2014年3月9日日曜日

景表法等改正案 「政府の措置」として課徴金1年以内の検討を規定

「不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する法律案」が7日、与党政策責任者会合で了承され、11日に閣議決定されることが決まった。

 この法案は、束ね法と呼ばれる手法が取られている。3つの法律を併せて改正する。
                 

   1条  景品表示法改正部分
   2条  消費者安全法改正部分
   3条  国民生活センター法改正部分
   4条  政府の措置
   付則  施行期日、経過措置(消費生活相談員 現在の3資格保有者の移行措置)

   で構成される。

 ◇「政府の措置」として

  施行後1年以内に課徴金制度の整備について検討を加え、必要な措置を講ずる

  ことを盛り込んだ。



景表法改正部分では、このほか以下が規定される

◇ 事業者に 景品提供・表示を適正に管理するための体制整備を義務付け

◇ 国と地方の監視体制を強化

   ・道府県知事に「措置命令権限」と「合理的根拠提出要求権限」を委任。

      消費者庁長官の事務の一部を委任するとし、政令で定める

     ・事業所管大臣等に、「調査権限」委任
        
     緊急・重点的に対処する必要があると認めるときに事務の一部を委任すると     し、政令で定める 

 ◇ 適格消費者団体への情報提供

 ◇ 施行は公布から6か月     
                    詳細、条文は日本消費経済新聞15日号

 2月28日閣議決定予定がずれ込んだ。
 3月5日、自民党消費者問題調査会、内閣部会合同会議が了承
 3月6日、自民党政調審議会、公明党政調全体会が了承
 3月7日、自民党総務会、与党政策責任者会合で了承された。

2月14日の自民党消費者問題調査会では、一部消費者団体が消費生活相談員の現3資格保有者の移行措置、守秘義務規定の罰則等で反対意見を表明。了承されないまま2月28日まで調査会は開かれなかった。

課徴金1年以内の検討規定でも調整に手間取ったと見られる。

消費者安全法改正案 都道府県に「指定消費生活相談員」 努力義務規定に変更

 11日に、景表法、消費者安全法、国民生活センター法の一括改正法案が閣議決定される。

消費者安全法改正部分での、これまでの検討内容からの変更点は以下。

都道府県知事は、都道府県の消費生活相談員の中から
 市町村の相談業務を援助する者を
 「指定消費生活相談員」として指定するよう努めなければならない


 特定消費生活相談員で検討されてきた名称を変更し、
 必置義務ではなく、努力義務とした。

 条文上は、都道府県の消費生活相談員の中から指定されるが、
 市町村の相談員からヘッドハンティングしてきてもかまわない。
 都道府県に委ねられる。

市町村の相談業務の都道府県の代替実施規定は、法案に盛り込まれていない

 今国会提出予定の「地方自治法改正案」(18日国会に提出)に 
  
  「事務の代替執行」制度の創設 が盛り込まれる。
 
 普通地方公共団体は、その事務の一部を、その地方公共団体の名で、他の普通地方公共団 体の長等に管理・執行させること(事務の 代替執行)ができることとする 。

 例えばA市の相談業務を B県がA市の名前で実施することができる。
     A市の相談業務を C市がA市の名前で実施することもできる。
     垂直補完も、水平補完も可能とする。
        双方の自治体の議会での議決が必要。
                                         ← 追加

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法定化される消費生活相談員、新たな国家資格試験の科目、現3資格保有者の移行措置、登録試験機関はどう規定されているか。

消費生活相談員の要件】

「消費生活相談員資格試験に合格した者又はこれと同等以上の専門的な知識及び技術
 を有すると都道府県知事又は市町村長が認めた者でなければならない」

 
【消費生活相談員資格試験】
・試験科目 ①商品・サービスの消費安全性に関する科目
        ②消費者行政関連法令に関する科目
        ③消費生活相談の実務に関する科目
        ④「内閣府令で定める」科目
  ・受験手続、実施細目は「内閣府令で定める」

【移行措置】
  ・施行時に3資格のいずれかを有し、「内閣府令で定める」一定期間の実務経験を有する者は、消費生活相談員資格試験に合格した者とみなす

・施行時に3資格のいずれかを有し、「内閣府令で定める」ところにより、
 内閣総理大臣の指定する講習会を修了した者は、施行後5年以内に限り、
 消費生活相談員資格試験に合格した者とみなす

ちなみに 3資格とは
  ①消費生活相談専門員資格
  ②消費生活アドバイザー資格
  ③消費生活コンサルタント資格


【登録試験機関】
  
  登録要件法人(4要件すべてに適合する機関)から申請があったときは、
  消費生活相談員資格試験の登録試験機関として登録しなければならない

   <登録要件>
   次の要件に全て適合しているときは、登録をしなければならない
    上記試験科目について試験を行う
    次のいずれかに適合する試験委員が問題の作成、判定を行う
          イ 大学の民事法学、行政法学、経済学に関する科目を担当する教授、准教授、その職にあった者
          ロ 国、自治体の職員で試験科目について専門的な知識を有する者 
          ハ 消費生活相談に5年以上従事した経験を有する者
          二 イ~ハに掲げる者と同等以上の知識・経験を有する者
    信頼性確保のための管理者専任の部門が置かれていること
    債務超過の状態にないこと


施行は公布から2年以内、指定消費生活相談員は5年以内

                詳細は、日本消費経済新聞15日号

                 
果たしてこれで、何が変わるのか

重要なものはほとんど内閣府令に落ち、現実の資格試験がどうなるか条文案を見てもなおよくわからない。
例えば、現在の3資格試験実施機関が全て登録試験機関となるのか。
民業圧迫と批判が出たときに、国民生活センターは手を挙げられるのか。
仮に3機関が登録し試験をした場合、合格率が高いところに受験者が集中することが予想されるが、
試験が易しくならないようにだれがどうチェックできるのか。

現在試験がないコンサルタント資格に試験が導入される以外
3資格がそのまま新資格に移行するように見える。

現在の消費生活相談専門員資格試験は、法律を広範にかなり細かく勉強する必要があり、特商法や消費者契約法などは逐条解説も知っておかなければ回答できない。法律知識に偏っているという批判もあるが、消費者関連法の知識がこの水準を下回ったのでは、質の向上とは言えないだろう。

一定の実務経験があればすべて資格試験に合格したものとみなす移行措置で、一定の水準が確保できるのか。

この法案の新資格試験の仕組みでは相談員の処遇改善にはつながらない。
変に期待されても非常勤や雇い止めをこの新資格で変えることはできない。
そんな消費者行政担当職員からの声が多く聞かれる。

3資格の上に新資格を作るべきではないのか。
統一した1つの試験が必要なのではないか。
そんな意見は根強くある。

既得権益を守るのではなく、都道府県や市町村の相談の質をどう向上させるのかが問われている。それこそが、今後の相談員自身のためになるのではないか。