2017年5月28日日曜日

今年12月から、1カ月、5万円を超える脱毛・しみしわ取りなどにクーリング・オフ。中途解約も可に

本年121日から、契約期間が1カ月、契約金額が5万円を超える美容医療が、クーリング・オフや中途解約、うその説明があった場合などは契約取り消しの対象になる。脱毛、しみやしわ取り、痩身(そうしん)、歯のホワイトニングは対象だが、豊胸や薄毛治療、歯の矯正などは対象になっていない。美容医療の一部が商取引として規制されることは画期的な第一歩といえるが、相談が多い包茎や、糸を使った顔のリフトアップ手術など1回限りの手術や注射が対象にならないので、知っておきたい。特定商取引法の政省令改正案が公表されているので、少し専門的だが紹介しておくしわとたるみの軽減に、音波や光の照射が入っていないことから、ハイフ(高密度焦点式超音波)機器を用いたリフトアップやレーザーを使ったしわ取りなどが対象から外れる懸念がある。5月28日まで意見募集が行われている。

【追記】

特定商取引法施行令の改正政令案が627日、閣議決定された。意見募集案からの修正は1カ所。美容医療の契約解除に併せて契約を解除することができる「関連商品」に、歯の漂白剤が追加された。改正特商法の施行期日を定める政令案も同日閣議決定され、改正特商法、改正政令は今年121日から施行される。

54件の意見

個人36人、13団体・法人などから54件の意見が寄せられた。「歯のホームホワイトニングに用いられるキットは医療機器に該当するため対象にならないのではないか。キットの中心をなす漂白に用いられる薬剤も明確に規定してほしい」との意見を踏まえ、「歯牙の漂白剤」を追加した

本紙では、高密度焦点式超音波機器 (ハイフ)を用いたリフトアップや、レーザーを用いたしわ取りなどが対象から外れる懸念があると指摘したが、修正はされていない

消費者庁は、「しわ、たるみ取りと言いつつも、実際はその被害の実態として皮膚の活性化に使われている場合は、当然対象になり得る。その治療実態をよく見て考えていく」と説明している。柔軟に追加しやすい省令で規定した点は評価でき、すき間に落ちる事例が多発する場合は、迅速な対応が求められる。

寄せられた意見の中には、「省令で定める方法に限定せず、美容を目的とするもの全般を規制対象とすべき」「1カ月を超えない契約であっても、被害の発生状況を把握し適切な規律がされるよう求める」などがあった。これに対し、消費者庁は「消費者委員会特商法専門調査会報告書に基づき、政令案を規定した」「特定継続的役務提供は、『政令で定める期間を超える期間にわたり提供する』ものとされ、消費者委員会特商法専門調査会の議論も踏まえ、期間を『1カ月』と規定した」と回答している。

1カ月、5万円を超える美容医療 特商法の規制対象に 施行は本年12月1日から
脱毛、にきび・しみ・そばかす、しわやたるみ、痩身、歯の漂白

 訪問販売などを規制する特定商取引法の「特定継続的役務」に、1カ月、5万円を超える美容医療を追加する。
 役務とは、サービスのこと。これまでは、①エステティック(1カ月、5万円を超えるもの)②語学教室(2カ月、5万円を超えるもの)③家庭教師(同)④学習塾(同)⑤パソコン教室(同)⑥結婚相手紹介サービス(同)これまでは、エステティックサロン、語学教室、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介サービスの-6つが規制されていた。

 今回、追加する1カ月、5万円を超える美容医療は、①脱毛②にきび、しみ、そばかす、ほくろ、入れ墨などの除去や皮膚の活性化③しわやたるみ軽減④脂肪の減少⑤歯の漂白囲み参照)-を対象にすることが規定された。

クーリング・オフ 中途解約可
契約取り消し、契約書面交付義務

 特定継続的役務提供の対象になった美容医療は、契約書面を受け取った日から8日間以内であれば、書面によりクーリング・オフができる。クーリング・オフ期間を過ぎても、理由にかかわらず中途解約ができる。契約取り消し(不実告知や重要事項不告知があった場合)が可能になるほか、誇大広告などが禁止される。契約内容の概要を記載した概要書面や契約書面の交付も義務付けられる。

