摂取するだけで、だれでも容易に痩せられると誤認させる表示をしたとして、消費者庁は11月7日、葛の花由来イソフラボンを有効成分とする機能性表示食品を販売している16社に、景品表示法に基づく措置命令(優良誤認)を出した。機能性表示食品への措置命令は初めて。機能性の根拠を示す論文の中から、一部の数字のみを強調して痩身効果を期待させたり、ズボンがぶかぶかになるほど痩せた写真を掲載して購買意欲をあおっているが、試験結果では、ウエストが90㎝を超える肥満の人が、1日の摂取カロリーを2000㎉程度に制限し、毎日通常より2000歩も多い8000歩から9000歩歩いて12週間飲み続け、ウエストがわずか1㎝、体重が1㎏程度しか減っていない。消費庁は「約1㎏減、ウエスト約-1㎝は、通常1日の変動範囲」との見解を専門家の意見として示した。どの程度の効果があるか、自分にも効果が期待できるのかは、消費者の商品選択の必須要件だが、消費者に伝えられていない。販売を中止したのは3社。販売した対象商品全品を返金したのはニッセン1社にとどまる。多くの事業者が、希望あるいは強い希望があれば返金すると回答しているが、「ヘラスリム」「シボヘール」をインターネット上で販売している2事業者は、取材に応じない。
措置命令を受けた16社の19商品 販売状況と返金対応 |
会社名 |
商品名 |
販売状況 |
返金対応 |
太田胃散 |
葛の花イソフラボン貴妃 |
中止(6月) |
申し出者に返金 |
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葛の花イソフラボンウエストサポート茶 |
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オンライフ |
slimfor(スリムフォ ー) |
継続 |
返金していない |
CDグローバル |
葛の花イソフラボン 青汁 |
検討中 |
返金するが要望ない |
全日本通教 |
葛の花減脂粒 |
継続 |
申し出者に返金 |
ありがとう通販株 |
青汁ダイエットン |
中止(8月) |
申し出者に返金 |
ECスタジオ |
イージースムージー グリーン |
継続 |
申し出あれば検討 |
協和 |
ウエストシェイプ |
継続 |
申し出者に返金 |
スギ薬局 |
葛の花ウエストケア タブレット |
販売一時中止 |
申し出者に返金 |
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葛の花ウエストケアスムージー |
要望ある人に |
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葛の花プレミアム青汁 |
は継続 |
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ステップワールド |
ヘラスリム |
取材に応じず |
テレビショッピ ング研究所 |
葛の花サプリメント |
検討中 |
申し出者に返金 |
Nalelu |
葛の花ヘルスリム2 7 |
継続 |
申し出者に返金 |
ニッセン |
メディスリム(12 粒) |
中止(5月) |
全品返金済み |
日本第一製薬 |
お腹の脂肪に葛の花 イソフラボンスリム |
継続 |
相談内容に応じ返金 |
ハーブ健康本舗 |
シボヘール |
取材に応じず |
ピルボックスジャパン |
onaka(おなか) |
継続 |
返金するが要望ない |
やまちや |
葛の花由来イソフラ ボン入り きょうの
青汁 |
継続 |
申し出者に返金 |
上から4社は、一般消費者への誤認排除、再発防止、不作為を命令 |
残りの12社はすでに一般消費者への誤認排除措置を講じているため、再発防止と不作為を命令 |
運動や食事制限、条件示さず
わずかな効果を過大に強調
