相談員資格試験機関に登録制
都道府県に「特定消費生活相談員」
来年通常国会への提出を目指す「消費者安全法改正案」の骨格が11月20日、
明らかになった。
「消費生活相談員」を法律に明記し、一定の要件を満たす資格試験機関を内閣総理大臣が登録する登録制を導入。要件を満たせば複数の団体の登録を認める方針で、現在ある3資格はそのまま国家資格に移行する。
都道府県の役割に、消費生活相談、市町村への助言・援助、市町村の相談事務の代替を追加。都道府県に一定の実務経験を積んだ「特定消費生活相談員(仮称)」を配置する。
これに対し「現場にはまったく知らされておらず、やり方が乱暴」「現在ある資格の上位の国家資格でなければ、質の向上、待遇改善につながるとは考えられない」「特定消費生活相談員は経験年数では判断できない。だれがどういう基準で選ぶのか」などの意見が出ている。
消費者庁の地域体制のあり方意見交換会が10月22日に発足。ほとんど議論の深まりはないまま、相談員資格については何一つ議論されないまま、2回目の会議で骨格案が提示された。
12月6日、最終案がまとまる。
地方自治体はこの骨格について知らないところがほとんどだったが、
現場の声は反映されているのか。
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消費者安全法改正案 骨格
【消費生活相談員を法律に位置付け】
◇「消費生活相談員」を法律に明記
・地方自治体で消費生活相談を行う専門職として法律上位置付け
・消費生活相談員に求められる知識・技術を判定する資格試験制度を設ける
・資格試験の合格者または同等以上の知識・技術を有する者を消費生活相談員として任用
◇ 登録試験機関制度を導入
・要件を満たす試験機関を内閣総理大臣が登録する
・実施科目、実施することができる試験機関の要件を列挙
◇ 都道府県に「特定消費生活相談員(仮称)」
・都道府県に、一定の実務経験を積んだ「特定消費生活相談員(仮称)」を配置
【都道府県、国、国民生活センターの役割明確化】
◇ 都道府県の役割に市町村への助言・援助、市町村の代替相談
・都道府県は、消費生活相談や裁判外紛争解決手続(ADR)等の実施、管内市町村に対する助言・援助、広域連携の推進、市町村の相談事務を代替を明記
◇ 国・国民生活センターの役割を追加
・国の役割に、制度的な枠組みの整備、関係省庁間の連携確保を追加。財政面での支援等の援助が盛り込めるか検討中
・国民生活センターのADRを追加
◇民間委託に守秘義務
・消費生活相談等の民間委託を行う場合は、適切な受託団体を選定し、質を確保、守秘義務を課す
【地域ネットワークの法的根拠に地域協議会】
◇ 「地域協議会(仮称)」設置を法律に明記
・地域ネットワークの法的根拠規定として、地域協議会(仮称)の設置を法律に明記
・地方消費者行政を多面的にサポートする「協力員」や「協力団体」も規定
◇ 守秘義務、情報管理措置を規定
・消費者関連情報を「地域ネットワーク」に適切に提供できるよう、相談業務に携わる人(行政職員含む)、地域協議会に参加する人に守秘義務を規定
・個人情報を見守りの目的以外に使わないなどの情報管理措置を整備
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相談の質向上と矛盾しないか
現場に知らされず、やり方乱暴
この案に対し以下の意見が出ている。
吉川萬里子・全国消費生活相談員協会理事長
「相談の質を向上させるというのであれば、一定の試験が必要。いろんな機関が実施する試験で認定することが本当にいいのか。相談員の質を向上させるということと、裾野を広げ多くの団体の資格を認めていくことは矛盾する」
「特定消費生活相談員は職員と同等の位置づけになるのか。市町村で実務経験を積んだ相談員とのバランスをどう考えるのか。慎重な検討が必要。
池本誠司弁護士
「高い水準の質を確保するというのは正論だが、その一方で、3つの資格のいずれも持っていない人が25%いるという現実論の問題がある。継続的な研修や更新制度を国の制度としてきちんと位置付けていくことが需要ではないか」
青山理恵子日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会副会長
「意見交換会でしかも何の議論もないままに、このような案を提示してくるのは乱暴もはなはだしい。現場の相談員らにはまったく知らされておらず、混乱を招く。現状維持のまますべてを国家資格にするという内容で、質の向上が図れるのか。相談員の待遇改善につながるとも考えられない。都道府県の一定の実務経験者を特定消費生活相談員にするというが、だれがどのような基準で選ぶのか。基準の明確化は困難で、過去の失敗の轍を踏まないでほしい」