 ただし、省令で定められた方法に限定されているので、詳細を見ておこう。

【施行令(政令)
特定継続役務提供に以下を追加(別表四)
人の皮膚を清潔にしもしくは美化し、体型を整え、体重を減じ、または歯牙を漂泊するための医学的処置、手術およびその他の治療を行うこと(美容を目的とするものであって、主務省令で定める方法によるものに限る)
 【施行規則(省令)
一 脱毛 光の照射または針を通じて電気を流すことによる方法
二 にきび、しみ、そばかす、ほくろ、入れ墨その他の皮膚に付着しているものの除去または皮膚の活性化 光もしくは音波の照射、薬剤、医薬品もしくは医薬部外品(第三号から第五号までにおいて「薬剤等」という)の使用または機器を用いた刺激による方法
三 皮膚のしわまたはたるみの症状の軽減 薬剤等の使用または糸の挿入による方法
四 脂肪の減少 光もしくは音波の照射、薬剤等の使用または機器を用いた刺激による方法
五 歯牙の漂白 薬剤等の塗布による方法


脱毛はレーザーも対象
歯の表面加工も対象

脱毛は、光の照射と針を刺して電気を流す方法の2つが定められた。
医療機関で実施される脱毛には、①レーザー脱毛②光脱毛③電気脱毛の3つがあるが、レーザーは波長が短い光線で、光の照射として対象になる。

歯の漂白は、薬剤を塗る方法のみが規定された。歯のホワイトニングには、薬剤を塗る方式と表面加工があるが、表面加工も、「歯の表面を削った後に薬剤を塗るため、対象になる」と消費者庁取引対策課は説明している。

高密度超音波使うリフトアップ
レーザーによるしわ取り不明確

しみ、そばかすなどの除去と皮膚の活性化、痩身は、光と音波の照射、薬剤による方法が規定されているが、しわやたるみ軽減は、薬剤と糸の挿入による方法に限定されている。

このため、ハイフ(高密度焦点式超音波)機器を使ったリフトアップや、レーザーを用いたしわ取りなどが対象から外れる懸念がある。

ハイフ(HIFU)とは、超音波を体内の特定部位に集束させることで加熱し、熱変性を生じさせる技術。美容医療の分野では、脂肪細胞に熱損傷を与えて人体のラインを整えるほか、顔の内側の細胞に熱損傷を加え、傷が治るときに組織を硬縮化させることで、顔を引き上げる効果があるとされている。痩身は、新しい技術が登場していることから、今後リフトアップに用いられることが多くなると見られる。

国民生活センターによると、今年2月、東海地方に住む40代の女性は、ほほとフェイスラインへのハイフによるリフトアップを希望して美容医療クリニックに出向いたところ、キャンペーン価格と言われ10万円で顔全体の施術を契約した。頭が痛くなり、顔の左側に水ぶくれのような症状が出たことで、痕が残るのではないかと相談している。

昨年12月、近畿地方の70歳代の女性は、安価なしわ取りの広告を見てエステサロンに出かけたところ、「近隣の美容クリニックで、レーザーで顔のしわが取れる」と勧められた。美容クリニックで、2回分を約60万円で契約し、銀行のカードで支払った。1回目の施術の後で、「モニター価格で半額になっているため、施術前と後の写真をホームページに掲載する」と言われ、相談している。

これらの事案が、皮膚の活性化や皮膚に付着しているものの除去で対象にできるのかという問題がある。拡大解釈とされる懸念もあり、現時点で発生しているトラブルにはきちんと対応できるよう、光や音波の照射によるしわやたるみの軽減も省令で規定しておくべきだろう。

脂肪溶解注射
複数回でも1回契約
脂肪溶解注射は、12980円など少量の価格で広告されているが、実際の契約額は高額で、効果がないと相談するケースが少なくない。複数回打っている事例が多いが、1回契約とされた場合にどこまでが対象になるのかという問題もある。
 
