2017年9月16日土曜日

消費者庁天下り問題⑫ ジャパンライフ 339億円の赤字(債務超過)

 ジャパンライフの純資産額は、平成27年度末で約266億円の赤字、平成28年度末では約339億円の赤字-。こんな通知が顧客に届いていたことが分かった。消費者庁が316日、2度目の業務停止命令を出したジャパンライフに対し、「公認会計士による外部監査を受け、その結果を顧客に通知する」よう措置命令を出してから半年。ようやく、適正と思われる財務データが投資家に届けられた。「何カ月も粘り強く指導し、ようやく通知を出せた」と消費者庁長官は説明した。投資家に気づいてもらうしかないということだろうが、新たな勧誘が行われており、この事実を、顧客だけでなく、広く一般消費者にも伝えてほしい。

顧客に届いた通知文の主な内容は以下

    平成27年度末時点での純資産額(会社の資産から負債を引いた金額)
266億円の赤字(債務超過)

平成28年度末時点での純資産額(会社の資産から負債を引いた金額)
   約339億円の赤字(債務超過)

    平成27年度末時点で顧客から預かっている商品の総額
(預託等取引契約の契約価額で、債務の額。負債科目に「預かり特定商品」または「長期預かり特定商品」として計上すべき額)
    約1688億円
   ⇒平成27年度決算時点で、会社が将来支払う義務がある預託等取引契約の負債額(例えば、契約を解除した場合の返金額など)が約1688億円になる
  
    平成28年度末時点で顧客から預かっている商品の総額
(預託等取引契約の契約価額で、債務の額。負債科目に「預かり特定商品」または「長期預かり特定商品」として計上すべき額)
    約1843億円
   ⇒平成28年度決算時点で、会社が将来支払う義務がある預託等取引契約の負債額(例えば、契約を解除した場合の返金額など)が約1843億円になる

「会社の計算書類全体の修正は、なお時間を要する見込みで、完了時期は早くても平成316月末となる予定。当面の措置として、決算整理仕分けのうち、根拠を示すことができない仕訳を取り消し、公認会計士の確認を受けた」と説明している。

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 8月28日付で、ジャパンライフから顧客におくられた文書(9月6日入手)を添付しておく。

 6月に顧客に送られた文書は「意見不表明」だった。

 『上場企業であれば上場を廃止されるほど信用できない監査内容』ということだが、何の説明もなく、分かりにくかった。しかも、具体的な財務状況は何ら分からなかった。

 その点からすれば、今回の文章は、大きな字で、分かりやすく説明されてはいる。

 消費者庁取引対策課は、「ほかにも何通か文章が送られているが、大きな字で分かりやすい文章にするために時間がかかった」と説明している。

「顧客に正確な情報を提供し、正当な権利行使ができるよう指導してきた。誰よりも先に顧客が知ってしかるべき情報。財務データを認識していただき、それを踏まえて、消費者としてしかるべき権利を行使してほしい」と、話している。

消費者庁は、ジャパンライフ社に対し、昨年12月16日に3カ月の一部業務停止命令を

本年316日には、引き続き9カ月の業務停止命令を出している。

ただし、業務停止命令が出ているのは、訪問販売、預託取引、連鎖販売(マルチ)取引のみ。店舗販売は可能で、同様の取引を業務提供誘引販売取引として勧誘した事例も把握できている。

本来なら、消費者庁は粉飾決算を自ら認定すべきだった。

公認会計士等による外部監査結果の通知を求めた措置命令から半年経ってようやく、純資産額の債務超過が300億円を超え、解約をされた場合の返金額(一部商品を返還するとされている契約も含む)が1800億円を超えることが明らかにされた。
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アクセス数が急増しているため
以下詳細情報追加します。

