2016年1月28日木曜日

消費者庁徳島移転問題 「消費者庁つぶすのか」与野党国会議員からも反対意見続々

「消費者庁をつぶすことにつながる」「とんでもない」「消費者行政の地盤沈下」「百害あって一利なし」-。消費者庁・消費者委員会・国民生活センターの徳島移転問題で、与野党の国会議員からも懸念や反対の意見が出ている。

「デメリットの方が大きい」
「性急な決定には極めて慎重であるべき」
船田元・自民党消費者問題調査会会長は、こうまとめた。
     
 (船田氏は、衆参で約90時間審議をし消費者庁創設関連3法案を成立させた09年通常国会で、消費者問題特別委員会委員長を務め、創設の経緯、その後の消費者庁の取り組みに詳しい)
調査会後の記者ブリーフィング
船田氏個人の考え方として、

消費者庁が発足してからまだ6年ちょっとしかたっていないまだまだ脆弱な組織。やはり、相対の折衝をする、説得をするということをやっていくにはどうしてもやはり膝詰めで議論していかなければならない。
国会議員への説明も、やはり顔を見ながら話をする、説明をするということをやらないと
なかなか消費者庁の業務が果たせない。
事業者団体、消費者団体、弁護士会などの関係団体が本部はほとんど東京にある
そういう人との話し合い、情報の共有の点でも、東京を離れることによるデメリットの方が大きいのではないか。
もう一つ重要なことは、被害の危機管理でも消費者庁は非常に大きな役割を担っている。やはり東京にある他の省庁と同じ場所にあるというのが危機管理上極めて重要。

との見解を示した。

3月末時点の政府の方針でどのような書かれ方をするか、 現段階では予測できず、情報をきちんと取った上で、言うべきことがあれば閣議決定をする前に物申すことはある」
とも述べている。

                  
参加した議員から
「移転すると機能が落ちるに決まっている。政治的なスケープゴートにしてはならない」
「他の省庁は東京にいて消費者庁だけ移転させテレビ会議で対応できるのか。結論ありきで実証実験をするのは問題」などの厳しい意見が出ていた。
徳島県出身議員が移転賛成の意見を述べた。

   (非公開のため、議員名は書かない。ドアに耳をあてて聞いた意見内容だ。
    野田聖子会長、後藤田正純事務局長体制で同調査会が発足したときに、
    消費者問題はだれもが参加し広く意見を聞くという視点で公開されていた。
    安倍政権が民主党から政権を奪還したときに、非公開とされた。ぜひ公開を)
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114日、消費者団体主催の院内集会 約150人が参加。国会議員からも反対意見が出た。

「消費者庁移転はちょっと待ってくださいと言わざるを得ない。
つぶすことにつながる」
 
船田元・自民党消費者問題調査会会長

「消費者対策本部の中では、とんでもない。日本の消費者行政つぶすのかというような声ががほとんどだった」

公明党消費者問題対策本部 魚住裕一郎本部長
 船田会長と同様の意見であるとし、
「危機管理機能はしっかりやらないといけない。2年前にマラチオンの問題もあり、消費者安全総括官会議を開き消費者庁が下支えをして準備した。消費者庁が行ってしまったら誰が会議を下支えをするのか。サテライトオフィスでは厳しいという思いがある」
 
「ただ、まち・ひと・しごと創生本部で、全然議論がなされていない。
 説明にも行っていない状況がある。皆さんの声に対し、党内、自民ともしっかり議論する」とあいさつした。

 3月末までに閣議決定される状況下で、公明党の発言は大きい 

「今回の移転問題は、きわめて不可解」
「河野さんともあろう人が、認識違いも甚だしい」
民主党 松原仁・元消費者相

 担当大臣になって取り組んだのは、様々な消費者団体と消費者庁の連携を強くすることだった。連携で多くの消費者の声を代弁できると思ったからだ。
信頼関係を作ることにきわめて時間を割いてきた自覚と自負がある。
共通の信頼関係においてしか消費者行政は展開しない。
河野さんには消費者団体ときちっと議論してほしい。
消費者団体の理解を得られないような移転はまずありえない。
東京電力の電力料金、徹底的に議論した。相手は巨大な経済産業省、消費者の利害を代弁するとして大臣折衝するが、部長クラスが向こうからは来ませんからこちらから行って議論する。徳島から行って、消費者サイドの結論を得られたのか。省庁と折衝するのが消費者庁。
大臣の頭の中で構築して進めてきたとしたら、極めて問題ある行動。
まず、消費者団体と話をしてください。合意を取る努力をしてください
合意が取れなければ過ちなんだと自らの襟を直し、方向性を変えてください。
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119日 参議院予算委員会