 今年2月、40歳代の南関東に住む女性は、「モニターになれば価格も安く、より効果が高い薬剤がある」と言われ、約120万円の契約をした。その日のうちに腹部に1本を打ち、1カ月後に太ももの注射1本を打つ予約して帰ってきた。しかし、腹部への効果はなく、明日は太ももの注射の予約日だが、写真を掲載されるのは不本意で、モニターを断りたいと相談している。

201612月、妊娠出産で太ももが太くなったことが気になっていた20歳代の北関東の女性は、モニターになれば安くなるという広告を見て、美容クリニックの無料カウンセリングに行った。「自分の力では絶対に細くならない。モニター価格ならば約80万円」と脂肪溶解注射を勧められた。高いと断わると約60万円のコースもあると言われた。帰りたいと伝えたところ、院長という医師が出てきて、「あなたは太ももが太い、注射をしなければだめだ」と言われ結局、約90万円の契約をさせられた。「今日は受けたくないので帰らせてほしい」と3回主張したが即日注射を打たれ、1回で約90万円と説明された。打った後で「あなたの場合は4回注射が必要で、薬を飲んだり、夕食をダイエット食にする必要もある」と説明されたが、受け入れられないと相談している。

前者の場合は明らかに対象だが、後者の場合、対象となるのか。実態に即した運用をすると消費者庁は説明しているが、このような悪質なケースが広く対象にできる運用を明確化することが求められる。

豊胸、薄毛、歯の矯正は対象外
薄毛治療 ローン申請でうその申告
豊胸や薄毛、歯の矯正は対象にしなかった。消費者庁はその理由に、豊胸や薄毛は「現時点では相談件数が多くない」、歯の矯正は「さまざまな合併症を引き起こすかみ合わせの異常や、顎関節の異常など、医療目的のものが多い」ことを挙げている。

豊胸はこの10年で500件程度、育毛発毛増毛サービスでは250件程度の相談が寄せられている。相談件数自体は多くはないが、一定の相談件数がある。

薄毛治療の相談では、20歳代の男性に1年間の注射治療100万円を個別ローンで契約させ、年収や持家かどうかうその申告をさせている相談なども見られる。


「関連商品」に医薬品・医薬部外品
クーリング・オフ、中途解約と併せて、解約可

クーリング・オフや中途解約など、美容医療の契約解除に併せ、サービスを提供するために必要と説明されて契約した関連商品も同様に契約が解除できる。
関連商品には、①健康食品②化粧品③マウスピース(歯の漂泊に用いられるものに限る)④美容を目的とする医薬品・医薬部外品-が規定されている。

【追記】意見募集を踏まえ、赤字部分追加

関連商品(施行令別表五) 
( 美容医療の契約解除と併せて関連商品も契約解除できる)
イ 動物および植物の加工品(一般の飲食の用に供されないものに限る)であって、人が摂取するもの
ロ 化粧品
ハ マウスピース(歯牙の漂泊のために用いられるものに限る)、歯牙の漂白剤
二 医薬品および医薬部外品(医薬品、医療機器等の品質、有効性および安全性の確保等に関する法律第二条第二項の医薬部外品をいう)であって、美容を目的とするもの



中途解約可、損害賠償額の上限
5万円か契約残額20%の低い額

事業者が消費者に請求できる損害賠償額の上限は、サービス開始前の解約は「2万円」、サービス開始後に解約した場合は、「5万円または、契約残額の20%に相当する額のいずれか低い額」とした。

一部美容医療の特定継続的役務提供への追加は、政省令改正で対応できるが、63日に公布された改正特商法と併せて121日から施行される。改正政省令は意見募集結果を踏まえて、6月に公布する方針だ。         (詳細は日本消費経済新聞5月15日号)
          ◇         ◇

高密度超音波によるそう身、リフトアップ
エステサロンで熱傷、神経損傷、みみず腫れ

国民生活センターは、エステサロンでハイフ(高密度焦点式超音波)機器によるそう身やリフトアップの施術を受け、「熱傷になり治るまでに半年かかった」「神経の一部を損傷した」「顔に熊の爪で引っかかれたような3本のみみず腫れができた」「熱傷を負い、顔に傷痕が残った」など、身体に危害を負ったという相談事例を公表。エステティシャンがハイフ機器を用いて施術することは医師法に抵触するおそれがあるとして、「エステサロンでハイフ機器を使った施術を受けてはいけない」と呼びかけている。