地方の消費者行政担当職員
「消費者安全法改正案の骨格が示されたことを全く知らない」
「相談員の待遇改善は、上位の国家資格を創設し必置義務にしなければ難しい」
「特定消費生活相談員は、経験年数を積めばいいというわけではない」
「地方自治体に予算がつく仕組みを検討してほしい」
「都道府県の市町村支援、垂直支援を法制化するということか」
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この骨格案について情報を入手したのは、10月中旬。
現在3つある相談員資格をそのまま国家資格にする。都道府県の相談員のうち、5年程度の実務経験者から特定消費生活相談員を選定する。そんな内容だった。
確かPIO-NETも法律に位置付けたいという話もあった。
この案が本当に骨格案として出てくるのか。
案として出るまでに消える可能性が高い。そう感じた。
しかし、現実に、表舞台では何の議論もなされないまま骨格案が出てきた。
では、水面下での調整が図られたのか。
実はこれもなされている様子がない。
各団体に消費者庁が詳細な説明に回ったのは18日。委員に骨格案が提示されたのはその1日か2日前というのが取材で把握した内容だ。18日夜あわてて各団体に取材したが、「納得などしていない。内容がよくわからない」などの声が多かった。
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相談員資格の問題は、各団体の利害が関係するため、合意を図るのは容易ではない。
消費生活相談員には、現在、
①消費生活専門相談員
②消費生活アドバイザー
③消費生活コンサルタント の3つの資格がある。
このほかに、北海道では、北海道消費者協会が独自に相談員を養成している。
①②は、試験と面接があり、合格率は4分の1程度。試験の内容は異なる。
③は、最初に適性を判断されるが、講習を受けレポートなど簡易な確認でほぼ受講者 全員が資格を取得できる。
北海道消費者協会の養成も、難しい試験があるという話は聞かない。
地方消費者行政活性化基金を活用して、地方自治体で消費生活相談員が養成されたが、地方自治体にとってありがたい仕組みは確実に有資格相談員を養成できる③だった。
消費生活相談員は増え、3391人になったが
そのうちの822人は、3資格のいずれの資格も持っていない。
未だに4割の市町村に相談員がいない。
過疎の市町村は7割が相談員がいない。
高齢者が4割を超える市町村では、8割弱が相談員がいない。
もっとも必要とされているところに相談員がいない現状がある。
さらに、相談員のほとんどが非常勤で、1年ごとの更新契約
3年から5年の雇い止めがある自治体が2割ある。
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今回提起された骨格案だと、
一定の要件に基づき、③もその他の団体も登録機関となる場合は、試験や面接は行うことになるだろうが、試験内容はマチマチ。①や②が現状よりやさしくなる可能性すらある。
それですべてを国家資格とするという案だが、これでは、図書館司書の二の舞になることは目に見えている。
過去の試験合格者はそのままスライドすることになるだろう。本来試験をすべきだが、何のメリットもないものに負担のみ増えるとの批判が出るのも目に見えている。
格差を埋め、質を向上させるどころか、一定のレベルに達していない相談員を国家資格保有者にしてしまうことになる。
特定消費生活相談員も、2重行政が問題視される中で、都道府県の役割に市町村支援を追加し、その人材として配置するという説明は理解できる。
しかし、現実には都道府県の方が雇い止めを実施しているところが多い。市町村に優秀なベテラン相談員がいる。試験や明確な選定基準なしに特定消費生活相談員を選定しても処遇改善に結びつくとは思えない。どう雇い止めを解消するのか方策も示されていない。
結局大ナタはふるうことができず、
一番文句が少なそうで、簡単にできそうな案を選択したと言わざるを得ない。
現場の意見を真摯に聞くことなく
時間がないとして短時間で結論を急がせる。
やらないよりはましということか。
あるいは、やったことにしなければならないということか。
消費者庁はいつから上意下達になったのか。
決まってから地方自治体に報告するのか。
消費者庁及び消費者委員会設置法付則4項が求めた内容には程遠い。
消費者庁及び消費者委員会設置法付則4項
政府は、消費者庁関連三法の施行後三年以内に、消費生活センター(消費者安全法第十条第三項に規定する消費生活センターをいう。)の法制上の位置付け並びにその適正な配置及び人員の確保、消費生活相談員の待遇の改善その他の地方公共団体の消費者政策の実施に対し国が行う支援の在り方について所要の法改正を含む全般的な検討を加え、必要な措置を講ずるものとする。
