2017年4月17日月曜日

消費者庁天下り問題⑦-1 加藤一億総活躍相がジャパンライフの“広告塔” 参院で大門実紀史氏

 消費者庁元課長補佐が天下っていた「ジャパンライフ」(東京都千代田区、山口隆祥会長)の問題について、参議院では、財政金融委員会と消費者問題特別委員会で日本共産党の大門実紀史氏が取り上げた。加藤勝信・一億総活躍担当相が消費者庁から業務停止命令を受けた同社の“広告塔”の役割を果たしていると指摘した。消費者庁元課長補佐の天下りに加え、経産省や内閣府官僚0Bが同社顧問に再就職していることが、行政処分の遅れに影響したのではないかと追及した。「大きな闇がある」として、厳正に対処することを求めた。

説明を「大きな闇がある」として、厳正に対処する
ことを求めた日本共産党の大門実紀史氏

参議院で大門氏が追及した内容を2回に分けて報告しておく。

「加藤と山口会長が会食、ジャパンライフを高く評価」会員にチラシ配布

「だますという手口は明らか、厳正に対処すべき」
と答弁した麻生太郎財務相
411日の参議院財政金融委員会で、大門氏は、『113日、安倍内閣の重要閣僚の加藤(勝信・一億総活躍担当)大臣と山口会長が会食し、ジャパンライフの取り組みを非常に高く評価して頂きました』と記載されたチラシが、ジャパンライフ会員に配布されていることを明らかにした。
 
 ジャパンライフが行政処分を受けたのは20161216日と2017316日。
 
 大門氏は「1回目の行政処分の後、ジャパンライフの内部や、契約者本人が非常に動揺している時期に、加藤大臣の写真入りで安心してくださいとチラシがまかれている」とし、これは事実かと追及した。内閣府大臣官房の大塚幸寛審議官は「この場で答える立場にはない」として、回答を避けている。大門氏は、「1回ではなく2回会っている」とし、この問題をさらに追及する考えを示した。
 
 ジャパンライフは、100万円から600万円の磁気治療器を、高齢女性らに販売し、預かってレンタルして、月6%のレンタル料を支払うというレンタルオーナー商法を展開している。消費者庁は20159月の立ち入り検査から1年半をかけて、レンタルしているはずの商品がない違反を認定した。


大門氏は「いわゆる“現物まがい商法”、“ペーパー商法”。この問題はいつ表面化するかわからないが、規模からいえば被害額は数百億、1千億を超えるとも言われ、第二の豊田商事事件に匹敵する大問題になりかねない」と指摘した。

同社の山口隆祥会長は、マルチ商法が問題になった1975年に国会で参考人に呼ばれた人物。1985年には衆議院でジャパンライフの羽毛布団販売で集中審議まで行われているとして、麻生太郎財務相に対し、「こういう悪質商法が今現在も行われていることをどう思うか」と質問した。

これに対し、麻生財務相は、「山口さんは、マルチが出てきた最初の頃からの有名人。高齢者が現預金で9百何十兆も持っている。うまい話はふつう眉に唾をつけて聞かねばならない。だますという手口は明らか、厳正に対処すべき」との考えを示した。

経産省官僚OBも顧問に再就職 行政処分の遅れに影響か
 
 4月5日の消費者問題特別委員会では、経済産業省や内閣府の官僚OBがジャパンライフ顧問に再就職し、深くかかわってる問題を追及した。
 
 2016年、2017年の同社会社案内には、元経済企画庁長官秘書官や通商産業大臣秘書を務めた松尾篤氏や、元内閣府大臣官房長、内閣府国民生活局長を務めた永谷安賢氏が顧問として名を連ねている。消費者庁の水庫孝夫元課長補佐の後任には、通産省(現経産省)知的財産政策室初代室長、経産省貿易経済局長を務めた中嶋誠・元特許庁長官が顧問に就任している。
 
 「消費者庁元課長補佐はノンキャリだが、顧問に再就職しているのはキャリア組で、しかも大物」と大門氏。ジャパンライフへの1回目の行政処分までに、20159月の立入検査から1年3カ月もかかったのは、消費者庁元課長補佐が天下りしていたほか、同社顧問に就任しているの大物の存在が影響しているのではないかと糾弾した。

元内閣府国民生活局長 NPO法人「活生ライフ」代表にも就任

中でも、元内閣府国民生活局長の永谷氏は同社顧問だけでなく、ジャパンライフと関係が深いNPO法人「活生(いきいき)ライフ」の理事長にも就任している。

このNPO法人は、ジャパンライフ近くに本部所在地はあるが、NPO法人の看板はなく、全国の支店の電話番号は、すべてジャパンライフの支店と同じ番号になっている。お年寄りの人生最後の時期をサポートするとして、身元保証や遺言書作成、財産管理をうたっている

大門氏は「親族が気付くと相談しているが、気付かずに亡くなったお年寄りの遺言書作成や財産管理をして、預かり金を処理しているのではないか」「お年寄りをレンタルオーナーシステムに巻き込んで、食いものにするパートナーではないのか」と追及した。

このほか、ジャパンライフ関係者から入手したお中元リストには、麻生財政相、安倍信三首相をはじめ与野党議員の名前が連なっているとし、元文科相の下村博文氏が10万円の献金(下村氏が支部長の自由民主党東京都第11選挙区支部へ10万円、2014年)を受けていることを明らかにした。大きな闇があるとして、厳正に対処することを求めた。

 
 松本純消費者担当相は「話は承った。しっかり正面から受け止めて適切な対応をしていきたい」と答えた。

0 件のコメント:

コメントを投稿