ハイフ(HIFU、高密度焦点式超音波)は、超音波を人体の特定部位に集束させ熱変性を生じさせる治療法。

エステサロンのホームページでは、ハイフ機器を用いて皮膚の下の脂肪細胞や筋膜の内部に熱作用を加えることで痩身や顔の引き締めに効果があるとしているが、脂肪細胞を破壊する、筋膜の熱による収縮・ダメージをうたっているところもある。
 
 国民生活センターでは、ハイフ技術による侵襲行為は、医師の医学的知識や技能を必要とする施術で、「医師以外の者による施術を絶対に受けてはいけない」と警告している。「メリットだけでなく、リスクについても事前に十分に説明を受ける」ようアドバイスしている。

脱毛でもやけどや腫れ、色素沈着
国民生活センターが注意呼びかけ


脱毛で報告されている身体への危害は「毛穴に針を刺す電気脱毛で足が赤く腫れ上がり、皮膚科で治療したが3年半たっても痕が残った」「レーザー脱毛でやけどを負った」「色素沈着が残った」など。20124~2016年2月までの約5年間に、964(うちエステサロンが680件、医療機関が284)の相談が寄せられている。
 
 高い脱毛効果を得るためには、毛包幹細胞を破壊する必要があるが、医療機関でしか行えない。エステサロンで行うことができるのは、光照射で一時的な除毛や減毛などをする施術のみとされている。医療機関で行われる脱毛には、①レーザー脱毛②光脱毛③電気脱毛がある。「レーザー脱毛」は広い範囲で行え、皮下の黒い毛のメラニン色素に吸収されて熱を持つことで、毛乳頭などを破壊する。ただし、日焼けや色素沈着がある部位には使えない。「光脱毛」は多数の波長の可視光線を照射することで毛乳頭などを破壊する。「電気脱毛」は毛穴に針を通して電流を流すことで毛乳頭を破壊するが、痛みがあるため麻酔を使う。同センターが、過去3年間に脱毛を受けたことがある1000人にアンケート調査をした結果、4分の1がやけどや痛みなどが生じた経験があった。7割以上が事前にリスクの説明を受けていない。

美容医療の一部が特定商取引法の規制対象になることで、誇大広告は禁止され、契約のトラブルは解決しやすくなるが、身体への危害が生じていることを十分に認識して、自ら情報を収集し、リスクを知った上で慎重に検討することが大切だ。

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特定商取引法が規制する「特定継続的役務提供」とは
 役務(えきむ)は、サービス。一定期間以上、一定の金額を超える金額を支払い継続的にサービスの提供を受ける取引。身体の美化、知識・技術の向上などの目的で誘引され、その目的の実現が確実でないものが、政令で指定されている。これまで、①エステティック(1カ月、5万円を超えるもの)②語学教室(2カ月、5万円を超えるもの)③家庭教師(同)④学習塾(同)⑤パソコン教室(同)⑥結婚相手紹介サービス(同)―の6つが指定されていた。今回、美容医療(1カ月、5万円を超えるもの)を追加する。

2017年4月17日月曜日

消費者庁天下り問題⑦-2 ジャパンライフ業務停止命令後も被害拡大 参院で大門氏が追及

411日の参議院財政金融委員会、45日の参議院消費者問題特別委員会で、日本共産党の大門実紀史氏は、消費者庁が2度の業務停止命令を出した「ジャパンライフ」(東京都千代田区、山口隆祥会長)の問題を追及した。銀行預金や保険を解約させてお金を吸い上げるなど、消費者庁が公表していない悪質な勧誘の手口を明らかにし、業務停止命令が出された後も預託契約が行われレンタルオーナーが拡大している問題にどう対応するのかを厳しくただした。