9月13日付で消費者庁取引対策課が各都道府県、各市町村消費生活センター宛てに出した文書を追加しておく。

9月11日付でジャパンライフが顧客に送付した文書(9月14日入手)では、平成28年度末時点での純資産額が約338億円の赤字と、数字を切り捨てて報告しているが、

13日付の消費者庁取引対策課の文書は▲339億円としている。

正確な数字は338億7674万9000円

 
根拠となる数字は、顧客に送付された「宮坂杉雄公認会計事務所公認会計士からジャパンライフ社取締役会宛ての報告書に示されている。
 
正式名称は「独立業務実施者の合意された手続実施結果報告書」
平成19年3月期から平成29 年3月期に係る決算整理仕訳のうち、仕訳の根拠を示すこ とができない仕訳を取り消したことを報告し

その結果、平成29 年3月期に係る純資産合計額が▲33,876, 749 千円となることを確認したと報告している。正式な数字は338億7674万9000円ということになる。

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さらに、顧客には預託法に基づく「閲覧に供する書類」として、
「月次保有状況表」が送付されている。その内容を分析すると以下になる。
 消費者庁が指導に入ったとみられるが、10日でかなり数が変わっている。

7月31日作成分
 平成28年8月末 預託契約残高 13万1364個  1835億3564万2000円
         実際の預託数 5万5534個   648億7897万4000円
         在庫      ー         ー

 8月10日作成分 
 平成28年8月末 預託契約残高 13万1364個  1835億3564万2000円
         実際の預託数 3万261個    366億7927万円
         在庫      ー         ー 


 7月31日作成分
 平成29年3月末 預託契約残高 13万4227個  1843億3855万4000円
         実際の預託数  6万8075個   721億0794万1000円
         在庫      ー         ー
 8月10日作成分 
 平成29年3月末 預託契約残高 13万4227個  1843億3855万4000円
         実際の預託数 4万2613個    428億6848万4000円
         在庫      ー         ー 

 8月10日作成分  
 平成29年7月末 預託契約残高 13万2964個  1714億7035万4000円 (←お詫び、修正)
         実際の預託数 2万6559個    100億7725万3000円
         在庫      ー         ー 

預託者数 平成29年3月末時点 7130人
     平成29年7月末時点 6855人

この数字、どの程度信頼性があるかは不明だが、
この資料からしても、レンタルオーナー契約をしている数に比較して、実際にレンタルされている電磁治療器の数は、大幅に不足していたことになる。

安愚楽牧場の破綻を受け、預託法の政省令を改正して預託数を書かせることとしたが、工業製品の場合、実際に商品があるかどうか確認するのが困難だ。レンタルユーザーの数を合わせて書かせるように改正しておくべきだったと考えられる。

また、一覧表で記載される内容を、一般の消費者が理解するには難しすぎる法律用語が使われ、高齢な投資家がどこまで把握できるのか疑問だ。

当時、取引対策課に解説してもらったので、紹介しておく。
預託法施行規則 様式第9「月次保有状況表」
(抜粋)
A  預託等取引契約の目的となつている特定商品及び施設利用権(預託等取引
契約が締結されている特定商品及び施設利用権)に係る、次のa及びbの事

a  預託等取引業者が預託を受けている特定商品及び管理している施設利用
権の契約残高
b  預託等取引業者が預託を受けている特定商品及び管理している施設利用
権の実地たな卸
B  預託等取引業者が保有する預託等取引契約の目的となつていない特定商品
及び施設利用権(すなわち、預託等取引契約の対象資産となる在庫)の実地
たな卸
C  預託等取引業者が保有する預託等取引契約の目的となつている特定商品及
び施設利用権(Ab)並びに預託等取引業者が保有する預託等取引契約の対
象資産となる在庫(B)の実地たな卸の合計
           ↓ ↓
Aa 預託の「契約」残高
 Ab 実際の預託を受けていて、実際に調査して明らかにされた在庫
 B 今は預託を受けていないが、(将来の)預託契約の対象となる在庫(いわゆる手元の在庫)
  となると考えられ これに基づいて上記に示した。


