2017年11月27日月曜日

消費者庁天下り問題⑭ ジャパンライフ3度目の業務停止命令 2度の処分後、新規契約2000人120億円

 2度の業務停止命令出しても、停止された磁気治療器のレンタルオーナー商法ではなく、磁気治療器を購入して体験し、拡販宣伝する業務提供誘引販売取引(モニター商法)だとして、同様の契約を続けてきたジャパンライフに対し、消費者庁は1117日、ようやく、業務提供誘引販売取引も1年間停止する3度目の業務停止命令を出した。消費者庁は事業者の主張を是として処分をしたが、2度目の行政処分以降、新規契約者は約2000人、契約額は120億円(事業者報告)に上った。ジャパンライフは8月末には業務提供誘引販売を中止したとし、今度は同様の取引を「リース債権譲渡販売」として拡販するための説明会を全国各地で展開している。消費者庁取引対策課元課長補佐の同社への天下りが発覚する前後から、消費者庁は後手後手の対応で、消費者被害を拡大させてきた。今回の処分は、2016年度末の純資産額が338億円の赤字であることを顧客に通知した同事業者の破綻につながるのか。それともまた、イタチごっこを繰り返すのか。行政処分は、新たな消費者被害の防止が最大の目的だが、対応の遅れは致命的といえる。業務停止命令違反を問うには刑事告発が必要だが、消費者庁は刑事告発をしているかどうかも、明らかにしていない。

後手後手対応では、被害抑止できず
レンタルオ―ナー  業務提供誘引販売取引 ➡今度は「リース債権販売」

ジャパンライフの業務提供誘引販売のチラシ
 ジャパンライフは、磁石がびっしり埋め込100万円から600万円もする磁気治療器(ネックレスやベルト、ベストなど)を販売し、レンタルするとして、1年間に販売価格の6%を「レンタル料」として支払ってきた。業務停止命令を受けた後は、拡販宣伝をするという名目で「月額活動手当」として、これまでと同様、年6%を支払う契約を続けていた。

 1度目(20161216)と、2度目(2017316)の行政処分で、1年間の業務停止命令が出されたのは、訪問販売と預
託取引、連鎖販売取引(マルチ商法)。ジャパンライフは、業務停止命令の対象にならない業務誘引提供販売取引だと主張してきた。
上記写真の磁気ベルトは320万円。購入して装着して
体験し、友人や家族などに紹介するという名目で、
月額1万6000円の「月額活動手当」がもらえる仕組み


事業者の言い分「是」
業務提供誘引取引を1年間停止
 3度目の今回、消費者庁は、この業務提供誘引販売取引に1年間の業務停止命令を出した。
消費者庁は、事業者の主張通り、新しいビジネスとして、「商品を購入し、商品を自ら装着して体験をし、友人、知人、家族に紹介をして、宣伝拡販すると業務提供利益を得られる」業務提供誘引販売取引をしていたとして、行政処分を行った。
業務提供利益(対価)は、購入した商品の定価の6%。写真の磁気ベルトの定価は320万円。
これを購入して装着して体験すると、拡販宣伝費の名目で、年間16000円の月額活動費が入る仕組みだ。
業務提供誘引販売の概要書面。
これが整備されたのは2017年
6月以降と見られる
ノルマや出来高払いなどは一切なく、自ら装着するだけの契約者もいた。取材では商品が開封されないまま、月額活動手当が支払われているケースも確認できた。
契約期間は、最長20年。商品については一部支店で預かっているものもあるが、ほぼ、提供されていたとみられる。
購入した磁気治療器のその後の扱いについて、契約の概要書面には何の記載もない。

338億円の赤字、故意に告げず
解約、複数の従業員が面接し妨害
 認定した違反事実は、①勧誘目的等不明示(「エステやマッサージが受けられる」などと、勧誘目的を告げていない)②故意の事実不告知(20177月に公認会計士から取締役会に約338億円の大幅な債務超過があることが報告されたにもかかわらず、判断に影響を及ぼす大幅な債務超過があるという事実を故意に告げていない)③契約書面不交付(契約書面を交付していない)④迷惑解除妨害(解約を申し出た人に、複数の従業員との店舗での面接を強い、解約を妨げた)4つ。

業務停止命令と併せて、2度の業務停止命令以降に契約した顧客に、1218日までに業務停止命令の内容や2016年度末時点の純資産額が338億円の赤字(債務超過)であることなどをわかりやすく通知し、同日までに消費者庁長官
説明11月14日付で顧客に発送された
「リース債権販売開始」のお知らせを追加
に報告することを指示した。