大門氏が参院で追及した内容は、大きく①政治家や経産省・内閣府官僚OBの関与②悪質で巧妙なジャパンライフの勧誘の手口の2つ。2回目は②について報告する。

「減価償却10年間無税」と勧誘
現物なければ減価償却できない


11日の財政金融委員会では、ジャパンライフ元営業部員から入手したという勧誘に使われた資料が配布された。「8つのメリット」をうたっている。
4番目に「減価償却で10年間は無税」、8番目に「10年後も、物件の相続税評価額が100%免除」とある。
大門氏は「磁気ネックレスは、国税庁の耐用年数表によると、医療機器に当たり、主として金属製のものは10年となっている。毎年減価償却をして10年後にはゼロになるから100%免除ということだろうが、実際に現物のレンタルを行っていないペーパー商法で、で減価償却費は認めるのか」と国税庁に質問した。
 これに対し、国税庁の飯塚厚次長は、「現物がないという状態であれば、取得していない資産が減価償却資産になることはない。減価償却費を計上することはできない」と回答している。

60万円のベスト原価8千円
定期預金、生命保険を解約させる

5日の消費者問題特別委員会では、ジャパンライフ元社員の話として、時期の原価や勧誘の手口の詳細も明らかした。
60万円の磁気ベストの原価は、8千円~1万円」と報告。「おばあちゃんが大量に契約させられ、商品のやり取りは実際に行わず、『投資ですよ』と勧誘している」。「エステやマッサージをしてあげると親切に近づいて最初は100万円くらいのネックレスから、1年で8回も一気に1700万円も契約させている」。「レンタル料は6%、1千万円預ければ年間60万円の収入になるので銀行に預けるよりいいとジャパンライフ社員が銀行までついて行って定期預金を解約させる。生命保険も解約させてお金を吸い上げる」など、消費者庁が公表していない手口を明らかにした。
「レンタル料の6%は一応払うが、おばあちゃんから出させたお金から本人に渡しているだけ。いつかは破たんするスキーム」と述べた。

2回目の処分後も会員に新聞配布
「さらに拡大へ向けまい進」

同日、大門氏は、2回目の行政処分の翌日に発行された2017317日付の健康ジャーナル特別号を資料として配布した。
「健康産業のパイオニア企業」として山口会長のインタビュー記事が掲載され、「201510月から店舗販売に特化、訪問販売、連鎖販売取引、預託販売は一切行わない」「今後もスタンスは変わることなく さらに拡大へ向けて邁進」などの見出しが躍っている。
「この新聞は一般には配っていない。わざわざ独自に印刷をして、会員を安心させるために配っている」と説明した。

2度の行政処分後も営業
レンタルオーナー増やす

大門氏は、「山口会長が処分は不当だと主張し、通常営業を続け、各地の施設やホテルでセミナーを開催し、レンタルオーナーを増やしている」として、「消費者庁はどうするのか」とただした。
これに対し、消費者庁の川口康裕次長は「店舗販売を行ったこと自体は、命令に反しているとは考えていない」と答弁。見出しの1つについて、「201510月以降も同社が、預託取引、訪問販売、連鎖販売取引を行っていると判断した上で、201512月に行政処分を行った」と説明した。
大門氏は、「預託販売とは言わず、賃貸借契約に言い方を変えているだけ」と、再度業務停止命令に違反した場合の答弁を要請。川口次長は「消費者庁の業務停止命令に従わない場合は、警察などの捜査機関に対し、刑事告発を行うことになる」と答弁した。
本紙には、1回目の業務停止命令の後に、訪問販売で高額な預託契約を結ばせている事例が報告された。業務停止命令を出した後も被害が拡大している。消費者庁はこの状況を放置することは許されない。
大門氏は、「業務停止命令違反、契約者を安心させる会員への新聞配布なども含め、きちっと対応する」ことを要請した。

       ◇     ◇
消費者庁元課長補佐 20147月末の報告内容明らかに
「違反確認できなかった」「財務状況確認急がれる」
水庫元課長補佐が2014730日に、当時の課長に報告した内容が、5日の消費者特で明らかにされた。消費者からの聞き取りは2件しか行わず、「違反行為が確認できたものは皆無」と報告していた。これを踏まえて、20149月と10月に文書による行政指導が行われたと見られる。