同日、措置命令を受けたのは、太田胃散(東京都文京区)、全日本通教(同杉並区)、協和(同福生市)、スギ薬局(京都市)、ステップワールド(東京都渋谷区)、テレビショッピング研究所(同大田区)、ニッセン(京都市)、ハーブ健康本舗(福岡市)など16社の19商品。タブレット状のものがほとんどだが、お茶や青汁なども含まれている。一部は店舗でも販売されていたが、ほとんどが通信販売で提供されていた。
消費者庁によると、
2015年
10月~
2017年
8月
(各社で異なる
)にかけて、自社のウェブサイトや新聞、雑誌、テレビ、一部ラジオなどで、「摂取するだけで、だれでも容易に、内臓脂肪や皮下脂肪が減少し、見た目でも変化が分かるほど腹部の痩身効果が得られる」と誤認させる表示をしていた。消費者庁がその表示を裏付ける合理的な根拠の提出を求めたが、各社の提出資料は合理的な根拠とは認められなかった。
16社19商品の違反認定事実
「あたかも、対象商品を摂取するだけで、だれにでも容易に、内臓脂肪(および皮下脂肪)の減少による、外見上、身体の変化を認識できるまでの腹部の痩身効果が得られるように示す表示をしていた」
実験結果への消費者庁の見解(専門家の意見)
●BMI25~30の者が対象
●運動と食事制限により、摂取エネルギーを消費エネルギーが上回る状態を維持することが必要
(運動では、12週間平均で約8000~9000歩/日、これは通常より約2000歩/日多い)
●実験結果の約1㎏減、ウエスト約-1㎝は、通常1日の変動範囲
「食品食べ痩せることはまずない」
消費者庁 大元慎二課長
消費者庁表示対策課の大元慎二課長は、「試験結果のデータをしっかり見ておけば、このような表示は当然できない。内臓脂肪を減らすのを助ける効果を超えた部分に関しては、根拠はない」と指摘。試験結果からは「運動と食事制限により、摂取エネルギーを消費エネルギーが上回る状態を維持することが必要」と、専門家の意見を踏まえた消費者庁の見解
(上記参照)を示した。
「食品を食べて、痩身効果を得ることはまずありえない。痩身効果を求めるのであれば、消費エネルギーが摂取エネルギーを上回る状況を作ることが重要で、食品を食べただけで痩せることはまずない」と話した。もともと届け出た表示に痩身効果は含まれておらず、痩身効果はうたえない。
消費者庁のデータベース検索
消費者、試験の前提条件把握できず
違反が指摘された広告表示では、腹部の脂肪をつまんだ写真とともに、「運動×食事制限しなくても、皮下脂肪、内臓脂肪に強力にアプローチ」などと掲載。ズボンがぶかぶかになり、ウエストが細くなったことを強調する写真とともに「
12週間でウエスト-
0.8㎝」「試験で実証!お腹の脂肪の断面積が
12週間で
20㎠減少!」などと大きく記載されている。
機能性表示食品は2015年4月から、政府の規制改革会議主導で導入された制度だ。機能性や安全性の根拠を事業者の責任で届け出る。消費者庁のデータベースで機能性の根拠となる論文が示されているはずだが、公表されている資料からは、消費者が効果の程度を知るためには必要不可欠な「試験の対象者や前提条件」を把握することができない現状があった。
最終製品用いた臨床試験
対象者のウエスト平均約96㎝
「ヘラスリム」(届け出ステップワールド)と「メディスリム」(同ニッセン)の2商品については、消費者庁に届け出た機能性の科学的根拠として、最終製品による臨床試験結果が添付されている。ただし、その論文は英語で、英語が苦手な人は読む気になれない。
試験の対象者は、BMIが25~30の人たち。日本ではBMIは25から肥満とされ、平均身長約165㎝、平均体重約75㎏、平均ウエスト約96㎝、平均年齢約44歳の肥満の人たちで試験は行われている。標準体重はBMIが22の体重とされている。例えば、ウエストが細くなりたいと、身長158㎝、体重55㎏の人が摂取したとしても、BMI=体重(kg) ÷ {身長(m) ×身長(m)}=22。試験と同様の効果は期待できない。
1日9000歩の運動量で試験
通常より2000歩多い