70歳以上高齢者75
地方の高齢女性がターゲット
 全国の消費生活センターなどに寄せられたジャパンライフへの相談件数は、497件(20154月以降171013日登録分、2度の業務停止命令以降は160件)。70歳以上の高齢者が75%を占め、地方の高齢女性がターゲットになっている。相談者の最高契約金額は5億円、平均契約金額は約1850万円に上る。
  2度の業務停止命令後に、新たに業務提供誘引販売で契約した人の数について、佐藤朋哉取引対策課長は、月末時点で「約2000人、契約額は120億円」と報告したが、「あくまで会社の報告で、確認したわけではない」と説明した。
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「財務状況知って、契約の妥当性判断を」
消費者庁の佐藤朋哉取引対策課長
顧客に預託法に基づいてジャパンライフから送付されている20177月末時点の「月次保有状況表」によると、レンタルオーナーの数は6855人、契約個数は132964個(契約額171470354000円)、実際にレンタルされている商品は2万6559個(契約額10077253000円)とされていた。この預託者数がどう変化したかを問う質問には「減っている傾向にあるが、正確な数字は分からない」としか、回答していない。なぜ破綻しないのかとの質問にも「わからない」とし、消費者に向けて「2016度末の段階で338億円を超える債務超過状態にあるという財務状況を理解して、判断することが重要。数年間にわたって年6%を払う契約の妥当性について判断いただく必要があるのではないか」と、佐藤課長は話した。

ジャパンライフHPで反論
「事実無根、経営上の心配ない」
リース債権の購入に転換したと
説明し、全国各地でリース債権
販売開始の説明会を開催している
一方、今回の処分に対し、ジャパンライフは「業務提供誘引販売は8月末ですでに営業を終了している。そのため、通常通り営業を行っている。今後については、顧問弁護士に対応を確認している」とコメントした。
同社のホームページでは、「業務提供誘引販売契約は8月末で終了し、現在一切行っていない」とし、「仕分けの考え方の相違で、経営上の心配はない」「解除妨害は一切行っていない」などと説明。「消費者庁の杜撰な調査と事実無根の一方的な思い込みで、こういう処置を取ったことに対し、当社は大変憤りを感じ、早速当社の顧問弁護士に法的処置を依頼した」と、山口隆祥会長名で反論している。
ただし、実際は9月の段階でも業務提供誘引販売で契約をさせていることが確認できた。今回の行政処分の違反認定でも、9月に契約した事例が示されている。

「リース債権」として販売開始
全国34店舗で説明会
ジャパンライフは1114日付で、「レンタルユーザー契約」から「5年物リース購入契約」に転換したとするお知らせを顧客に送付していたことが分かった。111日から装着タイプ磁気治療器リース債権の販売がスタートしたとして、19日から26日にかけて全国34店舗で説明会を開催している。参加者全員に6000円相当のノニジュースがプレゼントされるという。
届いたお知らせの「リース債権収入例」を見ると、額面100万円のリース債権を70万円で買い、月々5000円を5年間計30万円を受け取った後、ジャパンライフが売り渡した債権を、5年後の債権価格70万円で買い取るとしている。債権総額を約1295000万円に限定し、契約者数を約3700人としている。
このリース債権譲渡販売は特定商取引法の適用対象になるのか。1122日の長官会見で岡村和美消費者庁長官は、「個別案件のため回答できない」としか答えなかった。金融庁は「金融商品に該当しない」、経産省は「リース契約には該当しないと考えられる」と答えている。消費者庁は、特商法の役務を広く解釈し、迅速に対応することが求められる。

消費者庁は、2度も業務停止命令をかけてなお、約2000人約120億円の新たな契約をさせてしまった。3度目の業務停止命令を出してもまた新たな取引で説明会が行われている。一体いつになったら、新たな消費者被害を止めることができるのか。