ただし、この報告書には、「経営が悪化している」として、「財務状況を確認することが一方では急務」とただし書きがあったことを大門氏は明らかにした。

消費者庁天下り問題⑦-1 加藤一億総活躍相がジャパンライフの“広告塔” 参院で大門実紀史氏

 消費者庁元課長補佐が天下っていた「ジャパンライフ」(東京都千代田区、山口隆祥会長)の問題について、参議院では、財政金融委員会と消費者問題特別委員会で日本共産党の大門実紀史氏が取り上げた。加藤勝信・一億総活躍担当相が消費者庁から業務停止命令を受けた同社の“広告塔”の役割を果たしていると指摘した。消費者庁元課長補佐の天下りに加え、経産省や内閣府官僚0Bが同社顧問に再就職していることが、行政処分の遅れに影響したのではないかと追及した。「大きな闇がある」として、厳正に対処することを求めた。

説明を「大きな闇がある」として、厳正に対処する
ことを求めた日本共産党の大門実紀史氏

参議院で大門氏が追及した内容を2回に分けて報告しておく。

「加藤と山口会長が会食、ジャパンライフを高く評価」会員にチラシ配布

「だますという手口は明らか、厳正に対処すべき」
と答弁した麻生太郎財務相
411日の参議院財政金融委員会で、大門氏は、『113日、安倍内閣の重要閣僚の加藤(勝信・一億総活躍担当)大臣と山口会長が会食し、ジャパンライフの取り組みを非常に高く評価して頂きました』と記載されたチラシが、ジャパンライフ会員に配布されていることを明らかにした。
 
 ジャパンライフが行政処分を受けたのは20161216日と2017316日。
 
 大門氏は「1回目の行政処分の後、ジャパンライフの内部や、契約者本人が非常に動揺している時期に、加藤大臣の写真入りで安心してくださいとチラシがまかれている」とし、これは事実かと追及した。内閣府大臣官房の大塚幸寛審議官は「この場で答える立場にはない」として、回答を避けている。大門氏は、「1回ではなく2回会っている」とし、この問題をさらに追及する考えを示した。
 
 ジャパンライフは、100万円から600万円の磁気治療器を、高齢女性らに販売し、預かってレンタルして、月6%のレンタル料を支払うというレンタルオーナー商法を展開している。消費者庁は20159月の立ち入り検査から1年半をかけて、レンタルしているはずの商品がない違反を認定した。


大門氏は「いわゆる“現物まがい商法”、“ペーパー商法”。この問題はいつ表面化するかわからないが、規模からいえば被害額は数百億、1千億を超えるとも言われ、第二の豊田商事事件に匹敵する大問題になりかねない」と指摘した。

同社の山口隆祥会長は、マルチ商法が問題になった1975年に国会で参考人に呼ばれた人物。1985年には衆議院でジャパンライフの羽毛布団販売で集中審議まで行われているとして、麻生太郎財務相に対し、「こういう悪質商法が今現在も行われていることをどう思うか」と質問した。

これに対し、麻生財務相は、「山口さんは、マルチが出てきた最初の頃からの有名人。高齢者が現預金で9百何十兆も持っている。うまい話はふつう眉に唾をつけて聞かねばならない。だますという手口は明らか、厳正に対処すべき」との考えを示した。

経産省官僚OBも顧問に再就職 行政処分の遅れに影響か
 
 4月5日の消費者問題特別委員会では、経済産業省や内閣府の官僚OBがジャパンライフ顧問に再就職し、深くかかわってる問題を追及した。
 
 2016年、2017年の同社会社案内には、元経済企画庁長官秘書官や通商産業大臣秘書を務めた松尾篤氏や、元内閣府大臣官房長、内閣府国民生活局長を務めた永谷安賢氏が顧問として名を連ねている。消費者庁の水庫孝夫元課長補佐の後任には、通産省(現経産省)知的財産政策室初代室長、経産省貿易経済局長を務めた中嶋誠・元特許庁長官が顧問に就任している。
 
