2013年12月7日土曜日

消費者被害集団回復裁判特例法、4日成立。消費者に被害回復の道。損害賠償請求で悲願の原告資格。

「消費者被害集団的回復裁判手続特例法案」は124日、参議院本会議で全会一致で可決され、成立した。

12月11日に公布された。

7年の歳月をかけ消費者団体はようやく損害賠償で悲願の原告資格を手に入れた。

これによりこれまで個人では裁判に踏み切れなかった消費者に、被害回復の道が開かれることになる。

施行は公布した日から3年以内。

裁判に参加しやすく 費用や時間も節約
消費者が2段階目に裁判に加わるための費用は1000円
(特定適格消費者団体への手数料が別途必要)

消費者団体が起こすことができる裁判には、消費者が参加しやすい画期的な仕組みが盛り込まれている。

裁判が2回に分けて行われるのが大きな特徴。

【1段階目】

内閣総理大臣が認定・監督する「特定適格消費者団体」が、独自の判断で裁判を起こす。

事業者に損害を賠償する責任があるかどうかを争う。

      ↓
    勝った場合のみ
         
         ↓
 
【2段階目】


消費者が自らの判断で裁判に参加する。

参加するための費用は1000円(裁判所に支払う金額)
特定適格消費者団体への手数料、通知公告費用、弁護士費用
などが、払い戻される被害額から差し引かれることになる

簡単な手続きで被害額が戻ってくる。


一定の見通しが立った段階で裁判に加わるかどうか決めることができる。
このため、これまでに比べ飛躍的に裁判を利用しやすくなる。
お金と時間も飛躍的に節約できる。


濫訴防止へ慎重設計 
食材偽装は対象、カネボウの白斑問題は化粧品代のみ

ただし、乱訴の恐れがないように慎重に設計され、対象になる範囲が限定されている。


具体例でみると

食材偽装は、この裁判の対象になる。

勝訴した場合は、表示されていた食材と実際に食べた食材の価格差を戻してもらうことができるとみられる。

カネボウの白斑問題も対象にはなるが、
損害賠償請求ができるのは、支払った化粧品の代金のみ。

治療費や仕事を休んでしまった場合の補償、精神的な苦痛を受けたことによる慰謝料などは対象にならない。


施行前の契約は適用除外 (不法行為のみ加害行為)

経済界の要請で、施行前の契約には適用しない規定が入った。

3年後にこの法律が施行されても、これまでに起きた食材偽装問題やカネボウ白斑問題では損害賠償の請求ができないということになる。

今後、同じような問題が起きて裁判が提起された場合、施行日以後に買った化粧品の代金は対象だが、施行前に買った化粧品の代金は対象にならないという奇妙なことになる。

同一事案で対象にならない被害は

国民生活センターのADR(裁判外紛争解決)
消費生活センターのあっせん        で、対応することになる。



ちょっと専門的だが、

不法行為のみ 施行日前に行われた加害行為が適用除外

例:家を建てる契約をした後、建築会社が倒産することが分かっているにもかかわらずうそを言って追加の代金を支払わせた場合。

追加代金を支払わせた行為が加害行為だ。
加害行為が施行日以後に行われれば、契約が施行前でも対象になる。


適格消費者団体わずか11団体
特定適格団体への支援が課題


特定適格消費者団体は、施行後、内閣総理大臣が認定する。

要件は

適格消費者団体として2年程度、消費者の消費者被害防止への活動実績が必要。

適格消費者団体=消費者契約法で無効や取り消しの対象になる契約、
       特定商取引法、景品表示法、食品表示法(施行は16年6月まで)に違反す        る悪質な勧誘行為や虚偽表示を差し止める裁判をする。

       裁判の前に、事業者に改善を要請する。

       この活動をちゃんとやってないと特定適格消費者団体にはなれない。


さらに、経理的基礎などの新たな認定要件が付加される。

        (詳細は今後検討され、ガイドラインで示される。
         併せて濫訴防止のため、報酬や費用の額算定方法なども)

でも、まだこの適格消費者団体が全国に11団体しかない。
   四国や東北には、1つもない。

弁護士や消費生活相談員などがボランティアでかかわっている団体がほとんど。
ほとんど会費で賄っている状況で、お金がない。

1段階目の裁判で勝ったことを消費者に知らせるお金は消費者団体持ちだが、
HPに載せただけではなかなか知ってもらえない。

財政支援や情報面での支援を検討することが衆議院の修正で追加されている。


知って、使って。対象範囲拡大へ

長年かけてようやく実現するこの画期的な制度を知って、

積極的に活用し、

さらにより多くの消費者被害を回復できるよう、対象となる範囲を広げていくことが期待されている。(衆議院の修正で施行後3年で対象範囲の見直しが盛り込まれた)

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参議院消費者問題特別委員会の審議日程で、動きがあったのは2日午前中。

特定秘密保護法案にかかりきりの森消費者相の日程が翌日確保できる見通しがついた。

理事懇談会が開かれたのは、2日午後5時半だった。

参議院消費者問題特別委員会は3日午前10時から1時間45分の審議を行い、
全会一致で法案を採決した。

衆議院消費者問題特別委員会は同日午後1時30分から4時間、
食材偽装問題で集中審議を行った。

議員から質問が出そろったのは、2日深夜。消費者庁の担当職員は皆、徹夜だった。

皆様、本当にお疲れ様でした。





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