消費生活相談員の国家資格制度 意見交換会の最終報告は15日のブログに
現在3つある相談員資格をそのまま国家資格にする。都道府県の相談員のうち、5年程度の実務経験者から特定消費生活相談員を選定する。そんな内容だった。
確かPIO-NETも法律に位置付けたいという話もあった。
この案が本当に骨格案として出てくるのか。
案として出るまでに消える可能性が高い。そう感じた。
しかし、現実に、表舞台では何の議論もなされないまま骨格案が出てきた。
では、水面下での調整が図られたのか。
実はこれもなされている様子がない。
各団体に消費者庁が詳細な説明に回ったのは18日。委員に骨格案が提示されたのはその1日か2日前というのが取材で把握した内容だ。18日夜あわてて各団体に取材したが、「納得などしていない。内容がよくわからない」などの声が多かった。
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相談員資格の問題は、各団体の利害が関係するため、合意を図るのは容易ではない。
消費生活相談員には、現在、
①消費生活専門相談員
②消費生活アドバイザー
③消費生活コンサルタント の3つの資格がある。
このほかに、北海道では、北海道消費者協会が独自に相談員を養成している。
①②は、試験と面接があり、合格率は4分の1程度。試験の内容は異なる。
③は、最初に適性を判断されるが、講習を受けレポートなど簡易な確認でほぼ受講者 全員が資格を取得できる。
北海道消費者協会の養成も、難しい試験があるという話は聞かない。
地方消費者行政活性化基金を活用して、地方自治体で消費生活相談員が養成されたが、地方自治体にとってありがたい仕組みは確実に有資格相談員を養成できる③だった。
消費生活相談員は増え、3391人になったが
そのうちの822人は、3資格のいずれの資格も持っていない。
未だに4割の市町村に相談員がいない。
過疎の市町村は7割が相談員がいない。
高齢者が4割を超える市町村では、8割弱が相談員がいない。
もっとも必要とされているところに相談員がいない現状がある。
さらに、相談員のほとんどが非常勤で、1年ごとの更新契約
3年から5年の雇い止めがある自治体が2割ある。
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今回提起された骨格案だと、
一定の要件に基づき、③もその他の団体も登録機関となる場合は、試験や面接は行うことになるだろうが、試験内容はマチマチ。①や②が現状よりやさしくなる可能性すらある。
それですべてを国家資格とするという案だが、これでは、図書館司書の二の舞になることは目に見えている。
過去の試験合格者はそのままスライドすることになるだろう。本来試験をすべきだが、何のメリットもないものに負担のみ増えるとの批判が出るのも目に見えている。
格差を埋め、質を向上させるどころか、一定のレベルに達していない相談員を国家資格保有者にしてしまうことになる。
特定消費生活相談員も、2重行政が問題視される中で、都道府県の役割に市町村支援を追加し、その人材として配置するという説明は理解できる。
しかし、現実には都道府県の方が雇い止めを実施しているところが多い。市町村に優秀なベテラン相談員がいる。試験や明確な選定基準なしに特定消費生活相談員を選定しても処遇改善に結びつくとは思えない。どう雇い止めを解消するのか方策も示されていない。
結局大ナタはふるうことができず、
一番文句が少なそうで、簡単にできそうな案を選択したと言わざるを得ない。
現場の意見を真摯に聞くことなく
時間がないとして短時間で結論を急がせる。
やらないよりはましということか。
あるいは、やったことにしなければならないということか。
消費者庁はいつから上意下達になったのか。
決まってから地方自治体に報告するのか。
消費者庁及び消費者委員会設置法付則4項が求めた内容には程遠い。
消費者庁及び消費者委員会設置法付則4項
政府は、消費者庁関連三法の施行後三年以内に、消費生活センター(消費者安全法第十条第三項に規定する消費生活センターをいう。)の法制上の位置付け並びにその適正な配置及び人員の確保、消費生活相談員の待遇の改善その他の地方公共団体の消費者政策の実施に対し国が行う支援の在り方について所要の法改正を含む全般的な検討を加え、必要な措置を講ずるものとする。
消費生活相談員の国家資格制度 意見交換会の最終報告は15日のブログに
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