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以下 日本消費経済新聞9月25日号


ジャパンライフ 339億円の赤字
措置命令から半年、ようやく顧客に通知

消費者庁から1年間の一部業務停止命令を受けた「ジャパンライフ」の純資産額は、2015年度末で約266億円の赤字、2016年度末では約339億円の赤字-。こんな通知が、同社から顧客に送られていたことが913日、明らかになった。消費者庁が2度目の業務停止命令と同時に、公認会計士等による外部監査を受け、その結果を顧客に通知するよう措置命令を出してから半年。ようやく修正された財務データが投資家に届けられた。岡村和美消費者庁長官は、「強力に同社に働きかけ、ようやく顧客に伝えるところまで来た。行政庁としては、同社の通知の範囲で事実関係を明らかにすることしかできないが、この事実を日本中に届けてほしい」と述べた。同社への相談の最高契約額は5億円。平均契約額は約2350万円とあまりに高額だ。契約者の8割が70歳以上で、友人や知人などから紹介され、もうかっていると洗脳状態にあるケースが少なくない。自分の資産が本当に増えて手元にあるのか、これまでの契約を振り返り、勇気を出して消費生活センターや、弁護士に相談をしてほしい。(相川優子)

勇気を出して相談を
預かり商品の負債額 1843億円
 
 顧客に送付された通知文には、ジャパンライフ社の純資産額(会社の資産から負債を引いた金額)は、2015年度末で約266億円の赤字、2016年度末では約339億円の赤字(債務超過)であることが記載されている。
顧客から預かっている商品の総額は、2015年度末で約1688億円、2016年度末で約1843億円に上ることも記載されている。
岡村消費者庁長官は、この額について「預託等の取引契約の契約価額で、債務の額」と説明した。顧客に送られた通知文では、「負債科目に『預かり特定商品』または『長期預かり特定商品』として計上すべき額」「会社が将来支払う義務がある預託等取引契約の負債額(例えば、契約を解除した場合の返金額など)」などとも、説明されている。
529日付でジャパンライフから顧客に送付された通知は「意見不表明」とされていた。 「上場企業であれば上場を廃止されるほど信用できない監査内容」ということだが、何の説明もなく、分かりにくかった。しかも、具体的な財務状況は何ら分からなかった。
この点からすれば、文字も大きく、分かりやすく記載されている。

通知の範囲内で公表
「債務超過認めて通知」

ただし、巨額の債務超過であることは分かるが、なぜ経営が続いているのか。ジャパンライフのレンタルオーナーへの支払額と、レンタル収入の収支はどうなっていたのか。ビジネスとして成り立っていたのかなどは、いまだに明らかにされていない。
これらを問う質問に、岡村消費者庁長官は「会社も行動をとったので通知に入っている範囲内で公表できるが、事業者と契約当事者と関係があるので、行政庁として許される発表の範囲に限度がある」とし、回答していない。
ジャパンライフから顧客に届いた通知文には、「会社の計算書類全体の修正は、なお時間を要する見込みで、完了時期は早くても平成316月末となる予定。当面の措置として、決算整理仕分けのうち、根拠を示すことができない仕訳を取り消し、公認会計士の確認を受けた」とも説明されている。
では、「詳細な財務データは、31年度まで待つのか」。この質問に対し、岡村消費者庁長官は「そうではない。少しでも早くより正確なものを出すよう何度も指導し、今日に至っている。先に延ばそうとしていること自体に問題がある。ビジネスとして成立しているかどうか。債務超過であることを認めて通知している」と、ぎりぎりの説明をしている。

取引対策課、各地センターに
正確な情報提供要望

消費者庁取引対策課は、913日付で、各地の消費生活センターに対し、正確な情報提供を求める文書を出している。
「消費者庁の指導を受けて、同社が、過去の根拠を示すことができない会計処理を取り消し公認会計士の確認を受けた結果、ジャパンライフ社の純資産額が2015年度末で約266億円の赤字、2016年度末では約339億円の赤字(債務超過)になった。同社から顧客に通知されている」と報告している。
この結果は、「会社全体の純資産額について公認会計士が会計監査と同様の手順で意見を表明して保証したものではない」とのただし書きを付けながらも、この通知を受けて、多数の問い合わせが寄せられることが予想されるとして、消費者から相談があれば「消費者に正確な情報提供を行うとともに、助言・あっせん機能を積極的かつ適切に果たす」ことを求めている。
消費者庁取引対策課によると、「顧客に正確な情報を提供し、正当な権利行使ができるよう粘り強く指導してきた」という。「ほかにも何通か文章が送られているが、大きな字で分かりやすい文章にするために時間がかかった」と説明した。「誰よりも先に顧客が知ってしかるべき情報。財務データを認識していただき、それを踏まえて、消費者としてしかるべき権利を行使してほしい」と、話している。