 「消費者庁元課長補佐はノンキャリだが、顧問に再就職しているのはキャリア組で、しかも大物」と大門氏。ジャパンライフへの1回目の行政処分までに、20159月の立入検査から1年3カ月もかかったのは、消費者庁元課長補佐が天下りしていたほか、同社顧問に就任しているの大物の存在が影響しているのではないかと糾弾した。

元内閣府国民生活局長 NPO法人「活生ライフ」代表にも就任

中でも、元内閣府国民生活局長の永谷氏は同社顧問だけでなく、ジャパンライフと関係が深いNPO法人「活生(いきいき)ライフ」の理事長にも就任している。

このNPO法人は、ジャパンライフ近くに本部所在地はあるが、NPO法人の看板はなく、全国の支店の電話番号は、すべてジャパンライフの支店と同じ番号になっている。お年寄りの人生最後の時期をサポートするとして、身元保証や遺言書作成、財産管理をうたっている

大門氏は「親族が気付くと相談しているが、気付かずに亡くなったお年寄りの遺言書作成や財産管理をして、預かり金を処理しているのではないか」「お年寄りをレンタルオーナーシステムに巻き込んで、食いものにするパートナーではないのか」と追及した。

このほか、ジャパンライフ関係者から入手したお中元リストには、麻生財政相、安倍信三首相をはじめ与野党議員の名前が連なっているとし、元文科相の下村博文氏が10万円の献金(下村氏が支部長の自由民主党東京都第11選挙区支部へ10万円、2014年)を受けていることを明らかにした。大きな闇があるとして、厳正に対処することを求めた。

 
 松本純消費者担当相は「話は承った。しっかり正面から受け止めて適切な対応をしていきたい」と答えた。

2017年4月10日月曜日

消費者庁天下り問題⑥ 「消費者庁は天下り認定できた」情報公開請求で再就職監視委の調査結果明らかに

消費者庁元課長補佐の現職中の求職規制違反を認定した内閣府再就職等監視委員会調査報告書の内容が329日、明らかになった。情報公開請求に応じた。消費者庁は5カ月も調査して違反を認定できなかったと報告していたが、監視委の調査報告書には、「消費者庁が調査で得た資料のみで、違反認定は可能と思われる」と明記されていた。元課長補佐が在職中にジャパンライフ社トップに面会を求める伺い書は、2通あった。さらに、元課長補佐のメールの中には、面会をうかがわせる予定表が含まれていたが、本人やジャパンライフ職員への聴取に活用していなかったことも明らかになった。元課長補佐が消費者庁総務課人事担当者に3度メールで相談をしていたが、報告書は、3度目のメールは具体的な違反が察知でき調査や指導を行うべきで「不適切と言わざるを得ない」と指摘。行政指導後の対応を1人でさせたり、電子データで業務資料を持ち出させたりするなど、管理義務への注意を怠った不作為は「違反行為を助長する」としていた。消費者庁は、違反が認定できる証拠を入手していたにもかかわらず、組織的に隠ぺいしようとし、いたずらに、調査を引き延ばしていた。行政処分の引き延ばしへの影響も懸念される。

「消費者庁の調査で違反認定できた」
再就職規制監視委 報告書に明記

情報公開請求で開示された内閣府再就職等
監視委員会の「
委員会調査報告書」
調査報告書は29ページ。一部黒塗りで提供された。28日から38日までに元課長補佐をはじめとする消費者庁職員人20人、関係者1人に計25回聴取し、供述や証言を裏付ける96点に及ぶメールや関係資料などから違反を認定していた。
 消費者庁は5カ月も調査して違反を認定できなかった理由として、「元課長補佐が在職中に同社トップに面会を求める文書を入手したが、元課長補佐から受けたストレスを解消するために同社職員が偽造したと供述し、その可能性が否定できなかった」と、民進党に回答していた。

