4月11日の参議院財政金融委員会、4月5日の参議院消費者問題特別委員会で、日本共産党の大門実紀史氏は、消費者庁が2度の業務停止命令を出した「ジャパンライフ」(東京都千代田区、山口隆祥会長)の問題を追及した。銀行預金や保険を解約させてお金を吸い上げるなど、消費者庁が公表していない悪質な勧誘の手口を明らかにし、業務停止命令が出された後も預託契約が行われレンタルオーナーが拡大している問題にどう対応するのかを厳しくただした。
大門氏が参院で追及した内容は、大きく①政治家や経産省・内閣府官僚OBの関与②悪質で巧妙なジャパンライフの勧誘の手口の2つ。2回目は②について報告する。
「減価償却10年間無税」と勧誘
現物なければ減価償却できない
11日の財政金融委員会では、ジャパンライフ元営業部員から入手したという勧誘に使われた資料が配布された。「8つのメリット」をうたっている。
4番目に「減価償却で10年間は無税」、8番目に「10年後も、物件の相続税評価額が100%免除」とある。
大門氏は「磁気ネックレスは、国税庁の耐用年数表によると、医療機器に当たり、主として金属製のものは10年となっている。毎年減価償却をして10年後にはゼロになるから100%免除ということだろうが、実際に現物のレンタルを行っていないペーパー商法で、で減価償却費は認めるのか」と国税庁に質問した。
これに対し、国税庁の飯塚厚次長は、「現物がないという状態であれば、取得していない資産が減価償却資産になることはない。減価償却費を計上することはできない」と回答している。
60万円のベスト原価8千円
定期預金、生命保険を解約させる
5日の消費者問題特別委員会では、ジャパンライフ元社員の話として、時期の原価や勧誘の手口の詳細も明らかした。
「60万円の磁気ベストの原価は、8千円~1万円」と報告。「おばあちゃんが大量に契約させられ、商品のやり取りは実際に行わず、『投資ですよ』と勧誘している」。「エステやマッサージをしてあげると親切に近づいて最初は100万円くらいのネックレスから、1年で8回も一気に1700万円も契約させている」。「レンタル料は6%、1千万円預ければ年間60万円の収入になるので銀行に預けるよりいいとジャパンライフ社員が銀行までついて行って定期預金を解約させる。生命保険も解約させてお金を吸い上げる」など、消費者庁が公表していない手口を明らかにした。
「レンタル料の6%は一応払うが、おばあちゃんから出させたお金から本人に渡しているだけ。いつかは破たんするスキーム」と述べた。
2回目の処分後も会員に新聞配布
「さらに拡大へ向けまい進」
同日、大門氏は、2回目の行政処分の翌日に発行された2017年3月17日付の健康ジャーナル特別号を資料として配布した。
「健康産業のパイオニア企業」として山口会長のインタビュー記事が掲載され、「2015年10月から店舗販売に特化、訪問販売、連鎖販売取引、預託販売は一切行わない」「今後もスタンスは変わることなく さらに拡大へ向けて邁進」などの見出しが躍っている。
「この新聞は一般には配っていない。わざわざ独自に印刷をして、会員を安心させるために配っている」と説明した。
2度の行政処分後も営業
レンタルオーナー増やす
大門氏は、「山口会長が処分は不当だと主張し、通常営業を続け、各地の施設やホテルでセミナーを開催し、レンタルオーナーを増やしている」として、「消費者庁はどうするのか」とただした。
これに対し、消費者庁の川口康裕次長は「店舗販売を行ったこと自体は、命令に反しているとは考えていない」と答弁。見出しの1つについて、「2015年10月以降も同社が、預託取引、訪問販売、連鎖販売取引を行っていると判断した上で、2015年12月に行政処分を行った」と説明した。
大門氏は、「預託販売とは言わず、賃貸借契約に言い方を変えているだけ」と、再度業務停止命令に違反した場合の答弁を要請。川口次長は「消費者庁の業務停止命令に従わない場合は、警察などの捜査機関に対し、刑事告発を行うことになる」と答弁した。
本紙には、1回目の業務停止命令の後に、訪問販売で高額な預託契約を結ばせている事例が報告された。業務停止命令を出した後も被害が拡大している。消費者庁はこの状況を放置することは許されない。
大門氏は、「業務停止命令違反、契約者を安心させる会員への新聞配布なども含め、きちっと対応する」ことを要請した。
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消費者庁元課長補佐 2014年7月末の報告内容明らかに
「違反確認できなかった」「財務状況確認急がれる」
水庫元課長補佐が2014年7月30日に、当時の課長に報告した内容が、5日の消費者特で明らかにされた。消費者からの聞き取りは2件しか行わず、「違反行為が確認できたものは皆無」と報告していた。これを踏まえて、2014年9月と10月に文書による行政指導が行われたと見られる。
ただし、この報告書には、「経営が悪化している」として、「財務状況を確認することが一方では急務」とただし書きがあったことを大門氏は明らかにした。