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解説 
   
新たな契約、いつ止められるのか
業務停止命令違反、絵に描いた餅なのか
今回の行政処分は、手をこまねいたまま、1216日までの1年の業務停止命令期間を終えるという最悪の事態は、回避したとはいえる。
しかし、レンタルしている商品が大幅に不足している現物まがい商法で、既契約者への6%の支払いを新たな契約で賄っている自転車操業であることを、消費者庁は20159月と10月に行った同社への立入検査で、把握していたはずだ。
当時の担当者はほとんど異動させられてしまったのかもしれないが、いまだに新たな契約を拡大させている現状への危機感を共有できているのか、今一度問いたい。本当に、この時期まで何もできなかったのか
今回、故意の事実不告知で、「20177月に公認会計士から大幅な債務超過があることが報告されたにもかかわらず、故意に告げていない」ことを認定した。
しかし、今年3月の2度目の処分で、消費者庁が公認会計士等による外部監査結果の報告を求めたのは、51日まで。5月末までに顧客に通知することを指示していた。にもかかわらず、2015年度末での純資産額が約266億円の赤字、2016年度末時点の純資産額が338億円の赤字である通知がジャパンライフから顧客に発送されたのは、828日付と911日付だ。
その後で、消費者庁長官は長官会見の質問の中で、約339億円の赤字であったことを回答したが、自ら公表したわけでもない。
今回の指示処分の内容も、①公認会計士の監査意見は「意見不表明」だったこと②会計監査の完了時期は20196月末の予定だが、過去の決算整理仕訳のうち根拠を示すことができない仕分けを取り消して公認会計士の確認を受けた結果が約339億円の赤字だったことを、わかりやすく伝えることを求めている。しかし、このような内容では、高齢者に、わかりやすくなど伝えられない。
「仕分けの考え方の相違。経営上の心配はない」というジャパンライフの説明の方が、よほどわかりやすい。
ジャパンライフは、2度の業務停止命令を受けた後も、4月の売り上げが過去最高の35.6億円、7月の売り上げが約39億円もあるなどの分かりやすい資料を顧客に送ったり、説明したりしてきた。この額は正しいのかとの質問にも、消費者庁は「違反認定には入っていない。公認会計士からの報告は債務超過」としか回答しなかった。読んでも理解できない高齢女性に、いまだに判断を委ねている。マッサージをしてあげるなどと勧誘員と日常的に接している状況があり、どこまで伝わるのか懸念される。
そもそも、公認会計士の外部監査を受けて報告を求めるような指示しか出せなかった前回の処分に問題がある。消費者庁自らが粉飾決算であることを認定していれば、こんなことにはなっていない。せめて不正調査を命じ、早い段階で公表することはできなかったのか悔やまれる。
20159月の同社への立入検査で元消費者庁取引対策課課長補佐の天下りが発覚して以降、取引対策課の歯車が狂ってしまったように見える。天下りの影響で立入検査自体が遅い。さらに1度目2度目の処分で、同社の商法が、約2000億円の消費者被害を出した豊田商事事件と同様の現物まがい商法だったことがきちんと周知できていれば、こんなことにはなっていない。再三の質問にレンタルオーナーとレンタルユーザーの数すら答えず、テレビはどこも放映しなかった。最初に適切な行政処分を行っていれば、2度、3度の行政処分など必要なかった。失策を取り戻すには、相当の覚悟でのぞむしかない。消費者被害の防止は消費者庁の最大の使命だ。
豊田商事事件では、投資した高齢者は世間から「欲ぼけ老人」と、非難された。勧誘者が高齢者に巧みに近づき、高齢者を「お父さん、お母さん」と呼び、掃除や洗濯、炊事などまでして信用させていたが、その実態が伝えられなかったためだ。
なぜ、高齢者はジャパンライフと高額な契約をしてしまうのか。なぜ、信用して契約を重ねてしまうのか。本来は、それが一般の人に理解できるように違反を認定し、その手口を公表すべきだ。過去3回の行政処分の違反認定では、無料でマッサージやエステをしてもらうために店舗や大会に参加したことしか伝わらない。勧誘段階での、不実告知は認定できないのか。
5月の段階では、ジャパンライフの申込書は業務提供誘引販売取引になっていなかったことが確認できた。6月以降、ジャパンライフが業務提供誘引の取引形態を整備するのを待って、その後の違反を認定したのでは、あまりに時間がかかる。
さらに、本紙では今年2月の段階で月額活動費の名目で、訪問販売で新たな契約をさせた事例を、契約書を示して報道した。5月には都内のホテルで国際大会と銘打って約1000人を集めて、「腰痛や膝痛が治る」「すべての病気の原因は血行。全部解決するのがジャパンライフの装着タイプ磁気治療器」などと言って、大規模な勧誘を行っていたことを報じた。共産党の大門実紀史参議院議員が国会で取り上げ、音声記録と映像を入手したとして消費者庁に提供するとまで述べていた。消費者庁もこのホテルでの勧誘は「訪問販売に入り得る」と答弁していた。なぜ、業務停止命令違反を認定し、刑事告発をしないのか。
12月に改正施行される特定商取引法は、悪質事業者への執行強化、罰則強化が目玉だ。業務停止命令違反の罰則が「懲役2年または300万円以下または併科」から「懲役3年または300万円以下または併科」に引き上げられる。罰則の強化は絵に描いた餅に過ぎないのか。次の一手に期待したい。

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 契約の取り消し可
クーリング・オフも
 
消費者庁取引対策課が1117日に、各地の消費
11月17日付で取引対策課が、各地の消費生活センター宛てに出した文書
生活センター宛てに出した文書を紹介しておく。今回の行政処分で、業務提供誘引販売取引の契約をした人に、どのようなあっせんや助言ができるか、わかりやすく説明されている。
 判断に影響を与える故意の重要事項不告知が認定されているため、契約の取り消しが可能だ。
 契約書面不交付が認定されているため、必要な記載がない契約書面が交付された場合や、契約書面が交付されていない場合は、業務提供誘引販売のクーリング・オフ期間である契約書面を交付された日から20日間が過ぎても、クーリング・オフができる。
 業務提供誘引販売取引の同社の契約概要書面を見ると、「定価」契約はレンタルオーナー契約の短期契約が移行したものとみられ、契約期間の最長は3年間、契約書面受領日から365日が経過するまでは解除できるとしている。「割引」契約は、レンタルオーナー契約の長期契約が移行したものとみられ、契約期間の最長は20年。契約書面受領日から20日が経過するまでは解除できるとされている。
契約書面が交付されていない場合や記載内容に不備があった場合は、いずれの契約も、いつでもクーリング・オフができる。
ジャパンライフでは、解約に応じることで国民生活センターや消費生活センターとトラブルになることを避けてきたとみられる。ただし、最近では、分割払いにされたり、値切られたり、支払われない事例が出てきている。

                        日本消費経済新聞11月25日号から

1 件のコメント:

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