J社トップ面会伺い書「2通」
本紙 情報公開請求で明らかに

しかし、報告書からは、面会を求めるうかがい書は、2通あったことが読み取れる。
1通目は「●月●日付で民間企業との再就職活動が可能になります。顧問契約をするに当たり・・・下記日程でご面会をお願い致したくお伺い申し上げます」と、書かれていたとある。報告書は以下に続く。しかし、その期間に会うのは再就職規制の関係で早すぎると考え、「会うのは早すぎる」旨を伝え、面会する約束を断った。再度、別の日に面会を約束する伺い書を提出し、同日決済を受けている。「下記日程でご面会をお願い致したくお伺い申し上げます」として、1カ月後の面会が決定された。2通も伺い書を偽造するというのか。

元補佐メールにも面会予定表
消費者庁、J社担当者の聴取に活用せず
 
 さらに、これに加え、元課長補佐のメールの中には、①ジャパンライフ担当者に私用メールアドレス等を知らせたもの②面会予定を有していたことをうかがわせる予定表―が入っていたが、元課長補佐やジャパンライフ担当者の聴取にこれらの資料を活用していなかった。
 報告書の最後には、「任命権者調査により得た資料のみによっても求職規制違反を認定することが可能であると思料するが、さらに、消費者庁において、上記メールを精査していたならば、任命権調査においても求職規制違反の認定に至った可能性が高いことを付言する」と明記されていた。

元補佐3回メールで相談
人事担当者の対応不適切 
 

消費者庁総務課人事担当者と天下りした
元課長補佐とのメールのやり取り
(3月30日の衆議院消費者特で大西健介氏が公表)
また、元課長補佐は求職活動について、消費者庁総務課人事担当者に3回もメールで相談していた。監視委は、2回目のメールの回答は「適切とはいえず、違反が進行していた行為者に対し、制度を認識不足であった状態で対応していたと指摘せざるを得ない」と報告。3回目のメールでは、「具体的事実の進行を察知し、求職規制に違反することがないよう調査または指導を行うべきであった」とし、「利害関係企業に該当するか判断しなければならず、その回答としては、不適切なものであったと言わざるを得ない」としている。
 330日の衆議院消費者特で、3回目のメールの一部が公表された。人事担当者は、元課長補佐に「具体的な相手方がある程度見込まれている状況であるであろうと推察しています」と返信しており、このときすでに、違反が進行していることを察知していたことがうかがえる。

顧問職のために資料持ち出し
不正許可申請でDVD書き込み

 
 このほか、元課長補佐は、利用目的や使用場所の虚偽の報告をして、CD、DVDドライブへの書き込み許可申請を不正に受け、業務関連資料データを自宅に持ち帰っていた。監視委は、「職務には全く不要で、離職後、顧問職遂行に備えた内容というべき」とも指摘している。黒塗りで詳細は分からないが、法令関係などの多くの資料も持ち出しており、ジャパンライフ顧問としてのアドバイス業務に使うことが目的だったと見るのが相当としていた。
 消費者庁元課長補が、ジャパンライフの顧問に就任したことが発覚したのは、2015910日。同社への立入調査で判明した。
 消費者庁が違反の疑いを内閣府再就職等監視委員会に報告したのは107日。すでに1カ月近くが立っている。任命権者調査(消費者庁の調査)に入り、「違反は断定できない」とする調査結果を報告したのは201621日。5カ月近くをかけていた。
再就職等監視委が委員会調査を決定したのは、報告から3日後の24日。324日には違反を認定し公表している。

組織的隠ぺいは明らか
調査引き伸ばし、行政処分に影響か

本来なら、違反の疑いを報告する107日時点で、違反を認定してもおかしくない事案に見える。監視委は報告書の中で、消費者庁に調査手法の助言を行う中で、「(証拠の)提出を促し続けてきたが、委員会調査開始決定後にようやく提出されたという状況だった」と指摘している。この指摘が、消費者庁の体質を如実に物語っている。

消費者庁は元課長補佐の天下りを未然に防ぐ機会があったにもかかわらず、そのチャンスを逃し、違反発覚後もその事実を組織的に隠ぺいしようとし、調査を長引かせたことは明らかだ。天下り調査の引き延ばしが、ジャパンライフへの対応策検討の遅れにも影響したと考えられ、行政処分を遅らせ被害を拡大さえていないか、今後、さらに検証が求められる。