に
健康被害に直結するため、本当に心配で、胃が痛いです。
約7300人、大変失礼いたしました。即刻、修正いたします。
安愚楽牧場弁護団のHPから、過去の大規模消費者被害の被害額一覧を掲載しておきます。安愚楽は戦後最大規模の被害になってしまいました。
ジャパンライフは自らレンタルオーナーの契約額を690億円と話しており
破たんした場合の想定被害額は、1000億円を超えると見られています。
一説には1400億円という数字もあると、衆議院消費者問題特別委員会で指摘されました。
相川優子さま
返信削除ご丁寧なお返事ありがとうございます。
感激いたしました。
お返事が長くなってしまいますので「あぐら物語日記」の今日の日記に書かせていただきました。
見ていただければ幸いです。
見守ってくれてる人がいると思える幸せ…(*^^)v
http://roko1107.blog.fc2.com/blog-entry-3871.html
私は今年の1月に母を亡くしました。
御身、大切になさって下さいね。
roko1107様
返信削除「あぐら物語日記」拝読いたしました。よくぞ書いてくださいました。
ありがとうございました。
ご指摘の通り、ジャパンライフの勧誘員はとても親切で、1人暮らしのおばあちゃんたちは、「マッサージをしてもらえ、お金もふやしてもらえ、こんないい人たちに巡り合って、よかった」と、感じているそうです。
だから、ご家族や身近な方が気づいてくださらないと相談にも上らない。「高齢者の相談が表面化しない典型例」と、消費生活相談員は口をそろえます。
業務停止命令が出されたことをテレビがほとんど放送していないので、おばあちゃんたち自身に伝わっていないのも、とても問題です。70歳代、80歳代のおばあちゃんたちは、ネットで検索はしません。
「あぐら物語日記」を読んでくださった方が、親元に電話をして近況をたずねていただきたいと切に願います。
「どうぞ、電話ででも…近況をたずねてみてください
連絡くれたことだけで嬉しいものなんです
(自分からは同じことしかしゃべらないかもしれませんが…)
『昨日は誰か家に来た?』とか『最近で銀行にはいつ行った』とか、具体的に答えられる質問がいいんじゃないかしら
答えから質問を広げていけばいいかも^^」(あぐら物語日記より)
時々仕事にひどく疲れます。これは通常、週末の近くに発生します。私は自分の仕事が大好きですが、時々仕事の瞬間について考えるのをやめて、ゆっくり休む必要があります。こういう時は、オンラインテーブルゲームをします。ボーナスとして、私はお金を稼ぐこともできます。もちろん、それは朗報です。
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