ジャパンライフの相談本年度123
平均契約金額2350万円と高額
 全国の消費生活センターなどに寄せられるジャパンライフへの相談件数は、2016年度は170件。2017年度は、920日時点で、413件、526件、652件、716件、815件、91件という状況だ。6月は、ジャパンライフから「意見不表明」の通知が届いたことで増えたと見られる。相談内容が入力されるまでに2週間程度かかるが、マインドコントロールされていると見られる高齢で、高額な契約者に、この通知の内容の重大性が十分に理解されているのか疑問が残る。
 平均契約金額は2016年度が約2250万円。2017年度は約2350万円(920日時点)。
最高契約額は5億円で、同社が5月に実施した2017東京国際大会では2億円以上の契約者が24人になったと報告していた。契約額があまりに高額だ。339億円の赤字という現実を、受け止め切れない状況があるように見える。

過去の複数契約振り返り相談を
資産本当に増えて手元にあるのか

「お金を預けるともうかる」「利子で暮らせばいいよ」などと、友人や知人に誘われ、生命保険を解約したり、農協の定期預金を解約して、老後の命金をつぎ込んでいる人が少なくない。高額な契約者が多く、毎月入ってくるレンタル料あるいは月額活動費で、複数の契約を重ねている。毎月一定の収入が入ってくるが、それは預けたお金が手元にきているだけではないのか。本当に自分の資産が増えて、手元にあるのか。気づいたら手元に残っているのは磁気治療器だけということになっていないのか。消費生活センターや弁護士が間に入ると解約には応じているが、億を超える契約だけでなく、1000万円超の契約でも、分割払いで対応されている。
これまでの契約を、冷静に振り返って、勇気を出して、身近な消費生活センターや弁護士に相談をしてほしい。自分の母親が親せきや近所の人を誘って、加害者になることを心配する声も寄せられている。
80歳以上の高齢者の相談が4割を占める。高齢者の相談が埋もれる典型例で、家族や周りの人からの相談が多いのも特徴だ。高齢者の身近かにいる人の見守りにも期待したい。

違反認定の甘さ影響
悪質性伝えられたのか

消費者庁の初動の遅れと違反認定の甘さ、公表のまずさがは、いまだに大きく影響しているのは否めない。消費者庁長官が会見で質問に答え、この事実を明らかにしても、全国紙もテレビもどこも報道していない。「これまで書いていないので、書きにくい」と、ある記者はこう話した。当初から悪質性が十分に伝えられたとは言い難い。
外部監査を命じるのではなく、消費者庁自ら粉飾決算を認定すべきだった。預託の本丸は、レンタルされている商品とレンタルしている商品の数が見合い、収支が取れているかどうか。最初からビジネスとして成立しているかどうかを明らかにし、伝えておくべきだった。これらは本来備え付け書面に記載してしかるべき事項で、さらなる政省令改正が求められる。安愚楽牧場の破たんを受けた対応が不十分だったと言える。消費者庁の過去の対応は決して評価できないが、今後、挽回できるかどうかが問われる。
ジャパンライフの勧誘は、今も行われている。同様の取引を業務提供誘引販売取引として勧誘していると見られる。高額契約者の複数契約も進んでいる。措置命令が求めた外部監査報告の提出期限は5月だったが、半年かかってようやく、破たんすれば大きな被害につながる具体的な額が明らかになった。
過去の大規模消費者被害には、安愚楽牧場4300億円、豊田商事2000億円、L&G(円天)1260億円、ワールド・オーシャン・ファーム849億円などがある。安愚楽牧場は国賠訴訟中だが、破たんした場合、投資額はほとんど戻っていない。 

ジャパンライフは、事実確認や相談状況などの取材に対し「お答えすることはできかねる」として、回答していない。

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