しかも、試験期間中、試験対象者は毎日8000歩から9000歩を歩き、摂取カロリーは2000 kcal/日前後に抑えられている。
「2016年国民健康・栄養調査結果」によると、一日あたりの平均歩数は男性で6984歩、女性で6029歩。20~64 歳の歩数の平均値は男性7,769 歩、女性6,770 歩で、65
歳以上では男性5,744歩、女性4,856 歩とされている。肥満の人たちのデータは公表されていないが、消費者庁は専門家の意見を踏まえて、通常より2000歩程度多いとの見解を示している。
消費エネルギー下回る
「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によると、30~49歳男性の推定エネルギー必要量が2,650 kcal/日、女性は2,000kcal/日とされている。男女平均でしか摂取カロリーが記載されていないこと自体疑問だが、消費者庁は「運動と食事制限で、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回る状況を維持することが必要」という専門家の見解を示している。
効果の程度は、12週間摂取しても、外見上ウエストが細くなるほどの差は出ていない。肥満の人たちを3つのグループに分け、①葛の花抽出物を毎日300㎎(うちイソフラボン54㎎ そのうちテクトリゲニン類42 mg)摂取する グループ(男性14人女性14人)。②200㎎(同36㎎、テクトリゲニン類28mg)を摂取するグループ(男性13人女性15人)。③比較対象の葛の花抽出物を含まないプラセボ(偽薬)を摂取するグループ(男性12人女性13人)で、比較している。
内臓脂肪減らすのを助ける
総脂肪面積12週間で4.9%減
その結果、①のグループで内臓脂肪面積(試験前内臓脂肪面積の平均116.4㎠)が、8週間目と12週間目にそれぞれ-8.9㎠(7.6%減)、-15.3㎠(13.1%減)減少し、総脂肪面積(試験前平均327.3㎠)は-8.8㎠(2.7%減)、-16㎠(4.9%減)減少。BMIが-0.5、-0.8減少したという内容だ。試験前の平均95.9㎝のウエストや平均75.3㎏の体重がどの程度減ったのかは、折れ線グラフで読み取るしかなく、正確な数字は示されていない。
ただし、③のプラセボ群でも、数値の減少は見られる。8週間後、2週間後で内臓脂肪面積は(試験前平均95.3㎠)はそれぞれ-1.5㎠(1.6%減)、-4.1㎠(4.3%減)、総脂肪面積(試験前平均323.5㎠)は-5.4㎠(1.7%減)、-2.6㎠(0.8%減)減っている。BMIは折れ線グラフから読み取るしかないが、-0.2から-0.3は減少していると見られる。
臨床試験の結論は、皮下脂肪面積では有意な減少は見られなかったが、内臓脂肪面積の減少ではプラセボ群と比較して有意な差があったとしている。
「肥満の人が、通常より多めに運動をし、食事制限をした状況下で、内臓脂肪を減らすのを助ける機序が推論できる」という内容で、一定程度必ず減ると保証するものではない。
グラフで差を大きく見せる
消費者、効果を過大に誤認
他の17商品については、最終製品の臨床試験ではなく、機能性関与成分に関する「研究レビュー」で、機能性が評価されている。上記論文を含めた同じグループの人たちの4つの論文を総合的に解析している。
今回、問題とされた広告では、研究レビューで解析に用いられた1つの論文から、折れ線グラフを用いて、大きな差があるように見せるグラフが作成されている。
12週間で体重が1㎏減少し、お腹の脂肪の断面積が20㎠減少し、ウエストが0.8㎝細くなることが、折れ線グラフを用いて大きな差があるように表現されている。しかも、どんな人がどのような条件で試験したかが、全く示されていないために、消費者に、自分にも大きな効果があるように誤認させている。
消費者庁に届け出された研究レビューには、元の論文が添付されておらず、消費者は試験の対象者の詳細や前提条件を知ることはできない。その論文はネット上では検索できず、雑誌を取り寄せたり、国会図書館などに出向いたりしなければ、読むこともできなかった。制度上あまりに問題がある。