「消費者問題の地盤沈下を招く」
「もっとも移転してはならない」
社民党 福島みずほ・元消費者相
 「各省庁の監査役の消費者庁が移転すれば、消費者問題の地盤沈下を招く」
「全員を移転させるならいいが、消費者庁だけ移転する。もっとも移転してはならないところを移転させるということではないか」
と追及。移転を考え直すことを求めた。
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119日 民主党・維新の党統一会派による「消費者・食品安全合同部門会議」

「徳島空港は羽田と福岡市か直行便がない」
「初歩的なことから非現実的」
後藤祐一・衆議院議員
経済企画庁で公共料金などを担当していた経験から「各省庁と日々どれだけ接触があるか分かっているのか。あまりに論外」と批判。また、徳島空港は、羽田と福岡しか直行便がなく、「初歩的なことからして非現実的」と述べた。「商品テストはすでに機能しており、新たな施設に国費を出すわけではあるまい」と、問題視した。


3機関が消滅するのではないかという危機感を感じている」
消費者庁政務官を務めた金子恵美衆議院議員
「現場の声を活かし、皆さんの意見を取り入れて育ててきたのが消費者庁。
この議論はやめた方がいい」と、移転に強く反対した。

「中央省庁とどのくらい折衝するか定量的に示し、優先順位をつけるべき」
井坂信彦共同座長(維新の党消費者特担当主査)
「総務省や国交省など地方を対象とする仕事の中身を本気で検証すれば新しい展開があるはず」と、地方から招致を提案させる手法自体に疑問を投げかけた。「東京にいなければならない度を定量的に示し、優先順位をつけるべき」と提起した。創生本部自体が地方に移転する発想はなかったのかとも問うている。

「創生本部に設置された有識者会議で中央省庁についてはほとんど論じていないという割には、事態が進展し説明と実態がずれている」
阿部知子共同座長(民主党ネクスト内閣府特命担当大臣)
決まってしまう前に審議の経緯が分かるよう、透明性のある検討が必要と指摘した。

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121日、参議院決算委員会

「百害あって一利なし』
安井美沙子参議院議員
消費者庁は、危機管理の緊急性を考えても、全省庁と立法府との緊密な連携の観点からも、実は全省庁の中で最も移転に向かない省庁だと思っている。
はっきり言わせていただければ、消費者庁の移転は百害あって一利なし。そこまで思っている。すぐに検討を中止していただきたい。
中央省庁を必ず移転させるというのであれば、お出しになった勘案事項に忠実に危機管理や対面業務に無縁な省庁を選んでいただきたい。


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1月20日 自民党調査会で河野大臣反論

「地方で仕事ができない役所、つぶした方がいい」
河野太郎消費者相

消費者庁16年度予算案等を審議する同調査会に出席した河野太郎消費者相は、
「地方へ役所が行ったら仕事ができないくらいの役所だったら、そんなもんつぶした方がいい」
「やってみてどうなのかを見た上で、物事は議論することを徹底する」と述べた。
消費者庁の徳島移転問題でヒアリングをした結果、慎重論が大変多数を占めたと報告した船田会長に、反論した格好だ。
 ニュートリノ振動(質量がないと思われていたが、はかってみたらあった)などを例に、「しのごのやらない理由を見つける前に、試してみて、本当に何が問題なのか明確にして、それをどうやって解決するのかを考える。21世紀だから、いろんなことがあり得る」
テレビ会議でお医者さんが病人の診察をやろうというときに、テレビ会議で物事を決められないということを霞ヶ関が言っていたら、世の中に笑われる」と話している。

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