「ジャパンライフ被害対策中部弁護団」(杉浦英樹弁護団長)が9月27日、結成された。消費者庁から2度の業務停止命令を受けたジャパンライフ社(本社、東京都千代田区)と、個別の解約交渉に取り組み、契約金額全額(払い戻し分除く)を一括で返金させてきた。消費者庁の指導で、同社の2016年度末の純資産額が約339億円の赤字であることが顧客に通知されたことから、高齢者への周知など、新たな被害防止のための対策にも乗り出す。弁護団の相談電話番号は、0566-73-0770 (深津法律事務所内、事務局永田有香弁護士)。相談は無料。本人だけでなく、家族や福祉関係者からの相談も可。
ジャパンライフ社は、高齢者を中心に、100万円から600万円の磁気治療器の「レンタルオーナー制度」を全国展開し、消費者庁から2度の業務停止命令を受けている。販売してレンタルしているはずの一部商品が8割程度実在していなかったこと、負債を過少申告していたことなどが違反認定された。本年12月16日まで、預託取引、訪問販売、連鎖販売取引の一部業務停止命令が出されている。
2度目の業務停止命令と併せて、公認会計士などによる外部監査を受けて損結果を顧客に通知するよう措置命令が出されていたが、消費者庁の指導で、ようやく8月29日付、9月11日付で同社から顧客に文書が通知された。2015年度末の純資産額が約266億円の赤字、2016年度末の純資産額が約339億円の赤字であることが明らかにされた。
「ジャパンライフ被害対策中部弁護団」は、愛知県弁護士会消費者委員会に所属する弁護士の有志らで組織された。他の地域の弁護士にも広く参加を呼びかけている。
愛知県内の80歳代の女性は、友人にジャパンライフの代理店に連れて行かれ、「腰がよくなる」などと言われ、磁気ベルトの体験をさせられた。その後、代理店の人が自宅に来るようになり「預貯金より利率がいい」「レンタルユーザーが殺到している」などと勧誘され、2010年から2015年にかけて30回以上、約1億円を契約している。
愛知県内の70歳代の女性は2014年ころ、町内会の知人に誘われ、ホテルのセミナーに参加したのがきっかけだ。3年のうちに10回以上契約し、5000万円を支払った。受け取るはずのレンタル料の3分の2を「積立て手帳」に積み立て、新たな契約代金に充当されている。契約が複雑で、本人が総額でいくら払ったのか分かっていなかった。
いずれも、家族が気づいて相談している。
特定商取引法の「重要な事実の不告知」(レンタルしているはずの商品の数が大幅に不足し、契約通り割り当てる商品がないにもかかわらず、故意に告げていない)が違反認定されている。このため、法律上は、契約の取り消しが可能だ。
杉浦英樹弁護団長は、「契約者のほとんどが高齢者で、会社が破たんした場合は、月々のレンタル収入だけでなく、預けていると思っているお金も戻らないことが、十分認識されていない。約2000億円の被害が出た豊田商事(現物まがい商法)事件では、中坊公平弁護士らが奮闘してなお、投資家に戻ったお金は1割程度に過ぎない。現物がない点で、仕組みは豊田商事と変わらない。新たな被害を生じさせてはいけない。被害救済だけでなく、そのための対策にも取り組むために、対策弁護団とした。新たな被害を生まないよう頑張るのが弁護士で、人として当然」と話している。
弁護団のホームページは、https://japanlifehigai-chubu.amebaownd.com/
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