12週間でウエスト0.8㎝減
実は、元のウエスト92.8㎝
元の論文によると、被験者群のBMIは25~30未満、平均体重は73.7㎏、平均ウエスト92.8㎝、平均腹部総脂肪面積は314㎠(内臓脂肪面積112㎠、皮下脂肪面積237㎠)だった。
平均身長の記載はない。
ちなみに、プラセボ群のBMIは25以上30未満、平均体重は73.5㎏、平均ウエスト92.9㎝、平均腹部総脂肪面積323㎠(内臓脂肪面積114㎠、皮下脂肪面積224㎠)だった。
1日9000歩前後の運動(英文の論文より多い)とエネルギー摂取量1日2000 kcal前後という通常より多い運動をし、エネルギー摂取量が制限された条件で行われている。
試験の結果は、葛の花イソフラボンの成分であるテクトリゲニン類を1日34.9㎎摂取した被験者群が、12週間で体重が1.1㎏減り、プラセボ群は0.1㎏減って、その差が1㎏。ウエストは被験者群が0.9㎝減、プラセボ群が0.1㎝減で、その差が0.8㎝。腹部総脂肪面積は、被験者群が36㎠減り、プラセボ群が15㎠減り、その差が20㎠だったという内容だ。
体重が約74㎏、ウエスト約93㎝ある人が毎日9000歩歩き、1日の摂取カロリーを2000 Kcalに制限して12週間飲み続け、体重が1.1㎏、ウエストが0.9㎝減った。その差は1日の誤差の範囲であると、試験結果が適切に伝えられた場合に、消費者はこの商品を果たして選択するのだろうか。
トクホ関与成分で許可
ウエスト気になる方の許可疑問
東洋新薬からの申請に基づき、葛の花エキスを関与成分としたトクホ (特定用保険食品)は 2016年3月2日に許可され、「お腹の脂肪が気になる方、お腹周りやウエストサイズが気になる方、体脂肪が気になる方、肥満が気になる方に適した食品」とされている。
トクホの場合は根拠資料が公表されていないが、根拠資料が上記の論文だった場合は、なぜ、ウエストサイズが気になる方への表示が許可されているのか疑問が残る。肥満でなくてもウエストサイズを気にしている人は多い。肥満ではない人のデータはない。
機能性表示食品への届け出が行われた後で、東洋新薬からトクホの許可申請が出され、現在東洋新薬の8商品でトクホが許可されている。しかし、実際には販売されておらず、販売予定も示されていない。機能性表示食品として、45商品が販売されている。
「機能性成分の効果の程度」
消費者分からないまま商品選択
政府の規制改革会議は、事業者の届け出資料の簡素化の検討を求めているが、消費者庁のデータベースを検索しても、公表されている届け出資料から、一般消費者は、試験の対象者の詳細や前提条件を知ることすらできない現状がある。商品選択に不可欠な機能性関与成分の効果の程度が分からない。
さらに、一般消費者が消費者庁のデータベースを検索してから、商品を選択することは想定しがたい。
事業者の責任で、機能性関与成分の効果をうたって販売している商品に、機能性関与成分の効果の程度や、どのような人を対象としている商品かが、正しく記載されないまま販売されているおかしな現状がある。
しかも、ウエスト90㎝を超える人たちの試験結果しかないにもかかわらず、自分にも効果があるように誤認させている。期待した効果がないものを買わされたのでは、金銭被害につながる。日本の食への信頼を揺るがしかねない。制度の見直しが求められる。
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ニッセン、太田胃散
ありがとう通販は 販売中止
措置命令を受けた16社のうち、ニッセンと太田胃散、ありがとう通販はすでに販売を中止している。スギ薬局は、販売を一時中止し、要望がある人には販売を続けている。
テレビショッピング研究会とCDグローバルは、今後の販売について「検討中」と回答している。返金対応では、販売した商品全品を返金する措置を講じたのはニッセン1社にとどまっている。
ニッセンは「顧客に真摯に適切に対応する」との方針から、9月1日から6日かけて購入者全員 1136人 に会社から連絡をし、全額返金する措置を取った。商品も本年5月に販売を中止している。
全品返金ニッセン1社
返金対応に各社で差
太田胃散も6月には販売を中止し、「顧客から要望があった場合は返金する」と話している。
ありがとう通販は今年2月に新規顧客への販売を中止し、8月末にはすべての販売を打ち切った。希望者への返金にも対応している。「措置命令を真摯(しんし)に受け止め、反省している」とし、「機能性関与成分がトクホの関与成分ということもあり、消費者利益に資するものをということで手がけた経緯があり、困惑・混乱しながら対応した。根拠論文の精査まで事業者が対応するのは難しく、より良い方向に行くきっかけになってほしい」と話す。
多くの事業者は申し出た顧客には返金に応じると回答しているが、それぞれの対応には差がある。申し出た顧客にはすべて返金すると回答した事業者、原則未開封の商品に対応するとした事業者、商品自体に問題はないため、説明しても納得できない場合や強い希望があった場合に返金すると回答した事業者など、事業者によって、受け止めや返金の対応に差があった。
ステップワールド、ハーブ健康本舗
取材に応じず
「ヘラスリム」を販売するステップワールドは、電話取材には応じずメールでの対応を求めたが、メールで質問を送付し何度回答を求めても1週間たっても回答は着ていない。
「シボヘール」を販売しているハーブ健康本舗は、「今は担当者がおらず、終日帰ってこない」「担当者がいつ帰るかわかる人間がいない」などの回答を連日繰り返し、その対応がマニュアル化されている。これら2社の対応は、過去に取材してきた悪質業者と酷似している。
さまざまな事業者が機能性表示食品を取り扱っている状況があることがうかがえた。
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「個人の感想」「個人差あり」 表示の効果打ち消せず
今回の措置命令では、「ウエスト53㎝のパンツがはけたときは、本当に驚き」「ウエストが細くなった!友人からも大絶賛」などの個人の感想を掲載し、「※個人の感想です」「効果を保証するものではありません」などと記載しても、その表示から受ける認識を打ち消すものではないとして11社の違反を認定している。
11社で違反を認定
「打消し表示」の考え方実践
違反が認定されたのは、「ウエストが細くなった!友人からも大絶賛されました。ウエストが細くなっていくのを実感できるんですよ。本当にびっくりしました」などの感想の後に「※個人の感想であり、実感には個人差がございます」と記載した場合。
「夢のワンサイズダウン」「もう隠さなくて大丈夫」「毎月1㎏ずつ減ってきているんです。ぽっこり、ぶよぶよだったお腹にくびれが・・・」と個人の感想を記載した後に「※使用感には個人差があります」と記載した場合。
くびれのある細見のウエストの写真とともに「ズボンをスラっと履けるのが、こんなに快感だったなんて!」と記載し「※2:上記臨床試験結果は平均値であり、すべての方に効果を保証するものではありません」等と記載した場合など。
消費者庁は7月に「打消し表示に関する実態調査報告書」をまとめ、この中で、体験談を用いる場合の留意事項を示していた。食事や運動など必要な事項がある場合や、BMIが25以上など特定の条件の者しか効果が得られない場合、体験談を用いることで、だれでも効果が得られるような認識を抱くとして、事業者が行った試験の被験者の数や属性、体験談と同じような効果や性能等が得られた人が占める割合、得られなかった人が占める割合などを明瞭に表示すべきとしていた。
今回の措置命令は、実態調査報告書で消費者庁が示した景品表示法上の考え方を、個別の行政処分に初めてつなげた事例ともいえる。今後も、この考え方に沿って、広く個別事案の処理につなげていくことが期待される。
日本消費経済新聞11月15日号から